都市部を中心にSuica・ICOCA・PASMOといった交通系ICカード・IC定期券が広く普及しています。
交通系ICカードに定期券を載せて、さらにチャージ(PiTaPaは後払い式)しておけば交通系ICカード全国相互利用サービスによって広範囲の鉄道やバスで利用することができます。
また非接触式のため従来の磁気定期券(紙の定期券)と違い改集札機に投入することなく、また定期入れなどから取り出すこともなくピッ!と触れるだけという利便性も魅力ですよね。
ところがこの利便性とは裏腹に、朝いつものように改札を通ろうとすると警報音がなって改札が閉まり通過できないことも少なからず発生しています。
前回使用時に入場記録はあるものの出場記録がない、簡単にいえばまだ改札から出ていない状態になっているのです。
そりゃまだ改札から出ていない状態なのに、改札から入ろうとすれば扉は閉まってしまいます。
そこでこのような場合の対処の仕方を見ていきましょう。
交通系ICカード・IC定期券は一定のサイクルでの使用が原則
IC乗車券やIC定期券の交通での利用には
“入場→出場”
というサイクルになっていないと利用不可になります。
これは磁気定期券の時代からキセルなどの不正乗車を防止するために導入されているサイクルで、このサイクルを崩しての利用はできなくなっています。
ある駅から初乗り料金の乗車券を購入して改札内に入り、定期券で出場するという昔ながらの不正利用を防止するためでもあるわけです。
「そんな不正乗車などしていない!」
にもかかわらず改札を通過できなかったり改札の扉が閉まる原因の大半は、ICカード・IC定期券に出場記録が無いために起こっています。
タッチしたのに出場が記録されていない
裏が茶色や黒い磁気定期券や切符(裏が銀色の磁気定期券もありますが)は改札に投入しますが、改集札機の中では磁気ヘッドに直接触れて読み取りを行うためにエラーが起こりにくいとされています。
ところが交通系ICカード・IC定期券はFeliCaのシステムを使っていて、交通系ICカード・IC定期券のICチップと自動集改札機のアンテナによって0.1秒という短時間で通信を行ってデータの読み書きを行っています。
しかしうまく通信が行えなかった場合にはエラーとなって読み書きができない、つまり出場記録を書き込めないというエラーにつながるのです。
エラーが多いのは出場記録の情報がないケースだけど
データの読み書きに関するエラーですから、当然入場記録に関するエラーも起きます。
しかし入場情報の記録ができていない状態で改札を通過しようとすると、改札の扉が閉まって警報音が鳴り響きます。
利用者は少し後ずさりし、もう一度タッチして改札を通過し直す。
これもよく見る光景ですよね。
これが出場記録のエラーになると、改札機の扉も閉まらず警報音も鳴らずに通過できてしまうことがあります。
恐らく出場でタッチした人数と改札を通過した人数とで差ができてしまい、そのまま通過できてしまう現象が起きているようです。
子供の切符を投入して通過したものの、背が低くて通過したとカウントされていないとか。
利用者が接近しすぎて改札を通過したために、2人通過したのに1人しか通過していないとカウントされたなど。
入出場ともにエラーは起こるのですが、入場時のエラーは比較的すぐに扉が閉まるなどするので再度タッチして事なきを得ます。
それに対して出場時のエラーはそのまま改札を通れてしまうことが多く、後々の手間が面倒であるなどイメージ的に出場時のほうがエラーが多いように感じるのかもしれません。
改札を入ることが出来なければ駅員へ申し出る
当然のことですが、改札を通ることができなければ駅員へ申し出て処理してもらいます。
定期券の区間内での利用ならば、IC定期券に残ったままの入場記録を取り消してもらうことですぐに利用できるようになります。
※簡単な事情説明を求められるかもしれませんが、気にすることなく事実をそのまま話せばOKです。
定期券ではなく交通系ICカードとして利用し出場記録が無い場合ですが、入場記録が残る駅からどこまで利用したのかを聞かれます。
いったん入場記録を消して、先ほど聞かれた利用区間相当分の運賃を現金または交通系ICカードから支払います。
これで利用できるようになります。
別の会社利用分の入場記録が残っている場合
交通系ICカード全国相互利用サービスによって、手持ちの交通系ICカードで他社での利用ができます。
JR西日本のICOCAで東京モノレールにだって乗車できるのですから。
ただし便利な反面、厄介なことも起きてしまいます。
例えば東京モノレール利用時に出場記録が無いまま大阪へ帰ってきます。
翌日JR西日本の改札で扉が閉まったので駅員に申し出たところ
「浜松町からの入場記録はあるのですが出場の記録がありません」
では浜松町から羽田空港第2ビルまでの運賃を清算すべく、浜松町からの入場記録をいったん消して・・・
そう簡単にはいかないのです。
東京モノレールの運賃清算をJR西日本でするわけにはいかず、原則東京モノレールの駅へ行って処理をしなければなりません。
だからって処理のために東京へ行くというのも・・・
他社で入場記録を消してもらって書類を受け取る
このケースでは東京モノレールの駅へ出向いて清算するのが原則ですが、大阪から東京まで交通系ICカードの処理のためだけに向かうのはさすがに現実的ではありません。
エリア外の他社利用分を清算する権限はありませんので、以下のような取り扱いを行うケースが多いようです。
- 入場記録を消す
- 有効証明書など未精算区間を証明する書類を受け取る
- 交通系ICカードが使えるようになる
入場記録を消して使用できるようにする方法です。
ただし今回の例で挙げたケースの場合、東京モノレールの浜松町~羽田空港第2ビルの運賃は未精算となります。
東京モノレールの駅へ行く機会があるときに、受け取った有効証明書など未精算区間を証明する書類を提示して運賃を精算します。
善意による行為とも言えますので、未精算運賃のある会社へ行く機会があれば払うようにしましょう。
入場記録の残る会社へ連絡してみる
規則に忠実なためか、機器の設置状況などによって物理的に処理ができないためか、駅員の性格のためかは知りませんが
「入場記録の残る会社へ行って処理してください」
といって譲らないこともあります。
同じエリア内など比較的近い鉄道会社ならば面倒だけど仕方ないのかなとは思いますが、あまりに遠い会社の場合にこういったことを言われると・・・
- 入場情報が残っている会社へ連絡する
- 事情を説明し承諾されれば、処理が可能な駅の中でこちらが希望する駅を伝える
- 鉄道会社からこちらが希望した処理可能駅へ処理の許可を与える
- 処理希望駅へ入場情報だけが残った交通系ICカードを持参し処理を依頼する
そのほかには
- 入場情報が残っている会社へ連絡する
- 入場情報が残った交通系ICカードと返信用封筒と切手を送付する
- 未精算運賃を差し引き交通系ICカードが返送される
こういった方法で処理するしかないようです。
まとめ
便利な交通系ICカード・IC定期券ですが、出場情報が書き込まれないまま改札を出てしまうケースって案外多いようです。
改札をタッチして通過するときは音や表示に気を付けることはもちろんのこと、確実にタッチするように心がけましょう。
後々面倒なことになるかもしれませんから。