しばらく使っていなかったお気に入りの傘を使おうと思ったけど、手に持つとベタベタするし、柄が溶けているのか手に付いていしまう。
自転車のハンドルグリップがネチャネチャして手が汚れる。
ゴム製品やプラスチック製品の中には、時間とともに溶けているのかと思わせるベタベタやネチャネチャで使うのもいやになった…、なんて経験をお持ちの方も多いですよね。
ほかにも
スニーカーのソールがボロボロになったり
輪ゴムがテーブルの隅でくっついていた
しばらく使わなかったキーボードがベタベタしている
久々のキャンプなのにテントがベタベタする
お気に入りのバッグがネチョネチョしてる
などゴムやプラスチック製品（合皮なども）ではよく起きてしまう現象です。
これは水と合わさって化学変化を起こし、加水分解を起こしたもの。
加水分解を起こさないようにする方法と、加水分解でベタベタやネチャネチャになった傘の柄や自転車のグリップを簡単に元に戻す方法を見ていきましょう。
加水分解ってなに？
加水分解とは、水を加えることで物質の結合が絶たれてしまい、新しい物質を作り出してしまうこと…
なんて書いて科学のお勉強をしても仕方がないのですが、こういうことなんです。
ゴムやプラスチック製品の多くは可塑剤というものを加えて、柔らかくして形を変えやすくしています。
分子のレベルで結合しているのですが、ここに水分子が加わることで可塑剤の分子は結合を切られて、水分子と結合して新たな物質を作り出す。この作り出された物質がベタベタやネチャネチャの正体です。
水になんか濡らしていない……、という方も当然おられるわけですが、空気中にも水分は含まれていますから、この空気中の水分、簡単に言えば湿気と結合して加水分解を起こしベタベタやネチャネチャを作り出すわけですね。
加水分解を防ぐには
加水分解の原因は水、空気中に含まれる水分もその原因になりますから空気を遮断するしかありません。
よくスニーカーマニアの方は空気に触れさせないように密封保管していますが、これが一番有効な方法なんですね。
合皮でできたバッグなどは大きめのビニール袋に入れて極力空気を抜き、密封に近づけることである程度は防げます、ちなみにジップロックには特大サイズもありますからスニーカーやバッグの密封には良いかもしれないですね。
でも傘の柄や自転車のハンドルグリップを密封することは現実的には不可能。
まめに乾拭きして汗などの水分やほこりを拭き取る
キッチン用のアルコール除菌スプレーやアルコールを含む除菌シートで拭き取る
拭き取った後に防水スプレーをふっておく
ベビーパウダーを薄く塗布する（気休め程度ですが…）
ただ加水分解は水分を完全に遮断しなければどうしても起きてしまいますから、密封以外では完全に防げないのが本当のところです。。。
ベタベタ、ネチャネチャを取り除くには
今から使おうと思ったらベタベタしてる…。これどうすれば取れるかな…。
もっとも手軽に取るのならば、除菌ウェットティッシュが良いですね。
除菌タイプにはアルコールが含まれており、ベタベタやネチャネチャを拭き取るには効果的。
今からすぐ使うというときの応急処置として覚えておくとよいかもしれません。
※普通のウェットティッシュはダメですよ、ベタベタとティッシュがくっついて処理が大変なんです（経験者談）
キッチン用のアルコール除菌スプレーももちろんOK。スプレーして布などで拭き取ってください。
- 重曹やセスキ炭酸ソーダを水に溶かして（パッケージ裏面の説明通りの分量で！）スプレーして拭き取ったり、布にしみこませて拭き取るのも効果があります。
- ハンドクリームを塗って布で拭き取っていくのも効果がありますよ。
- パーツクリーナーもきれいさっぱりベタベタやネチャネチャを取ってくれますが、換気に注意するとともに、変色には十分気を付けてください。白っぽく変色することがあります。
- キーボードやマウスなどデバイスやガジェットのベタベタを取るには、水分が侵入して故障しないように揮発性が高い無水エタノールを使います。換気は必須ですし、火気厳禁で！
- ベビーパウダーでも取れますが根気は必要です。一時的に今日だけベタベタが気にならなければ良い！と言う時の応急処置目的でどうぞ。
- ハイターなど塩素系漂白剤でもスッキリ取れます。薄めて布にしみ込ませて拭き取るか、頑固なベタベタやネチャネチャを取るためのつけ置きも効果的です。
ベタベタを取った後のアフターケアも大事です
アルコール系（パーツクリーナーや無水エタノールなど）を使ってベタベタを取り除いた後は、よく拭き取れば良いのですが、重曹やセスキ炭酸ソーダ、塩素系漂白剤でベタベタを取り除いた後は、よく水洗いして水気がなくなるようにきれいに拭き取ることが大事です。
重曹、セスキ炭酸ソーダ、塩素系漂白剤に共通するのはアルカリ性の成分だということですが、アルカリ性は加水分解を加速させる性質があり、ベタベタを取ってただ拭き取るだけでは、これまでより早く加水分解が発生してベタベタしていることがあります。
「つい先日ネチャネチャを取ったのに、もうネチャネチャしてる……」
ネチャネチャを取る能力も高いのですが、ネチャネチャを発生させる能力にも長けているのです。
中性の洗剤（台所用など）できれいに洗ってアルカリ成分を洗い流すのが手っ取り早いです。
酸性のクエン酸を水を溶かしたものをスプレーして拭き取るのも効果的です（中和させる）
アルカリ成分を洗い流したり中和させた後、ベビーパウダーを薄く塗っておけば多少は加水分解の進行を遅らせることができますし、防水スプレーをふっておけば水分から守ることもできます。
せっかくベタベタやネチャネチャを退治したのですから、もうひと手間加えて再発まで期間を長くしておきましょう。
