20歳未満の知的障害を持つ子を扶養している場合、その子と保護者に対して特別児童扶養手当が支給されます。
その子が20歳になると特別児童扶養手当の支給は終了し、20歳からは障害年金(国民年金)を受給することができます。
特別児童扶養手当から障害年金へ自動的に給付が変わるのではなく、こちらから申請して認めなければ受給することができません。
その第一ステップとして診断書を医師に作成してもらう必要があるのです。
この診断書の内容によって受給が認められるか否かの大事な書類なのです。
年金なんて納めていないけど・・・障害年金を受け取ることができます
私も申請する前は大丈夫なのかと心配になりましたが、その障害の初診日が20歳になる前にあった場合には国民年金保険料の納付の有無に関係なく、20歳になると障害基礎年金を受け取ることが可能なのです→20歳前障害基礎年金
初診日って何?と思われる方も多いと思いますが、知的障害は生まれ持ったものであるとの考え方から一般的に出生日=初診日となります。
ふつうは初診日という言い方をすると、その疾病に関して初めて受診した時というイメージになりますが、知的障害は病気ではないので受診の有無は関係ありません。
また療育手帳(愛の手帳・愛護手帳)の交付を受けていなかったり、特別児童扶養手当を受給していない方もおられると思いますが、障害基礎年金の受給とは全く無関係!
療育手帳交付の有無や特別児童扶養手当受給の有無は障害年金受給の審査とはまったく別のものですし、もちろん請求が認められれば障害基礎年金の受給もできます。
書類を手に入れます
ふつうは市区町村役場の国民年金を担当する窓口で相談したり書類を受け取ったりします。
うちの場合は以下の書類を市区町村役場の年金課の窓口で受け取りました。
・診断書(精神の障害用)(A3サイズ)
・病歴・就労状況等申立書(A3サイズ)
・国民年金障害基礎年金所得状況届
・国民年金のパンフレット
・国民年金保険料免除・納付猶予申請書
市区町村役場のほか年金事務所や年金相談センターで受け取ることもできますし、日本年金機構のホームページからダウンロードすることもできます。
精神の障害用の診断書を提出するとき
病歴・就労状況等申立書を提出するとき
市区町村役場で書類を受け取ろうと相談したときに
「療育手帳(愛の手帳・愛護手帳)がA(重度)判定の人は受給できるけど、B(中度)判定の人はもらえないですよ」
と言って書類を手渡そうとしない職員がたまにいるようですが、障害年金受給の判定は年金事務所が行います。市区町村役場の職員は障害年金受給の判定に関してはまったく関係がありません。
しかし作成した書類の提出先は市区町村役場となっていますので、もめたりケンカしないようにうまくお願いするようにして市区町村役場の職員から書類を受け取ってください。
そういったやり取りが面倒な人はダウンロードしてください。
原則A3サイズで両面印刷での提出なのですが、A4サイズでも受付は可能となっています。
片面印刷となる場合は医療機関にて割り印、またはそれぞれに医師の署名・捺印が必要となります。
どこで診断書を作成してもらうか
診断書の作成をどこにお願いするのかで頭を悩ませる方も多いですよね。
精神科の医師・精神保健指定医にお願いすることが一般的ですが、多くの方がこれまでに精神科を受診したことがないでしょうから。
児童相談所(こども家庭センターなど)や総合療育センターなどで発達検査や診断書を出してもらうのは18歳までですし、知的障害者更生相談所で特別児童扶養手当のための発達検査や診断書の発行はできても、私が住む都道府県では障害年金の診断書は発行してもらえませんでしたから。
知的障害者更生相談所などで障害年金の資料となる診断書の作成を引き受けてくださる所もありますが、混みあっていて診察や診断書作成の予約がなかなか取れないことも考えられます。
養護学校時代のママ友などから評判の良い精神科医を聞いたり、役所で書類をもらう際にどこの精神科医を利用している人が多いかを聞くなどして探してみましょう。
厚生労働省のサイト精神科・心療内科などの医療機関|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトを利用すれば全国の医療機関を検索することもできます。
これだと思う病院(医師)にまずは電話をしてみます。
そして
「知的障害がある子が20歳になったので障害基礎年金の申請をしたいのだが、診断書を作成してもらうことはできますか?」
とはっきりと聞いてみてください。
あまり乗る気ではなさそうな医師ならば、他の医師を当たってみてください。
診断書の出来によって年金受給の可否が決まる大事な書類となりますので、診断書(精神の障害用)の作成経験がある医師にお願いしたいですから。
ちなみに私が診断書作成を依頼した医療機関では費用は5400円でした。
発達検査
診断書(精神の障害用)の「臨床検査」の欄にいつ検査をしたのかを、発達指数や知能指数とともに記入するようになっています。
診断書の作成をお願いする医療機関で過去に発達検査を行っておれば、その時の結果を記入してもらえます。
的障害者更生相談所などで発達検査などを行ったことがある場合には、そのデータを取り寄せて診断書作成も可能なようですが、知的障害による障害年金の場合には2~3年ごとに更新手続き(障害状況確認届の提出=診断書の提出)が必要ですので、今後も診断書の作成をお願いする可能性のある医療機関ならば、その医療機関で発達検査を受けておくほうが今後もスムーズに診断書を作成してもらえます。
記載要領(精神の障害用)をよく読んでおきます
記載要領(精神の障害用)は診断書を作成する医師に記載方法や要点を説明しているものですが、診断書の作成をお願いする前にぜひ目を通しておいてもらいたいのです。
この記載要領(精神の障害用)の「2.日常生活能力の判定」および「3.日常生活能力の程度」には
単身でかつ支援がない状況で生活をした場合を想定し、その場合の日常生活能力について記載
と書かれています。
診断書の「日常生活能力の判定」という欄は
1.できる
2.自発的にできるが時には助言や指導を必要とする
3.自発的にかつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる
4.助言や指導をしてもできない若しくは行わない
という4段階のいずれかにチェックを入れるようになっていますが、例えば「適切な食事」の欄の場合、お皿を並べる程度ができて、親に出された食事をふつうに食べることができれば“できる”を選びたいところです。
しかし“単身でかつ支援がない状況での生活”を考えた場合、配膳もですが自炊やお店で買ってくるといった食事の用意全般を見る必要がります。
コンビニなどで食事を購入する場合でも偏りがあったり、いつも同じものしか買わない場合には3番目の「自発的かつ~」や4番目の「助言や指導を~」を選ぶことになります。
また「身辺の清潔保持」では季節感のない服装をしてしまう場合にはやはり、3番目の「自発的かつ~」や4番目の「助言や指導を~」を選ぶことになります。
診断書の作成に当たっては、医師と保護者との面談によって作成されることが多いのですが、会話だけでは思いがうまく伝わらないことがあります。
そこで記載要領(精神の障害用)をよく読んで、診断書の設問ごとに具体例を挙げて書き出してください。口ではうまく伝えられないと思う方は、その書き出した用紙を診断書と一緒に医師に提出してください。
こうして作成された診断書ならば、きっと満足できる内容に仕上がっているハズです。
障害年金支給の可否は診断書が最も重要なのです
診断書のほかにも病歴・就労状況等申立書を提出しますが、病歴・就労状況等申立書は診断書だけでは表せない細かな部分を補足する資料で、メインの資料はやはり医師作成の診断書になります。
診断書の記載内容によって障害基礎年金支給の可否が決定されると言っても過言ではありません。
もし診断書の内容に不満がある場合はもう一度医師に相談して書き直してもらうか、思い切って別の医療機関に診断書作成を依頼することも大事です。
診断書を作成するのは医師ですが、全てを医師まかせにせず、正確に診断書に反映していただけるようにがんばりましょう。
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