筆者はこれまでに様々なメダカの産卵床を使ってきました。
自作した物のほか市販されている物も使ってきました。
市販品であっても思ったほど卵を付けてくれない産卵床もありました。
メダカによって産卵床の好みが違うようで、去年は全然卵を付けなかった産卵床なのに、今年のシーズンにはもっともたくさん卵を付けた産卵床に出世したものもありました。
その中で最も安定的に卵を産み付けてくれる産卵床は何かというと、タワシです。
ここ数年タワシも産卵床として使っているのですが、本当に安定して卵を付けてくれます。
ここではタワシ産卵床について解説していきます。
何かに似てない?フラワータワシ
フラワータワシってご存知ですか?
ナイロン製で水切りネットのような網状、洗剤の泡立ちが良く水切れが良いので雑菌の繁殖を抑えるなど、台所用のタワシとしては非常に理にかなっている商品です。
自作も簡単でメダカ産卵床-1 簡単格安!水切りネットと結束バンドで自作しようを参考に、もう少し水切りネットの数を増やしてから結束バンドで留めればOKです。
この画像のフラワータワシは家の近くの100円ショップで購入したのですが、何かに似ていませんか?
この形のために食べ残したエサが入り込んだりするので、水道水でジャブジャブ洗うことも多いのですが、水切りネットやチュール素材で作るとジャブジャブ洗いの時に破れるなど耐久性に難点があります。
その点市販されているフラワータワシやころたまボールはかなり頑丈の素材で出来ているようで、少々ジャブジャブ洗ったところで破れたりはしません。
100円ショップでもフラワータワシという名前で売られていますので、かなり安価で丈夫な産卵床として使用できます。
フラワータワシは沈みますので、結束バンドや針金など結んで浮きを付けたりします。
筆者は針金で水槽に引っ掛けるようにして使用しています。
100円ショップで売られているフラワータワシは結束バンドで留められています。
この結束バンドの部分に結束バンドや針金を通して使います。
GEXから販売されている卵のお守り産卵床などスポンジで出来ているいわゆる「タマゴトリーナ」と、フラワータワシを同時に使用した場合、1日あたり「タマゴトリーナ」には0~2個程度の卵が産み付けられるのに対して、フラワータワシには10個以上は確実に産み付けられています。
一般的な茶色いタワシ
産卵床に昔からよく用いられてきた棕櫚(シュロ)素材。
今でも棕櫚素材の産卵床や棕櫚皮が販売されていますが、少しお高めな気もします。
昔はホウキやタワシなどにも普通に使われていた棕櫚ですが、今では安価なパーム素材が主流になっています。
茶色いタワシや茶色い毛をしたホウキの素材をチェックすると「コイアファイバー」と書かれていることが多く、成熟しきったココナッツから取れるもので一般的にパームと呼ばれています。
※棕櫚は棕櫚の木の皮
棕櫚にしろパームにしろ、どちらも天然素材でできています。
ただし棕櫚に比べてパームはやや硬いのですが、問題なくメダカの産卵床として使用できます。
灰汁(アク)を抜く
タワシは買ってきたらそのままお掃除に使うことが多いですし、特に問題もありません。
でもバケツなどにタワシを入れて熱湯をかけてしばらく放置していると、灰汁でお湯がこげ茶色になっていきます。
そのまま使っても問題ないとは思うのですが、念のために灰汁抜きをすることをお勧めします。
本当は火をかけた熱湯の中に入れて灰汁を抜く煮沸が最も良いのですが、鍋などが相当汚れます。
なので筆者はバケツにタワシを入れて熱湯を注ぎ、30分ほど放置してから水道水でよくすすぎます。
これを3回ほど繰り返すとほぼ透明な水になります。
タワシを変形させる
タワシって元々はまっすぐなものを、曲げて金属で引っ掛けているだけ。
なのでタワシの根元の金属をほどくと
ほどかずにそのままメダカのいる所へ入れても良いのですが、折れ曲がってタワシが重なった部分に卵を付けられると採集しにくくなります。
なので金属を外してU字型くらいに広げれば卵も採集しやすくなるし、卵を産み付けられる表面積が増えるので、効率を考えるとU字型に変形するほうが良いと思います。
※ただしタワシの金具を外すなどすると、タワシの毛が抜けやすくなる欠点が……
そしてタワシの置き方ですが
このようにタワシを持たれかけさせて、なおかつ壁面側に空間を作るようにタワシを斜めに置きます。
※この絵ではタワシはU字型に変形していませんが・・・
メダカは奥まった所や凹んだ所など目に付きにくい場所で、なおかつ水の通りの良いところに産み付けます。
タワシをこのように斜めに置いて、後ろ側が開いている状態にすることでメダカが卵を産み付けやすくするのです。
なお金具の方を底の方にする方がメダカにやさしいような気がして、筆者はいつもこのような感じで置いています。
ちなみにメダカが卵を産み付ける量ですが、たいていの場合はフラワータワシより1割ほどパームタワシの方が多いように思います。
ただフラワータワシは上層から中層、そしてパームタワシは下層に位置していますから、メダカの好みによって産み分けているように感じます。
またタワシをU字型にせず、まっすぐに伸ばした状態で入れておけば、水槽の上層から下層まで広い範囲をタワシ一つで受け持つこともできます。
「タマゴトリーナ」を2個、「フラワータワシ」「パームタワシ」を1個ずつ入れておいた場合、平均して1日あたりタマゴトリーナは2個で卵1個、フラワータワシは10個前後、パームタワシは11~12個程度の卵が産み付けられています。