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回数券で乗り越しすると損?回数券を上手に利用してお得に乗車しよう

回数券

回数券って上手に使えばかなりお得に電車に乗れるのですが、同じ区間の乗車回数が多ければ定期券のほうが得になりますし、回数券の区間を分けて購入するほうが通しで買うより安くなったりもします。
また回数券での乗り越しは場合によっては損をすることも。
回数券を上手に利用してお得に電車に乗るコツを見ていきましょう。

 

 

基本は10回分の料金で11回使用できる

回数券といえば10回分の料金を支払うと11回乗車できる普通回数券が一般的ですが、鉄道事業者によっては時差回数券や土曜休日回数券のように利用できる時間帯や曜日に制限を設ける一方で割引率を大きくした回数券や、JR西日本のように特定の区間のみ9回分の料金で11回利用できる回数券があるなど、鉄道事業者によって少しずつ差異があります。

また一般的には利用できる駅間を指定して発売(新宿―品川のように)されますが、一部の鉄道事業者では使用できる駅間を指定せずに、ふつうの切符と同じように料金区間(150円区間のように)のみを指定して発売される回数券もあります。

詳しくは

 

回数券の基礎知識/割引率・有効日数・払い戻し・区間変更など
Suica・PASMO・ICOCAといった交通系ICカードの普及で回数券を使用する方が減っているように感じますが、手軽でお得に鉄道を利用するには回数券はなくてはならない存在です。ここでは回数券の割引率や有効日数など基礎的なことを説明しています。

 

 

回数券による乗り越し

回数券による乗り越しはJRをはじめ多くの鉄道事業者では打ち切り計算を採用しています。
一般的に回数券は利用できる駅間を指定して発売され、回数券に表示された駅から先については別途料金を支払う必要があります。

 

利用できる駅間を指定した回数券

JR横浜からJR川崎までの回数券でJR品川まで乗り越す場合
横浜から川崎まで220円
川崎から品川まで220円
横浜から品川まで300円

発着駅を指定した回数券で乗り越し場合には、差額ではなく別途料金となります。
ですので差額の80円ではなく、川崎から品川までの220円が必要となります。

 

定期券での乗り越しと同じで別途料金となるため、多くの区間では回数券を使わず横浜から品川までを乗車券(ICカード)や回数券などで通しで購入するほうが安くなります。

 

ところが

 

JR横浜からJR品川までの回数券でJR上野まで乗り越す場合
横浜から品川まで300円
品川から上野まで200円
横浜から上野まで570円

この例では横浜から上野まで通しで購入すると570円必要なのですが、横浜から品川と品川から上野までのように別で購入するほうが安くなっています。

 

JRでは地方交通線>幹線>電車特定区間>山手線・大阪環状線>特定区間

 

の順で同じ距離でも運賃が安くなっていきます。
ややこしいのですが、電車特定区間と特定区間は別物です。
電車特定区間は下記の図の路線内を発着する区間
特定区間は横浜―品川のように別に定めた区間です。

横浜から品川までは特に料金を低く設定している特定区間ですし、品川から上野までは山手線内の料金とともに安い設定になっていますが、横浜から上野を通しで購入すると電車特定区間の料金となるのです。

横浜から品川までと品川から上野までを電車特定区間の料金で計算すると400円と220円ですから、かなり安くなっていることがお判りいただけます。
最も料金を低く設定している“特定区間”は、私鉄との競合が激しいなどの理由から区間を指定して運賃を安くしています。

 


上記二点の画像出典 AERA.dot

 

区間を別に定めた特定区間については、下記のサイトがわかりやすいです。(外部リンク)

キロ別運賃表

 

 

金額式の回数券

金額式(料金区間を指定)の回数券は都営地下鉄・東京メトロ、東急電鉄や関西の鉄道事業者で採用されています。
この金額式の回数券で乗越す場合は、打ち切り計算ではなく差額計算になります。

 

京阪電車の祇園四条から京橋までの410円区間の回数券を所持していて淀屋橋まで乗り越す場合
祇園四条から京橋まで410円
京橋から淀屋橋まで160円
祇園四条から淀屋橋まで420円

金額式(料金区間を指定)の回数券の乗り越しは差額計算になりますので、この例では420円-410円で差額の10円を支払えば京橋から淀屋橋まで乗り越しできます。

 

利用できる駅間を指定した回数券での乗り越しの場合は、特定区間などをうまく組み合わせることで利用料金を安くすることができます。
※回数券を2枚使用して電車賃を安くできる
金額式の回数券の場合は差額で計算されますから、組み合わせによって料金を安く抑えるといったことができません。

しかし

例えば普段は祇園四条と枚方市の間(360円区間)をよく乗車するが、たまに京橋(410円区間)まで足を延ばすという利用方法の方もいらっしゃると思います。
このケースで410円区間の回数券を購入して枚方市でよく降りるとなると、乗車のたびに損をしますよね。
となれば360円区間の回数券を購入し、京橋で降りるときは乗り越し清算で50円を支払うほうが安くなりますよね。

極端な例では、360円区間の回数券で毎回京橋まで乗り越した場合
360円×10回分=3600円(回数券の料金)

毎回京橋まで乗り越せば
50円×11回=550円

3600円+550円=4150円

はじめから410円区間の回数券を購入するよりは50円高くつきますが、11回すべてを乗車券やICカードで乗車すると4510円と360円も高くなりますから、安い区間の回数券を購入して乗り越す方が得になると言えます。

 

 

回数券で他社線へ乗り越した場合

ここまでの説明は、回数券を購入した鉄道事業者内で乗り越した場合の説明です。
ところが関東では相互乗り入れを行っている社局がたくさんありますし、関西でも少ないですが多少は相互乗り入れを行っています。
すると一つの鉄道事業者内で終わらず複数の会社を跨いでの利用も珍しくはありません。
そこで回数券で他の交通事業者へ乗り越した場合について見ていきましょう。

乗継割引が受けられない

例えば小田急チケット10(小田急の回数券)の下北沢から代々木上原(130円区間)で東京メトロの明治神宮前(原宿)まで乗り越す場合、別途運賃で170円が必要です。
ところが下北沢から明治神宮前までICカードで乗車すると274円、乗車券だと280円で乗車できます。

下北沢から明治神宮前までは乗継割引で20円引きとなるのですが、回数券で乗り越した場合は適用されないので少し割高になってしまうのです。

乗継割引は近距離での他社乗継の場合の割高感を解消するために設けられており、例で出した小田急と東京メトロの代々木上原接続の場合

小田急
新宿、南新宿、参宮橋、代々木八幡、東北沢、下北沢、世田谷代田、梅ヶ丘、豪徳寺
東京メトロ
代々木公園、明治神宮前

これらの駅の相互間のみ乗継割引があり、経堂以西や表参道以東は乗継割引の設定がありませんので回数券で乗越した場合でも、ふつうの切符との差はありません。

 

二重の割引を行わない

鉄道をはじめ各公共交通機関では運賃の二重の割引は行わないことになっています。
※一部例外アリ
回数券は10回分の料金で11回乗車できるなどすでに割引かれているため、これ以上の割引は行われません。
(障害者割引や通学用の割引回数券を除く)
また一般的に回数券は自社線内のみのものが発行されており、2~3社との連絡回数券は一部を除いて見られません。

関西では阪急・阪神と神戸高速・山陽または神戸電鉄といった連絡回数券が発売されていますが、普通乗車券やICカードでの乗車時に適用される乗継割引や連絡割引(神戸市内割引)は連絡回数券では適用されず、各社の割引き前の普通運賃の合算額で回数券の料金が計算されます。

 

 

回数券の販売を終了する会社が増えています

2020年ごろから回数券の販売を終了する会社が増えており、JR全社のほか、多くの私鉄で回数券の発売をやめています。

今後もますます回数券の販売終了の波は広がり、近いうちに鉄道から回数券が無くなる日がやってきそうで、回数券を使ったお得な乗車方法も風前の灯火となっています。

 

まとめ

回数券は一般的に利用駅を指定して販売されており、乗り越すときは別途運賃が必要となるので割高になることが多いのですが、特定区間などを含む場合は乗り越す方が安くなることもあります。
金額式の回数券での乗り越しは差額計算となり、180円区間の回数券で290円の区間まで乗り越した場合は差額の110円を支払えばOKです。
回数券で他社線へ乗り越した場合、乗継割引などが適用されないために割高になることがあります。

 

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