今や夏の必需品になった感のあるハンディファン(携帯扇風機)
うちわや扇子で扇ぐのもいいのですが、ずっと扇ぎ続けるのってかなりしんどい。
でもハンディファンならば自分に向けて風を当てればOK
ほとんどのハンディファンがUSB充電となっていますから、モバイルバッテリーでどこででも充電できますしね。
でも真夏の暑い日に使うことが多いハンディファンですが、その使い方によっては身に危険が迫ることがあるのです。
ハンディファンを使うと熱中症に
暑いから涼むためにハンディファン(携帯扇風機)を使うのに、なぜ使うと熱中症になる危険性があるのか。
これにはきちんとした理由があるのです。
そもそも人間は暑いときになぜ汗をかくのか?
これは汗をかくことで体の熱を奪い、熱と一緒に汗が気化するためです。
つまり体の熱を下げて涼しいと感じるようにするためには、汗が絶対に必要ということになります。
ところがハンディファンの風を体に当て続けることで、汗は熱を奪う前に乾いてしまいます。
汗が乾くことで熱を奪う手段を失うことになり、体に熱がこもって熱中症になる危険性が高くなるのです。
高温時は風自体も問題に
外気温が35度を超える高温の時にハンディファンの風だけに頼るとどうなるのか。
ハンディファンから送られてくる風も当然35度以上の熱を持った風ということになります。
ドライヤーの熱風が当たるほどではありませんが、体温とほぼ同じまたは高い温度の風ではありますよね。
そんな風に当たり続ければ体温が上昇し、熱中症になる危険性が相当高くなります。
また風に当たると実際の温度より涼しく感じることってありますよね?
本当は体温並みの温度の風なのに、体感的には涼しく感じてしまうことで熱中症になるリスクがさらに高まる!
これはハンディファンに限らず、屋内で扇風機だけを使用しているときにも起こりやすい現象です。
エアコンを適切に使用することが叫ばれるのも、実はこうした理由があるのです。
気温が35度以上の時のハンディファンや扇風機のみの使用は注意が必要だということを頭に置いておいてください。
首掛けタイプのハンディファンは特に注意が必要
最近は手に持たなくても使用できる首掛けタイプのハンディファンが人気ですね。
首に掛けて使えることから歩行時やスマホの使用時など、手がハンディファンによって塞がれることを回避できますから。
ただし首掛けタイプのハンディファンは特に注意が必要。
首から吊るして首から顔にかけて風が当たるように使用していると思いますが、これって高温時には首にも体温と同程度の風が直接当たることになります。
首には頸動脈などの血管が通っており、この血管に熱い風を直接当てることになってしまいます。
頸動脈は大動脈から頭部へとつながる血管で、この血管を温めることになるので頭部の体温も上昇することに。
暑いときは頸動脈を冷やし、寒いときには頸動脈を温めることで全身が快適な温度になるのはよく知られていることで、これと真逆のことをしていることになります。
首掛けタイプのハンディファンを使うときは特に注意してください。
高温時にもハンディファンを快適に使うには
ハンディファンをより快適に使う方法を知ることは、熱中症対策としても大変重要なこと。
そこでいくつかの方法をご紹介します。
濡れタオルを首に巻く
濡れタオルを首に巻いてハンディファンを使用すると、高温時の熱中症対策になります。
ハンディファンの風を直接体に当てることで、汗が熱を奪う前に乾燥してしまい体に熱がこもるわけですが、そこで首に濡れタオルを巻き、そのタオルに風が当たるようにします。
首を濡れタオルで巻くことだけで、頸動脈が冷やされます。
そうすると頭部へ温まった血液が流れていきにくくなり、それだけでも熱中症の予防に効果があります。
そして
濡れタオルに風を当てることで水分が熱を奪いながら気化するので、熱くなった体温を逃がす効果が表れます。
この方法によって濡れタオルは5度以上も温度が下がりますから、熱中症予防には効果抜群!
また濡れタオルに当たった風も温度が下がっていますから、そのまま風を当てるよりははるかに快適!
また体に直接高温の風を当てないことで、汗が熱を奪う前に乾燥してしまうことも防げます。
マスクと濡れタオルとハンディファン
コロナ禍においては40度近い気温であってもマスクをしなきゃいけないという、地獄の夏を経験してきました。
でもマスクをしている顔にハンディファンの風を当てても涼しくなんてなりませんよね。
そこはやはり首に濡れタオル巻き、そこへハンディファンの風を当てる。
ここからポイント。
その風をマスクのあご部分あたりから中に入るにようにします。
濡れタオルに当てた風は温度も下がっており、その風をマスクの隙間から入るようにすればマスクの中も快適。
まだ当分の間はマスク生活が続きそうですから、ぜひ首に濡れタオルを巻いてそのタオルに風を当てることをお忘れなく。
スプレーボトルに水
ハンディファン使用時に濡れタオルを首に巻くのは大変有効な方法ですが、見た目を考えるとちょっと・・・という方も多いと思います。
コロナ禍において消毒液を入れていた小さなスプレーボトルをお持ちの方も多いと思いますので、余ったスプレーボトルに水を入れて顔や首にシュッと吹きかけてからハンディファンを使いましょう。
人間は汗によって熱を奪い気化させて体温を下げるわけですが、汗の代わりをスプレーボトルの水にしてもらうわけです。
またハンディファンによってはミストを噴射するタイプも販売されていますから、こちらを利用するのもいいですよ。
筆者も愛用していますが、ファンを回さずにミストだけを顔に当てるのも意外と涼しくて気持ちいいですよ。
ハンディファンよりも
ハンディファンは安くて手軽に涼しくなれるのですが、高温時に単独使用すると熱中症リスクがかなり高いことはここまでに説明したとおりです。
それに風を当てることでお肌も乾燥するし、目も乾燥してドライアイになる危険性だってあります。
そこで風を送るのではなく本体が冷たくなるネッククーラーをおススメします。
これはペルチェ効果という原理を利用したもので、ふたつの種類の違う金属を直列につないで直流の電気を流すと、そのつなぎ合わせた部分にジュール熱以外の吸熱及び発熱が発生する現象。。。
難しくてよくわからないのですが、冷蔵庫やエアコンのようなコンプレッサーやフロンガスを用いずに、電子的に冷却する方法だそうで、小型軽量で構造も簡単だそうです。
ネッククーラーは首(頸動脈)を直接冷やすことで体全体の温度を下げることと、風を起こさないので汗が乾燥しない、つまりは気化熱の原理も作用することからハンディファンより確実に涼しさを感じることができるのです。
商品によっては体感で-15度、連続20時間の使用が可能なものもあります。
熱中症の患者に対して真っ先に行うことって首の横の部分、頸動脈を冷やすことです。
頸動脈を冷やせば全身の体温が下がるのです。
ネッククーラーはその頸動脈を冷やす商品ですから、効果が高いことがお分かりいただけると思います。
またハンディファンに冷却プレートを取り付けたことで、より冷たい風が出るハンディクーラーも要注目。
生ぬるい風ではなく、冷却プレートに風が当たることで周囲の気温より低い風が当たります。
ただ冷たい風に期待するよりは、冷却プレートを首などに当ててひんやり感を感じるのがメインになるとは思います。