春からいよいよ大学生になる子供。
親元を離れて一人暮らししたり、下宿生活や寮生活をはじめるご子息をお持ちの方も多いことでしょう。
子供をこれまで扶養控除に入れてきたから税金の控除もあって助かってきたけど、この家を出て新しく生活することになると、やっぱり扶養控除からはずれてしまうのかな。
ただでさえ高い学費が必要なのに、扶養控除からはずれてしまうと税金が上がってしまうかも。
このようなケースでは扶養控除がどうなってしまうのかを見ていきましょう。
生計が同一ならば別居でも大丈夫
さっそく結論が出ていますが、扶養控除の制度は同居別居を問いません。
実家を離れて一人暮らしだったり、下宿や寮生活となった場合であっても、常に生活費や学費などの面でお金を出している、つまりは生計を一にしている場合には扶養控除の対象となります。
保護者の方の勤務先での年末調整の手続きで
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
に記入して提出しますが、実家を離れてお住まいになっているご子息のお名前や住所などを記入して提出すればOKです。
扶養の内容が変わった場合には、次の給与を受け取るまでに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を再度勤務先へ提出しなければいけませんが、ご子息を扶養するという立場の変更はありませんので、年末調整時などに提出すれば大丈夫です。
子供が住民票を異動した
ご子息が実家を離れて大学へ通うようになり、住民票も実家から異動させた場合はどうなるのでしょうか。
実家のある市区町村役場へ転出届または転居届を出し、新たに居住する市区町村役場へ転入届を出すと新たな住民票が作成されます。
つまりは子供とは別世帯となるわけですね。
このケースではご子息が住民票の筆頭になり、世帯主となる住民票が新たに作られるわけですが・・・
ご子息が世帯主になったとしても、あくまで生計が一であれば扶養控除の対象となります。
年末に保護者の勤務先へ提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にご子息のお名前や住所などを記入して提出すればOKです。
子供がバイトで収入を得た場合の扶養控除
高校生や大学生になれば、おこづかいだけではちょっと足りないからバイトをすることも多いですよね。
扶養控除の条件に一定の収入以下という決まりがあるのはみなさんご存じのことでしょう。
扶養控除を受けるためにはアルバイトで得る収入が103万円以下でなければならず、この金額を超えると扶養控除から外れてしまいます。
※基礎控除額48万円+給与所得控除55万円=103万円
このことは保護者とご子息とでよく確認しておかないと、税金が高くなった!ということにつながるので注意しておきましょう。
扶養控除からは外れるけど・・・勤労学生控除
働く学生のための控除が「勤労学生控除」です。
扶養控除の対象となるのはバイト等の収入が103万円以下の場合で、これは基礎控除の48万円と給与所得控除の55万円を差し引くと所得は0円となるためですね。
しかしこれらの控除に加えて働く学生のために「勤労学生控除」があり、その控除額は27万円です。
バイトなどでの収入が103万円以下ならば扶養控除の対象。
103万円を超えて130万円以下ならば扶養控除からは外れるものの「勤労学生控除」の対象となります。
たとえバイトであっても103万円以上の収入があれば所得税がかかってきます。
※住民税はおおむね100万円以上の収入があるとき。
しかし勤労学生控除の対象となれば収入が130万円までは所得税は非課税になります。
※勤労学生控除によって住民税が非課税になる収入はおおむね126万円以下
ご子息は非課税でうれしいわけですが、保護者の側はご子息が扶養控除の対象から外れて納税額が上がるわけですから、やはり事前に確認しておくようにしましょう。
一人暮らしの子供の家に役所から申告についての書類が届いた
一人暮らしのご子息が住民票を異動させた場合に、1月の末から2月ごろにかけてお住いの自治体から住民税(都道府県民税・市区町村民税)の申告についての書類が送られてくることがあります。
市区町村に住所を有する場合は地方税法の規定によって、申告をしなければならいという決まりがあるためです。
ただしアルバイトなどをしていて源泉徴収票を受け取り、勤務先が市区町村役場へ給与支払報告書を提出している場合には、それで申告が終了していますので自治体から申告についての書類が送られてくることはありません。
各市区町村によって申告書類の様式が違いますが
氏名・現住所・個人番号(マイナンバーカードまたは通知カードなどに記載されている番号)などを記入
アルバイトなどをしておらず収入がない場合には
「収入がなかった人」
というような欄がありますので、そこに扶養者氏名(ふつうは保護者の氏名)や住所などを記入して役所へ提出すればOKです。
これで保護者の側はご子息を扶養家族に引き続きいれることができ、扶養控除を受けることができます。
アルバイトなどをしており給与収入がある場合には
源泉徴収票の支払金額欄の金額を、申告書の収入欄に記入してください。
勤労学生控除を受ける場合には、「勤労学生」にチェックを入れて学生証のコピーを添付します。
収入が103万円以下ならば、保護者の扶養家族として引き続き入れることができますが、103万円を超えていると扶養家族からは外れてしまいます。