屋外で雨が直接降り注ぎ、太陽光(紫外線)も直に当たるようなシチュエーションでひもやロープを使用することもありますよね。
筆者は夏の直射日光を避けるためにベランダにサンシェード(日除け・オーニング)を設置するのですが、夏の間だけなので固定のために使うひもは荷造り用のものなど身の回りにあるものを使っています。
ところが夏の終わりころになるとボロボロになって切れかかっているのです。
そんな状態で雨に濡れて強風に煽られればひもはちぎれてしまい、下手すればサンシェードが飛んで行ってしまうかもしれません。
ほかにもベランダの目隠しを固定するときにひもを使ったり、プランターで野菜を作るときに支柱を固定したりつるを誘引するためにひもや細いロープを使うこともあります。
そこで雨に濡れたり紫外線が当たっても変化せずちぎれたりしない、強いひもやロープってどんなものがあるのかを調べてみました。
100円ショップの荷造り用のひも・テープや麻紐(あさひも)
日常生活で使うひもって、例えば新聞や雑誌を縛って廃品回収に出す時に使用するなど、一時的にくくれて持ち運びできればそれでいいのでわざわざ高いひもを購入することってないですよね。
言ってみれば使い捨てに近い存在ですし。
なので100円ショップなどでとにかく量の多い(長い)商品を購入することが多い筆者。
そしてベランダにサンシェードを設置して固定するときにもそれらのひもを使います。
固定した時は良い感じですし、これならば余裕で半年くらいは持ちそうに見えるのですが、雨風や太陽光(紫外線)にさらされる屋外では予想以上に劣化が早く進行します。
繊維を撚って作られて太さもそこそこで丈夫そうなのに、早いときには3~4か月ほどでちぎれてしまうことがあります。
麻紐は紫外線には強そうに思えるのですが、雨に濡れることで少しずつ硬くなってやはりちぎれてしまいます。
もちろん太いほうが丈夫なのでしょうが、それ以上に材質が関係してくるのではないかと思ったのです。
荷造りひもの大半はポリプロピレン(PP)
100円ショップへ行くと丸っこい玉巻状で売られていることが多い荷造りひも。
平べったいテープ状の物やロープのように撚られている物もありますね。
しかし100円ショップで売られている荷造りひもの大半はポリプロピレン(PP)です。
PPの特徴は軽量で強度にも優れさらに安価であり、水に濡れても硬くなるなどの変化を生じない使いやすい特性を持っています。
ただし紫外線には弱くて屋外での使用には向きません。
そりゃサンシェードの固定に使えばちぎれるはずです。
また低温にもあまり強くはなく-10℃程度が限界のようですので、冬の屋外にも向かない素材です。
やはり荷造りでの使用に適していますね。
麻紐は水中では腐食する
麻紐も100円ショップでよく見かけますし、新聞紙を縛るときにはちょうどよい細さで重宝しますよね。
麻紐はPPとは違って紫外線にも強いのですが、水中では腐食してしまいます。
雨に濡れると腐食が原因で黒く硬く変化し、やがてちぎれてしまうのです。
また100円ショップで売られている麻紐はかなり細いですし、屋外での使用にはやはり不向きなひもです。
屋外で使用するとしても、せいぜい2~3か月程度が限度という感じです。
入手しやすいひもやロープの材質
ホームセンターなどへ行けばさまざまな材質のひもやロープが販売されていますが、ふつうは必要な長さと使いやすそうな太さ、そして価格を重視して購入すると思います。
ここでは屋外に適した材質という点に着目して見ていきたいと思います。
ビニロン(クレモナ)
ビニロンは吸湿性や保温性にすぐれ,引っ張り力や摩擦に強く紫外線による変化もないなどの特性を持ち、衣類から漁網やロープ等幅広い分野で使われています。
合成繊維ながら木綿に似た質感で、ひもやロープの材質に困ったときはビニロンを選んでおけばまず間違いはありません。
※クレモナはクラレの登録商標で、クレモナロープのような商品名で販売されています。
ポリエステル
とにかく強いひもやロープが必要ならばポリエステル製が良いでしょう。
酸やアルカリや海水にも強く、紫外線による変化もなく摩擦にも非常に強い。
ただし静電気が発生しやすい点には注意が必要です。
マリンレジャー用品や漁業用品のほか、荷役や作業用、救命ロープや命綱、テントなどにも用いられています。
また低温にも非常に強く-60℃以下でも強度的な問題は出ないと言われています。
ポリエチレン(PE)
ビニロンやポリエステルほど紫外線には強くはありませんが、衝撃に強く農業・漁業用品に広く使われています。
硬くて滑りやすいのですが、比較的安価ですし屋外での使用にも適しています。
物干しロープを想像していただくとポリエチレンの硬さと強さや滑りやすさがお分かりいただけると思います。
低温にも強く-20℃くらいまでなら耐える強さも持ちます。
比較的安価で夏の紫外線にも冬の低温にも耐えるので、屋外での使用に適している素材と言えるでしょう。
ナイロン
ナイロンは摩擦や衝撃に大変強いのですが、紫外線にはポリエチレン(PE)ほどは強くありません。
登山用品や牽引用ロープのほか釣り糸にも広く使われいます。
低温下でも硬くなりにくいです。
綿
合成繊維に比べて強度が弱く、水中では腐食します。
ただし紫外線には強く、熱や摩擦にも強くて静電気の発生を抑えます。
麻紐と同じで長期間の屋外での使用は雨風によってちぎれる可能性が高く、あまりお勧めはできません。
棕櫚(シュロ)
棕櫚(シュロ)とはヤシの木に似た木で、幹の部分は毛がびっしり生えているように見えます。
この毛の部分を剥いで糸状にしたものが棕櫚紐とか棕櫚縄として販売されています。
最近は棕櫚縄と書いているけど原材料名を見るとパームとなっているものもありますが、棕櫚もパームもホウキやたわしに使われるほど丈夫な素材です。
水にも強く紫外線にも強い。
何より自然の風合いが良いんですよ。
麻や綿とは違って長期間の屋外使用でも耐えてくれますので、竹で柵を作るときの固定用などに重宝します。
屋外で使用するのに適した身の回りの物
屋外で物を固定したいけど、わざわざひもやロープを買うのではなく身の回りの物で代用できないかな。
筆者もそういう考えから荷造り用のひもや麻紐を使い、数か月でちぎれてしまった経験を持つわけですが、何か代用できそうな良い物はないかと家の中を探してみました。
釣り糸
釣り糸がどこのご家庭でもあるとは思いませんが、もしも釣りをされるのでしたら・・・ということでピックアップ。
筆者宅にも5年以上放置された釣り道具として釣り糸がありました。
- ナイロン製の釣り糸
釣り糸の中では安価に手に入るナイロン製の釣り糸ですが、摩擦や衝撃に大変強く、強く結んでも切れることはありません。
ただしポリプロピレンほどではないのですが紫外線にあまり強くないため、長期間の屋外での使用は注意が必要です。
- PE製の釣り糸
あたりがダイレクトに伝わり、ナイロン製の釣り糸より細くても丈夫という特徴を持つPE製の釣り糸。
ナイロンより紫外線に強く屋外での使用に向いています。
ただしやや硬くて結びにくい点が欠点かもしれません。
結束バンド
結束バンドの大半はナイロン製で非常に丈夫です。
ただし紫外線に強いとは言えません。
数か月程度の屋外使用ならばよい選択かも。
最近は紫外線などにも強い耐候性の結束バンドも多く販売されていますので、屋外使用を考えておられるならば耐候性の結束バンドを選んでください。
針金
100円ショップでも入手可能なアルミやステンレス製の針金。
比較的細いものが置かれていますが、アルミやステンレスならば鉄とは違って錆びて朽ち果ててしまうことがなく、屋外での使用にももちろん向いています。
細いのでニッパーなどで切断する時も力がいらず、女性でも扱いやすいので家に備えておけば何かと役に立ちますよ。
毛糸
屋外で物を固定したり縛ったりするのに毛糸はどうなのかと思われるでしょうが、毛糸の材質によっては屋外でも使用できます。
ちょっとお高いウールは屋外での使用には向いていませんが、100円ショップでも手に入るアクリル製の毛糸は紫外線の影響を受けませんし、水をほとんど吸収しないなど屋外での使用に向いています。
毛糸は1本1本が細いですから、何本かを束ねるなどして強度を上げて使用しましょう。