電車が遅れたために遅刻してしまった。
これって不可抗力なんだけど、気まずい思いをしたりめちゃくちゃ焦ったり、言い訳と捉えられないかと不安に思ったり。
特に入社試験や入学試験など、人生のターニングポイントになりそうな大事な場面での遅刻となれば、それはもう気が気ではないです。
そこで電車が遅れたことが原因だと証明する遅延証明書(延着証明書)を入手し、不可抗力によってしかたがなく遅刻したのだと証明する必要性が出てきます。
この遅延証明書について説明していきます。
遅延証明書とは
遅延証明書は文字通り列車が遅延したことを証明する書類で、概ね5分以上の遅れが発生した時に発行されます。
遅延証明書はレシート程度のサイズのものが一般的で、改札口などの駅員に発行してもらいます。
小田急のように自動改札で発行されるケースもあります。
また最近は各社のHPやアプリで遅延証明書が表示されるケースが多く、スマホで表示するまたは紙にプリントして使用するものが普及しています。
この遅延証明書ですが、乗車していた列車の遅れを証明するというものではなく、その時間帯の最大の遅延状況を証明するものです。
そして遅延証明書は乗車証明書ではありませんので、列車に乗っていたことを証明する書類でもありません。
また同じ会社であれば別の路線であっても遅延証明書が発行されますが、別の会社の遅延に関しては遅延証明書が発行されない点には注意が必要です。
駅での遅延証明書の発行をやめた会社も
ペーパーレス化や、人と人との非接触や非対面化をうたって、駅での遅延証明書の発行を取りやめる会社が増加しています。
この場合はスマホで遅延証明書を表示させるか、プリントするのかの二択になります。
出先で遅延証明書をプリントするとなると、コンビニのマルチコピー機を利用することになるのかな。
企業や学校によってはweb上で表示される遅延証明書は、その鉄道を利用していない人でも表示できることから、信用度としては駅で配布されている遅延証明書ほどではないとするケースもあります。
その鉄道会社では遅延証明書の駅での配布を取りやめたので入手できませんと、説明する必要があるかもしれません。
駅での遅延証明書の配布をやめた事業者
- JR西日本(近畿・岡山地区)
- 近鉄
- 京阪
- 阪急
- 能勢電鉄
- 大阪モノレール
- 大阪メトロ(旧 大阪市営)
- 北大阪急行
- 神戸電鉄
など
遅延証明書はその会社の路線での遅延状況を証明する書類
遅延証明書は発行した会社の遅延状況を証明する書類で、他社の遅延状況まで証明はしていません。
同じ会社の別の路線に乗り換えた場合
A鉄道のB線で10分ほどの遅れが出たため、同じA鉄道のC線の乗り換え予定にしていた電車に乗ることができず、目的の(ア)駅に予定より20分ほど遅れて到着した場合。
この例ではB線もC線も同じ会社の路線ですので、たとえC線はまったく遅延していないにしても、C線の(ア)駅で遅延証明書を受け取ることができます。
※このケースの場合は駅員に請求してもらうことが多いです。
A鉄道のB線で3分ほどの遅れが出たため、同じA鉄道のC線の乗り換え予定にしていた電車に乗ることができず1本あとの列車に乗車したため、目的の(ア)駅に予定より10分ほど遅れて到着した場合。
遅延証明書は列車の遅延を証明するものなのですが、この例では列車の遅れはB線の3分だけでC線の列車は遅れておらず、乗り換えの関係で目的駅には10分遅れたものです。
遅延証明書は列車の遅延が5分以上発生した場合が対象ですので、この例では発行対象外となります。
逆にB線で5分ほどの遅延が出ていたが、C線で乗り換え予定にしていた一本あとの電車の乗車することになったものの、目的の(ア)駅には当初の予定より3分遅れで到着した場合。
(ア)駅には当初の予定より3分遅れたものの、C線の電車は遅延なく運転していた。
しかしB線の列車は5分遅れで運転しているために遅延証明書の発行対象となります。
改札を出て別の会社の路線に乗り換えた場合
D鉄道の電車が5分ほど遅れたことで、乗り換え予定だったE鉄道の電車に乗車できず結果的に目的の(イ)駅の到着が予定より10分以上遅れた。
この例でD鉄道の遅延を証明する遅延証明書はD鉄道で発行され、E鉄道では発行されません。
遅延証明書は他社の遅延状況まではカバーされておらず、このケースの場合はD鉄道の乗り換え駅で遅延証明書を発行してもらう必要があります。
直通運転の場合
延着証明書の発行は、自社路線を走行する列車が5分以上遅れた場合にのみ限られています。
F鉄道からG鉄道を経由してH鉄道まで直通運転する列車も関東では多数運転されています。
小田急の車両が東京メトロを走行している間は東京メトロの電車、JRを走行している間はJRの電車として扱われますので、この直通運転の電車を利用してJRの松戸駅に到着した際に5分以上遅れておれば松戸駅で遅延証明書が発行されます。
ホームで他社に乗り換えするケースの場合
I鉄道の車両は(エ)駅までの運転で、同じホームでJ鉄道に乗り換え可能な場合。
例えば阪急神戸線の車両は阪神神戸高速線の新開地駅までの運転で、新開地駅から明石・姫路方面は山陽・阪神電車の車両で運転されていますが、改札から出なくても同じホームで乗り換えができます。
阪急神戸線の電車が5分以上遅延して新開地駅に到着したものの、新開地駅で乗り換える山陽電車は定時で運転していることはよくあります。
このケースで本来乗り換えられる山陽電車に新開地駅で乗り換えることができず、結果的に目的の山陽明石駅には当初予定よりも15分遅れた場合でも、山陽明石駅では遅延証明書は発行されません。
山陽電車は定時で運転されているためです。
なおこのケースで遅延証明書を受け取るには
- 新開地駅で駅員から受け取る
- 阪急のHPで表示させる(印刷する)
阪急の車両は阪神神戸高速線内では阪神電車の扱いですから、新開地駅で遅延証明書の発行が受けられます。
※阪急京都線の遅延を阪神神戸高速線・新開地駅では証明できません
しかし明石駅は山陽電車の路線ですし、山陽電車が定時運転しておれば遅延証明書は発行されないのです。
過去の遅延証明書が必要な時
列車が遅延した当日は急いでいたために遅延証明書を受け取れなかったが、勤務先に提出する必要があるので後日発行してもらいたい、というケースもありますよね。
一部の事業者では過去の遅延証明書の発行を駅で行っていますが、駅での発行は当日分のみで過去の遅延証明書はHPやアプリでのみ提供というケースが多くなっています。
※関東では駅で過去の遅延証明書の発行に応じてもらえることが多い
※関西ではそもそも駅での遅延証明書の配布をやめた会社も
そこで主な事業者がHPにおいて何日前の遅延証明書の発行まで対応しているのかをまとめてみました。
(2021/12/1現在)
JR北海道 | HPでの掲載は無し |
JR東日本 | 首都圏の路線は45日 その他の路線は30日 |
JR東海 | 30日 |
JR西日本 | 45日 |
JR四国 | 45日 |
JR九州 | 北九州・福岡エリアの7:00~10:00の運行列車のみ 30日 |
東武鉄道 | 30日 |
西武鉄道 | 35日 |
京成電鉄 | 35日 |
新京成電鉄 | 7日 |
京王電鉄 | 31日 |
東急電鉄 | 1か月 |
京浜急行電鉄 | 31日 |
小田急電鉄 | 7日 |
相模鉄道 | 7日 |
名古屋鉄道 | 7日 |
近畿日本鉄道 | 7日 |
南海電鉄 | 7日 |
泉北高速鉄道 | HPでの掲載は無し |
京阪電鉄 | 7日 |
阪神電気鉄道 | 45日 |
山陽電気鉄道 | 7日 |
阪急電鉄 | 45日 |
北大阪急行電鉄 | 35日 |
西日本鉄道 | 西鉄天神大牟田線(太宰府線・甘木線)、西鉄貝塚線のみ 7日 |
札幌市営 | HPでの掲載は無し 過去分も駅へ申し出て発行 |
仙台市営 | 7日 |
東京都営 | 35日 |
東京メトロ | 35日 |
横浜市営 | 1か月(10分以上の遅延) |
名古屋市営 | 7日(10分以上の遅延) |
京都市営 | HPでの掲載は無し |
大阪メトロ | 35日 |
神戸市営 | 1年以上(証明書と言うよりは遅延の履歴をリスト表示) |
福岡市営 | 7日 |
過去の遅延証明書を駅で発行してもらう場合
過去の遅延証明書を駅で発行してもらえる事業者の場合、その鉄道を日常的に利用している方は駅で発行してもらうほうが便利かもしれません。
駅で発行してもらう場合には、定期券などを提示して利用していたことを証明する必要があります。
また本社や管理駅などへ遅延の状態を確認してからの発行となるので、少し時間がかかることがあります。