アルバイトやパートとして働いていると無関係だと思いがちな有給休暇ですが、実は一定の要件を満たしていたらもらえるのを知っていましたか?
今では企業側も意識してアルバイトやパートにも積極的に有給休暇を与えるようになっていますが、小さなお店など個人商店ではまだまだ浸透していないようにも思います。
またシフト以外の日に仕事に入るように頼まれたり、忙しいから少し残ってくれる?と頼まれることも少なくないのですが、アルバイトやパートをしているとその時間分の時給は発生するけど、残業代とか休日勤務手当って出されていないことのほうが多いのですが、なんだか損してる気になりませんか。
ここではアルバイトやパートの有給休暇と残業手当や休日勤務手当について解説していきます。
アルバイト・パートにも有給休暇がある
有給休暇は正式には年次有給休暇と言います。
一定の条件をクリアした場合に与えられる1年間有効の休暇で、“有給”ですので休暇を取ってもお給料が出ます。
有給休暇は繰り越しが可能で、最低でも付与された日から2年間は有効です。
勤務先によっては繰越期間を3年以上に設定しているケースもあります。
有給休暇の付与対象となるには、以下の2つの条件をクリアすればOKです。
- 働き出して6か月以上経過
アルバイトを始めた途端に有給休暇が発生するのではなく、働き始めて6カ月以上経過した時に付与されます。
アルバイト先をコロコロ変えていると、いつまで経っても有給休暇は発生しないということです。
- 全労働日の8割以上の出勤
この8割という意味は、全労働日の8割以上出勤していればよいという意味です。
たとえ週1日のアルバイトで1日当たり1時間のアルバイトであっても、6か月の間に8割以上出勤していれば有給休暇が付与されます。
遅刻が多い人はどういう扱いになる?
よく遅刻3回で1日休んだのと同じ扱い!といって、遅刻3回で1日分のアルバイト代をカットされるケースってありますが、実は1回の遅刻で半日分の賃金カットまでは認められているのです。
この遅刻3回で欠勤1日とか1回の遅刻で半日分の賃金カットの扱いというのは賃金計算上の話であって、出勤率の計算には影響されないとなっています。
遅刻3回で欠勤1日の扱いであったとしても、実際の出勤日数は1日も減っていないと計算されます。
ただしこれだけ遅刻すると賃金カットでは済まず、クビになる可能性が大いにあるのですが・・・
有給休暇の日数
有給休暇の日数も法律で定められており、働いている期間(長さ)、1週間にどの程度勤務するのかによって付与日数が決められています。
一週間 労働日数 |
年間 労働日数 |
6か月後 | 1年6か月後 | 2年6か月後 | 3年6か月後 | 4年6か月後 | 5年6か月後 | 6年6か月後 |
5日又は 30時間以上 |
217日 以上 |
10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
4日 | 169日~ 216日 |
7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 |
3日 | 121日~ 168日 |
5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 |
2日 | 73日~ 120日 |
3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 |
1日 | 48日~ 72日 |
1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
表の一番上は、一週間に5日以上勤務または一週間に30時間以上勤務、または年間に217日以上勤務した場合の有給休暇付与日数です。
いずれか一つでも該当すれば表の一番上の有給休暇が付与されます。
週に4日働いているけど毎日8時間勤務ならば週に32時間勤務となるので、表の一番上の日数が適用されます。
シフト制で月によって勤務日数や勤務時間が異なる方もいらっしゃると思います。
8月と12月以外はヒマで週に1日しか勤務していないけど、忙しい月は週に5日勤務しているといったケースの場合は、年間の労働日数に応じて有給休暇が付与されます。
7年6か月以降は6年6か月以降の付与日数が継続されます。
年間に10日以上付与されている方は5日は必ず有給休暇を取らなければいけない
少し前までならば、有給休暇を全く取得せずに流していたという方も多かったのですが、現在は法律の改正によって年間に10日以上の有給休暇が付与される人は、年間に最低でも5日は取得しなければならないことになっています。
これは正社員だけへの決まりではなく、アルバイト・パートであっても取得しなければいけない決まりになっています。
言い出しにくい職場もあるかもしれませんが法律で決まっていますので、皆で相談してうまく取得するようにしてください。
有給休暇取得日の給料はいくら?
有給休暇とは文字通り、お休みしても給料が出る休暇のことです。
では有給休暇を取得した場合、どのくらいのお給料が支払われるのでしょうか。
以下の3つのパターンがあって、勤務先は就業規則などでどのように有給休暇の際の給料が支払われるのかを定める必要があるので、雇用契約書などで確認しておきましょう。
- 通常賃金
最もスタンダードな支給方法で、普段もらっている1日分の給料と同額が支払われます。
時給1200円で1日4時間働いている方は、4800円が支給されます。
- 平均賃金
以下の2つの計算式のうち高いほうの金額を用います
- 過去3ヵ月間の合計賃金 ÷ 過去3ヵ月間の日数
- 過去3ヵ月間の合計賃金 ÷ 過去3ヵ月間の労働日数 × 0.6
例えば8月から10月までの3か月間の場合(92日)で、この3か月間の賃金の合計が27万円、出勤した日数が54日の場合
1.27万円÷93(日)=約2903円
2.27万円÷54(日)×0.6=3000円
有給休暇を取得した日の賃金は高いほうの3000円となります。
- 標準報酬日額
勤務先で健康保険に加入しており、なおかつ労使協定を結んでいる場合に適用されます。
あまりアルバイト・パートの方の有給休暇の際の賃金支払いには用いられていません。
普段もらっている給料等をもとに算出され、保険料計算の時に用いられる標準報酬月額を30で割った額です。
アルバイト・パートの残業と休日出勤
アルバイト・パートであっても契約した時間以上に働けば、その超過した労働時間分の給料は出ます。
また休日だけど忙しいから出勤した場合にも、当然ですがその労働時間分の給料が出ます。
アルバイト・パートの残業
アルバイトとして契約している勤務時間で仕事を終わろうとしたら
「ごめん、もう少しだけ残ってくれないかな?」
と店長に声を掛けられて30分だけ残って仕事をした。
よくあるパターンですが、30分でも残れば当然ですが給料が発生します。
時給1200円で働いておれば、30分÷60分=1/2ですから、時給1200円の1/2の600円が支給されます。
あれ?時給分とは別に残業手当って支給されないの?
正社員で働いた経験があれば残業手当が出るものと思いがちですが、残業手当をもらうためには基準を超える必要があります。
1日8時間、週40時間を超える労働をした場合には残業手当(割増賃金)が支給されます。
逆に言えばこの時間の範囲内での勤務であれば、残業手当(割増賃金)は支給されません。
- 1日8時間または週40時間を超えた場合は、通常の賃金の25%以上の割増賃金
- 1か月に60時間を超える時間外労働(残業)を行うと通常の賃金の50%の割増賃金
時給1200円、1日に6時間、週に3日アルバイトとして働いている人が、1時間だけ残業した場合は残業手当は無しで1時間分の時給1200円が支給されます。
時給1200円、1日に8時間、週に5日アルバイトとして働いている人が、1時間だけ残業した場合は残業手当300円と1時間分の時給1200円の計が1500円が支給されます。
お休みの日に仕事をした場合
「今度のお休みの日だけど、悪いけど入ってくれないかな?」
こう言うセリフもよく言われると思います。
当然ですけどお休みの日に仕事をすれば、働いた時間だけお給料をもらえます。
休日勤務の割増し(休日勤務手当)ですが、これは法定休日に出勤した場合には35%以上の割増賃金が支払われるものです。
法律では週に1日は休みを与えなければならないとなっていて、この週に1日しかお休みがないにもかかわらず出勤した場合に休日勤務の割増し(休日勤務手当)が支払われるものとなっています。
アルバイト・パートでも週に5日働いている方も多いでしょうが、このケースでもお休みは週に2日あるので、2日のお休みのうちの1日仕事に出たとしても休日勤務手当の支給には該当しません。
深夜時間帯に働けば深夜勤務手当が支給されます
法律で定められている通り、午後10時から午前5時までに勤務した場合には25%以上の割増賃金(深夜勤務手当)が支給されます。
時給1200円の方が午後10時以降に勤務した場合、1時間当たり300円の深夜勤務手当が時給とは別に支給されます。
時給1200円で夕方6時から夜12時までアルバイトした場合
6時間×1200円=7200円
午後10時から午後12時まで深夜勤務を2時間行っているので
1200円×25%=300円、300円×2時間=600円
合計で7200円+600円で7800円がこの日の給料となります。