お掃除やお洗濯のときに一般の洗剤では落としにくいことってよくありますが、こういった場合に情報番組などでは必ずと言って良いほど登場するのが重曹やクエン酸です。
でも重曹やクエン酸を使ってお掃除や洗濯しても、あまり汚れ落ちがよくないと感じることって多いですよね。
重曹やクエン酸にはそれぞれが得意な汚れ落としの分野があり、その分野が違っているとほとんど効果を発揮しないものなのです。
ここでは重曹やクエン酸の性質から特異な汚れ落としの分野を知ることで、お掃除やお洗濯に上手に活かす方法を見つけていきましょう。
汚れ落としの基本は中和させること
中和というと酸性の物質とアルカリ性の物質を混ぜて水または塩(エン)またはその両方を作ることで、中性にすることではないと中学生のころ習ったはずですが覚えていませんよね。
汚れ落としの基本は、汚れの原因物質が酸性ならばアルカリ性の物質を使って中和させ、逆に汚れの原因物質がアルカリ性ならば酸性の物質を使って中和させることで汚れを落としやすくします。
これが汚れ落としの基本で、重曹やクエン酸を使って汚れ落としするのも実はこの基本に則った方法なのです。
重曹は弱アルカリ性ですので、酸性の汚れを落とすのに適しています。
油汚れ・皮脂・血液などに効果を発揮します。
クエン酸はその名の通り酸性ですので、アルカリ性の汚れを落とすのに適しています。
石鹸カス・尿汚れ・電気ポットの白い汚れなどに効果を発揮します。
セスキ炭酸ソーダってなに?
最近はセスキ炭酸ソーダを使ってのお掃除やお洗濯についてもよく見かけるようになりましたが、重曹やクエン酸との違いって何なのでしょうか。
セスキ炭酸ソーダを分類すると重曹と同じアルカリ性なのですが、セスキ炭酸ソーダのほうがpHが高い、つまりきついアルカリ性物質なのです。
なので汚れ落としの用途は重曹と同じなのですが、たとえば重曹は研磨効果があるのに対して研磨効果はなく、重曹より水に溶けやすい性質を持っています。
水に溶けやすい性質と皮脂や血液汚れ効果を発揮することから、お洗濯の際に洗剤の代わりにセスキ炭酸ソーダを洗濯機に入れるといったこともできます。
重曹を使っても落ちないような頑固な汚れにセスキ炭酸ソーダを用いる、というのが基本となります。
重曹を使ったお掃除やお洗濯
重曹を使ったお掃除やお洗濯の方法を見ていきます。
重曹の基本的な使用方法は以下の3つになります。
手が荒れることがありますので、炊事用の手袋を着用してくださいね。
・粉のまま使用
重曹を直接汚れたところにふりかけて、スポンジやブラシでこすって汚れを落とします。
粒子が細かいために研磨効果もあります。
・重曹水
重曹はやや水に溶けにくいのですが、よく混ぜあわせてスプレーボトルなどに入れて使用します。
水500mlに対して重曹を8~10g(小さじで2杯程度)が基本分量です。
・重曹ペースト
重曹ペーストとは水と重曹を混ぜ合わせるのですが、ドロッとした状態のものを汚れに付けて使用します。
水1に対して重曹2~3といった割合になります。
換気扇・レンジフード
換気扇やレンジフードのフィルターやファンなど取り外し可能なものを、新聞紙の上に重ならないように置きます。
重曹を粉のままふりかけて、そのまま2~3時間放置します。
ティッシュペーパーなどで擦るように汚れを拭き取っていき、最後に水をかけて洗い流せばピカピカに!
重曹の研磨効果と油汚れを中和する効果を活かしたお掃除の方法です。
取り外せないパーツは重曹水をスプレーするか、重曹ペーストを塗っておいてしばらく放置した後に拭き取ります。
重曹水や重曹ペーストでも汚れ落ちがもう一つの場合、セスキ炭酸ソーダを水500mlに対して小さじ1杯程度を溶かしたものをスプレーしてみましょう。
ガスコンロ
ガスコンロの五徳など取り外せるものは大きめの桶などに入れて、重曹水につけおきします。
しばらく放置した後に歯ブラシなどで擦ればたいていの油汚れは取れてしまいます。
なかなか取れないしつこい油汚れの場合は、熱湯をかけたり熱湯の中に入れて油を汚れを浮かせてしまい、その後に重曹水をスプレーして歯ブラシで擦ればピカピカになります。
天板など外せないパーツには重曹水をスプレーして拭き取ったり、粉を直接ふりかけてしばらく放置した後に湿らしたふきんなどで丁寧に拭き取ります。
電子レンジ
電子レンジ内の汚れにも重曹は大活躍します。
水500mlに対して重曹小さじ1杯の薄めの重曹水を作り、陶器など耐熱性の容器に入れてチンして湯気が出るくらいに温めます。
電子レンジの庫内に重曹水の湯気が行きわたり、さらに汚れを落としやすくするために10~15分ほど放置します。
ふきんなどでサッと拭けば簡単に汚れが落ちます。
壁紙やスイッチ周りの汚れ
重曹水はお部屋のいろいろな場所で活躍します。
壁紙やスイッチ周りの手あか汚れや照明のカバーにこびりついたホコリなどは、重曹水をスプレーしてタオルなどで拭き取ればOK
ただしタバコのヤニ汚れは重曹水ではなかなかキレイに落ちませんので、軽い汚れならば後述のクエン酸水をスプレーして拭き取れば落とすことができます。
シャツの襟首や袖口の汚れ
ワイシャツの襟首や袖口に付着した黒い汚れや黄色い汚れ。
皮脂によって黄色く汚れていき、その皮脂にホコリなどが付着して黒くなっていきます。
軽い汚れならば酸素系漂白剤で落ちるのですが、頑固な汚れになると漂白剤だけでは落ちてくれません。
皮脂が原因ですので40度程度のお湯につけることで落ちやすくはなるのですが、襟首や袖口の汚れの部分に重曹の粉を軽くふりかけて、歯ブラシなどで擦るとキレイになります。
衣服に付着したワキガ臭を取りたい
衣服の脇の部分に付着した黄色い汗染みとワキガ臭って洗濯洗剤を直接つけてブラシで擦ったり、漂白剤につけてもなかなか落ちてくれません。
そこで重曹水に30分ほどつけてから、絞らずに洗濯機に入れてお洗濯してください。
洗濯機でのお洗濯の際に酸素系漂白剤を入れればさらに効果アップ。
重曹水は水ではなくお湯のほうが効果が高くなります。
※重曹を使用して洗濯しないでください!
ウールやシルクといった大変デリケートな生地や、朝・い草といった天然の素材には使用しないでください。重曹の粒子は大変細かくてウールやシルクなどの繊維に入り込んで生地を傷めますし、天然の素材は変色することがあります。
クエン酸を使ったお掃除やお洗濯
クエン酸をお掃除やお洗濯で使うときは水に溶かすことがほとんどです。
水500mlにクエン酸を小さじ2杯ほど入れて混ぜたクエン酸水を作り、スプレーボトルに入れて使うのが便利です。
キッチン周りのお掃除
クエン酸は水垢をきれいに落としてくれますので、シンクの水垢を落とすのにピッタリ。
クエン酸水をスプレーでシュッと吹きかけて、スポンジなどで擦れば白く曇っていたシンクがピカピカになりますよ。
また蛇口などの汚れもそのほとんどは水垢が原因ですから、クエン酸水をふりかけて布などで拭き取れば見違えるようにキレイになります。
また電気ポットや電気ケトルの中の白い汚れ(カルシウム等が固まって付着)には、水を満タンに入れてからクエン酸を入れてよくかき混ぜ、沸騰してから水でよくすすげば取ることができます。
水500mlに対してクエン酸小さじ3杯程度が目安になります。
お風呂掃除
水垢落としに活躍するクエン酸ですから、お風呂場の蛇口やシャワーヘッドの汚れにももちろん活躍します。
また鏡が曇ってしまって見えないのも水垢や石鹸カスが原因ですので、こちらもクエン酸水をシュッとひと吹きして拭き取れば完了♪
またお風呂場の洗面器・湯桶やイスなどにこびりついた石鹸カスも、クエン酸水を吹きかけてスポンジで擦れば簡単に落とすことができます。
トイレ掃除
クエン酸は尿素や尿石のお掃除に効果があり、クエン酸水をふりかけてブラシで擦ったり雑巾で拭き取ったりします。
便器のふちなどスプレーで吹きかけた程度では汚れが落ちないこともありますので、その時は水とクエン酸を混ぜてペースト状にし、汚れの部分にクエン酸ペーストを塗って30分ほど放置します。
その後ブラシなどで擦って汚れを落とし、水をかければお掃除完了です。
加湿器のお手入れ
加湿器や空気清浄機で加湿機能が付いている機種の場合、フィルターを定期的にお掃除しないと異臭の原因になってしまいます。
加湿器や空気清浄機を使っていて何だかいやなニオイがする・・・というときはクエン酸でフィルターをお掃除しましょう。
※フィルターの取り外し方は取扱説明書で確認してください。
水3Lに対してクエン酸大さじ1杯の割合で溶かして、そこへフィルターなどを30分ほどつけおきます。
その後水道水でよくすすげばお掃除完了です。
クエン酸入りの水にフィルターなどをつけていると、みるみるうちに水が汚れていくのでマメにお手入れしようと思いますよ。
クエン酸をお洗濯に
お洗濯にクエン酸を使うって、重曹とは違ってあまり聞かないかもしれません。
しかし次のような効果が期待できるのです。
汗やおねしょの匂いを落とす
汗って本来は弱酸性ですし無臭なのですが、服の中などで蒸発できずにいるとアンモニアや尿素などが濃縮し、さらに重炭酸イオンが蓄積されていくことでアルカリ性に傾いてしまい、結果として雑菌が繁殖することでニオイのもとに変化していきます。
そこで汗のニオイが気になる衣類やおねしょのニオイが染みついた寝具などを、クエン酸だけでお洗濯するのです。
水10Lに対してクエン酸は大さじ一杯程度を入れてしばらくつけおきし、そのあとはふつうに洗濯機を回すだけ。
ここで注意点が
漂白剤や衣類用の洗剤を使わず、クエン酸だけでお洗濯することがポイントになります。
重曹とクエン酸を一緒に使う
重曹はアルカリ性でクエン酸は酸性、混ぜてしまえば中和されてしまい効果が何も出ないのでは・・・
実はこの二つを一緒に使うことで効果を発揮するお掃除方があるのです!
カビを取る
カビに対してクエン酸水をふりかけます。
そこへ重曹を粉のままふりかけるか、天井部分などでは重曹水をふりかけます。
すると泡がどんどん現れてきますので、そのまま30分ほど放置します。
そして雑巾などで拭き取ればカビ退治の完了となります。
根の深いしつこいカビにはカビ取り剤を用いるほうが簡単に除去できますが、表面に生えたカビならばクエン酸と重曹でキレイに落とすことができます。
排水口
キッチンやお風呂場の排水口のニオイって気になりますよね。
排水口のパーツを取り外しておき、こちらには重曹を粉のままふりかけておきます。
排水口にお湯を注ぎ入れてニオイのもとになっている物質をやわらかくしておきます。
排水口に重曹を粉のまま入れていきます(100gを目安として)
そのあとにクエン酸を粉のまま排水口に入れていきます(50gを目安として)
コップに入れた水を適量を入れると、泡がどんどん出来ます。
しばらく待って音がしなくなったら水を流して排水口のお掃除完了♪
排水口のパーツは歯ブラシなどで擦ればぬめりなどが取れて、こちらもお掃除完了♪
お洗濯に
シャツなどの襟首や袖口の汚れは重曹だけでも落ちるのですが、汚れが頑固な場合には思ったほど効果が出ないこともあります。
そこで汚れに重曹水をかけたあとにクエン酸水をかけると、泡が出てきて頑固な汚れを浮かせてくれます。
そのまま洗濯機に入れて普段通りに洗えば、頑固な襟首や袖口の汚れがきれいさっぱり落ちています。
ちなみ重曹とクエン酸を混ぜた際に出てくる泡は人には無害な二酸化炭素。
炭酸水に含まれる泡と同じです。
まとめ
テレビや雑誌などでよく取り上げられる重曹とクエン酸を使ったお掃除やお洗濯ですが、比較的安価で手に入る割にはその効果が高くて大掃除の時などには大活躍します。
ただ重曹やクエン酸、それにセスキ炭酸ソーダには得意な汚れ落としと苦手な汚れ落としがあることを理解して、正しく使用しましょう。