水没した自動車は修理できる?やっぱり廃車?業者は買取ってくれる?

近年は毎年日本のどこかで大きな水害が発生していて、その様子をテレビのニュースなどで見ることが多くなっています。川から水があふれて道路や田畑どころか住宅まで水の被害に遭います。
道路などが川や池のような状態になれば自動車も冠水・水没してしまいますし、場合によっては自動車が流されていくことも起こります。それらの自動車はマフラーやエンジンルームから水が入ってエンジンがかからない状態になったり、車内のシートやダッシュボートに泥水の跡がくっきりと残ったりもします。
水没してしまった自動車は修理によって再び使えるようになるのでしょうか、それとも廃車にするしかないのでしょうか。また水没した自動車を買い取ってくれる業者はあるのでしょうか。
今回は水没した自動車について説明します。

エンジンは絶対にかけてはいけない!

まず最初に注意してほしいのは、マフラーが水没する水位に達した場合にはエンジンをかけてはいけないということを覚えておいてください。

エンジン内に水が入るなどして故障している場合もあるほか、今の自動車は電子部品が多く使われていることから基盤や配線に影響が出ることが大変多くなっています。
水害の場合はただ水をかぶるだけではなくゴミや泥が混ざった水ですから、水が蒸発して乾いてしまったとしても泥などがあちこちに残っています。
エンジンをかけようとしてエンジンのスタートボタンを押したりキー回すとバッテリーから電気が流れ、残った泥などによって配線がショートして火災が発生する危険性が高いのです。

特にハイブリッド車や電気自動車(EV)では一般の12Vのバッテリーのほかに高電圧のバッテリーを搭載していることから、エンジンのスタートボタンを押すと配線がショートして火災発生の危険性のほか感電する危険性も高いのです。

ですので水没した車のエンジンをかけようとする行為は大変危険である、ということをまず念頭に置いておいてください。また点検や修理を依頼するなど車の移動が必要な際には、レッカーで移動するなど自走以外の方法を選択してください。

水没した自動車の修理は可能だが

水没車の修理ですが、いくらお金がかかっても良いのならば修理はもちろん可能です。

例えばマフラーやエンジンルーム内のエアクリーナーから水が進入してエンジンに達した場合、エンジン内のピストンが曲がってしまうなどの大きな損傷を受けます。(ウォーターハンマー)
自動車からエンジンを降ろして分解しパーツを交換するか、またはエンジン自体を交換すれば修理はできるという意味でです。
※この場合安く見積もっても数十万円、100万円オーバーの可能性が高いです。

エンジン部分だけではなく実際にはエンジンコントロールユニットなどの電子部品、オルタネーター(発電機)やセルモーターなどの電装部品など、・交換する場所は広範囲に及ぶため相当な出費を覚悟する必要はあるでしょう。

ではどの程度の水没ならばどの程度の影響があるのかを見ていきましょう。

タイヤが半分くらい水に浸かった

浅い水たまりに突っ込んだり、道路が30㎝程度冠水した場合が該当します。

この程度ならば修理などせずにそのまま乗り続ける方のほうが多いと思います、なにせエンジンが止まるといったトラブルなども発生しませんから。
ただしタイヤが半分ほど水に浸かればブレーキローター(ディスクブレーキの円盤形の部品)も当然濡れてしまい、しばらくの間はブレーキの利きが悪くなる可能性があります。

タイヤがすべて水に浸かってしまう水深の場合

タイヤが完全に水没した場合、ドライブシャフトというエンジンの回転力をタイヤへと伝えるパーツも水に浸かります。
回転するパーツは摩擦や熱の発生を抑えるためにグリスが塗布されていますが、雨水によってこのグリスが落とされている可能性があります。
エンジンは動くでしょうから緊急避難のために車を使う場合はやむをえませんが、できるだけ早く自動車修理工場などで自動車の下回りの点検を受けることをお勧めします。

マフラーが水没した場合

「マフラーが水に浸かったら修理はできない」

よくこのような事を耳にしますが、マフラーが水没した場合どのようなことが起きるのでしょうか。

マフラーはエンジンの排気ガスを排出するために設けられており、エンジンに直結しているパーツです。エンジンは気化したガソリンと空気を混ぜ合わせた混合気をピストンの往復運動で10分の1くらいに圧縮します。
ところがマフラーから水が侵入した場合、混合気とともに水がエンジン内部へ達してしまうことがあります。
ピストンは変わらず往復運動で圧縮しようとしますが、気体と違い液体である水は残念ながら圧縮することはできません。
水に負けてしまうピストンは大きな損傷を受けコンロッドというパーツは曲がってしまうのです。
ピストンが損傷を受ければエンジンは回転することができません。
このように水によってエンジン内部が損傷することをウォーターハンマーといいます。

あくまでエンジン内部にまで水が到達した場合ですが、長時間マフラーが水没状態の場合はウォーターハンマーが起こる確率が高くなります。
まずは自動車修理工場に点検を依頼して、どの程度の影響があるのかを判断してもらう必要があります。

マフラーまで水に浸かっているのに走っている車

マフラーは排気ガスを排出するためのパーツです。
エンジンがかかっている状態ならば、マフラーからは排気ガスが出続けていますので水がマフラー内に侵入しにくいのです。
ただ排気ガスの圧力よりも水圧のほうが強いのでだんだん排気効率が悪くなり、やがてエンジンは止まってしまいます。

エンジンルームが浸水した場合

こちらもマフラーが水没した場合と同じで、エアクリーナー部分からエンジン内へ水が侵入することでウォーターハンマーが起こる可能性が高くなります。
この場合もやはり自動車修理工場へ点検を依頼することになります。

室内が水没した場合

シートの下のフロアマット辺りまで水没するケースのほか、シートが完全に水没するケースもあります。
シートの下まで水が入ってしまった場合はマフラーにも水が入っている可能性が高く、シートが完全に水没するケースだとボンネット内のエンジンも水に浸かっている可能性が非常に高いです。
また電子部品や基盤、配線などが損傷している可能性が非常に高いので、たとえエンジンが無事だったとしても意外と修理費用が高くなってしまいます。

また機械的な部分の問題以上に頭を抱えてしまうのが悪臭です。
水害による水没となるとゴミや泥などが一緒に流れ着き、乾いた後も悪臭を放つ原因となってしまいます。
また細菌やウイルスなどが一緒に付着している可能性も高く、シートなどをクリーニングしても完全にキレイにできると言い難いです。

もし修理するとして車両保険は使えるのか

台風など洪水による水没の場合、自動車保険の車両保険に入っておれば修理代を賄うことができます。
また一般型でもエコノミー型でも洪水等による水没については補償されます。
なお車両保険の保険金額よりも修理費が高い場合、差額は自腹で支払うことになります。
ただ多くの方は自腹で払うくらいならば廃車にするといった方が多いようです。

※水没であっても地震・津波が原因の場合は車両保険では補償されません!

水没車でも買い取ってくれる業者があるの?

ふつうの中古車買取業者に買取依頼したり、新車購入のためにディーラーに水没車を下取りに出しても、買取や下取りの価格が全くつかないばかりか下手すれば廃車手数料を請求される可能性があります。
ところが今では一般に買取価格が付かない車でも買い取りを行う、廃車買取の専門業者が存在しています。

日本では買い手が現れないであろう水没車であっても、海外では安い修理費を生かして再販売したり、使えるパーツを補修部品としてストックするなどその用途は相当広いようです。
日本車は丈夫であるとの認識は世界共通ですから、日本では廃車となってスクラップとなるような車両でも海外では買い手が付くそうです。
水没車や事故車でも買い取ってくれる業者は、目を世界へ向けているから成り立つといえるのです。

ここではそんな損害車リユースのパイオニア的存在の株式会社タウをご紹介します。
筆者はおよそ10年前に水没車ではありませんが事故車をタウに高値で買い取っていただいた経験があり、非常に信用できる業者だと実感しています。

同社のデータによりますと水害の被害に遭った車両の引き取り台数は

画像出典 株式会社タウ 2019/10/16ニュースリリースより

また令和元年の台風19号では「災害対策本部」を立ち上げ被災車両は約100,000台と予測し、そのうち15000台の引き取りを見込んでいるそうです。



まとめ

まず水没した車のエンジンスタートボタンを押したりキーを回すなどの行為はしてはいけません。水と一緒に流れ着いたゴミや泥のために基盤や配線がショートして、車両火災のほか感電の危険性があるためです。

愛車が洪水などで水没した場合、いくらお金がかかっても良いのであれば修理自体は可能です。
ただしエンジンがウォーターハンマーにより破損した場合は高額の修理費が必要になりますし、エンジン以外の修理・交換も必要になってきますからふつうは修理せずに廃車とする方が多いです。
またフロアやシートが水没した場合には悪臭や細菌・ウイルスの付着など、快適に乗車できる環境ではなくなる可能性が高いです。
もし廃車することを決めた場合には、水没車両の買取にも応じてくれる業者に査定を依頼するのが賢い選択だと言えるでしょう。