コロナ禍をきっかけに急速に脱ハンコが進んでいますが、それはあくまで認印のレベルの話で、まだ当分の間は印鑑登録と印鑑登録証明書が必要な場面は出てくるでしょう。
不動産や自動車といった高価なものの売買の際に、書類に押された印影は本当に申し込んだ人が所有する印章なのかを証明する手段として、まだまだ必要な方法ですから。
印鑑登録はご存じのようにハンコ(印章)を押した印影をお住まいの役所に登録するもので、登録された印影を持つハンコ(印章)のことを実印と呼んでいます。
また実印や銀行印のように、登録されたハンコ(印章)のことをまとめて印鑑と呼んでいます。
一般的に印鑑登録に用いるハンコは注文して作ってもらいますし、吉相体や篆書体など複雑な書体で彫ってもらうためにかなり価格が高くなりますよね。
そして当然ですけど注文してからそこそこの日数も必要になります。
しかし急に妻の印鑑登録証明書(一般的には印鑑証明と呼んでいますね)が必要になることがあったのですが、妻は印鑑登録なんてしていません。
一般的には夫婦のどちらかだけが印鑑登録を行い、その印鑑証明を使ってさまざまな手続きを行いますよね。
そこで筆者の登録印鑑である実印を使って妻が印鑑登録をしようとしたのですが・・・
印鑑登録の方法やきまりなど
印鑑登録の方法や登録することができるハンコや登録できる人のきまりなど、意外と細かなきまりがありますので順に見ていきましょう。
印鑑登録は住民登録をしている市区町村役場で
印鑑登録は住民登録している(住民基本台帳に記録されている)市区町村だけで行うことができますが、15歳になっていない人や意思能力を有していない方は印鑑登録ができません。
一人が登録できる印鑑は一つだけです。
複数の印鑑は登録できません。
印鑑登録しているハンコを変更する場合には、現在の印鑑登録を廃止してから印鑑登録をやり直すことになります。
引越ししたとき
印鑑登録は市区町村役場へ転居の届出をした時点で廃止されます。
新しい居住地で印鑑証明書が必要な場合は、転居先の市区町村役場で印鑑登録を行う必要があります。
以前の居住地で登録していたハンコ・印鑑を、新しい居住地の市区町村役場で印鑑登録するさいにも使用することができます。
いずれにしろ、まずは新しい居住地の市区町村役場で住民登録(転入届)を済ませてからになります。
ただし同じ市区町村内での転居の場合は印鑑登録は廃止されませんので、新たに印鑑登録をする必要もありません。
印鑑登録できるハンコ
印鑑登録できるハンコにも規定があります。
- 25mm四方の正方形の枠内に収まるハンコであること
8mm四方の正方形の枠内に収まってしまうハンコはダメ
市区町村によって7mmだったり6mmだったりしますが、とにかくあまりに小さなハンコや大きすぎるハンコは印鑑登録できません。
- ゴム印やスタンプ印などはダメ
変形することがあるゴム印などはダメですし、朱肉が必要のないものはハンコではなくスタンプという扱いなのでダメです。
- 欠けているものなどはダメ
ハンコのフチ(外枠)は欠けやすいのですが、市区町村によって取り扱いが違います。
明確にフチが1/3以上無いものはダメという市区町村もあれば、フチが無いものはダメとなっている市区町村もあるなどさまざまです。
窓口の職員の判断によるところが大きいのかもしれませんが、大事な印鑑登録なので欠けていないハンコを用意して登録しましょう。
- 住民登録の氏名、氏、旧氏、名で表されていないものはダメ
住民基本台帳に登録されている氏や名でなければ印鑑登録できません。
旧氏も併記で登録していれば旧氏での印鑑登録も可能です。
氏の一部や名の一部の文字やその組み合わせは認められることが多い。
- 職業、資格など氏名以外が彫られたハンコはダメ
あくまで氏名をもとにして作られたハンコでなければダメです。
ただし「之印」「之章」のような誰々のハンコという意味合いの文字は認められます。
- イラストや顔写真等が加えられたハンコはダメ
あくまで住民基本台帳に記載されている氏名のみなのです。
- 動物の形等により氏名を図案化したものはダメ
文字の一部を猫や犬の形にしたハンコが流行っているのですが、印鑑登録には使えません。
そのほかにも
- 同一世帯にすでに登録されている印鑑はダメ
- 同じ印鑑で2人以上の人が登録するのはダメ
と明記している市区町村もかなりあります。
筆者の妻の場合ですが、HPなどに明記はされていませんでしたが、私と同じハンコでの印鑑登録はできませんと断られれてしまいました。
印鑑登録を行う人がそれぞれにハンコを用意する必要があるようです。
100円ショップのハンコはOK?
結論から先に書けば、100円ショップで売られているハンコは印鑑登録ができます。
私の実印で印鑑登録をしようとした妻ですが、窓口の職員によって断られてしまい
「すぐ近くの100円ショップでハンコを購入すれば、すぐに印鑑登録できますよ!」
と言われたのでした。
あとは小・中・高の卒業時にもらうことが多いハンコでも印鑑登録することができます。
ただし100円ショップで購入してきたハンコって、同じチェーン店だと全く同じ印影となるハンコを売っています。なにせ大量生産していますからね。
同じハンコが市中に大量に出回っているわけですから、不正利用が大変しやすいわけです。
セキュリティ面から考えれば、100円ショップで購入してきたハンコを印鑑登録するのはやめたほうが良いと思います。
学校卒業時にもらうハンコを押印して比べるとよくわかりますが、それぞれの印影って微妙に違っていたりするんですよね。
でもやっぱり簡単に作れてしまうハンコを印鑑登録するのは避けた方が無難ですね。
妻は役所の近くの100円ショップで購入したハンコで印鑑登録を行い印鑑証明をもらい、100円ショップで購入したハンコを“実印”とし、印鑑証明をとって保険関係の手続きで使用しました。
手続きが完了した数日後に再び役所へ行って、印鑑登録を廃止しました。
- 登録した印鑑
- 印鑑登録証
- 本人確認書類
を市区町村役場へ持参して申請書類に記入し提出すればすぐに廃止できます。
やっぱり100円ショップのハンコで印鑑登録はちょっと怖いですからね。
印鑑登録を役所で行う
印鑑登録を行う本人が
- 登録するハンコ
- 免許証やパスポートなど顔写真付の本人を確認する証明書
を持参して必要事項を申請書に記入して提出すれば即日で印鑑登録が完了し、印鑑登録証というカードや手帳タイプなど(自治体によって異なる)が発行されて、印鑑登録証明書(いわゆる印鑑証明)の発行を請求する場合に必要となりますので大事に保管しておきます。
また印鑑登録が完了したその場で印鑑登録証明書の発行も可能となります。
本人が登録しに役場に来たが身分証明書がない場合
印鑑登録を行う本人が市区町村役場へやってきて、印鑑登録を行おうとしたけど免許証などの顔写真付の本人を確認する証明書を忘れてきた場合や、これらの証明書を何も持っていない場合もあると思います。
このケースでは残念ながら即日での登録完了とはなりません。
住民登録している住所あてに照会書が市区町村役場から送付されてきますので、照会書の回答書に必要事項を記入して再度市区町村役場へ持参し印鑑登録を完了させる必要があります。
代理人が印鑑登録の申請を行う場合
印鑑登録の申請を代理人が行う場合にも即日で登録完了とはなりません。
- 印鑑登録するハンコ
- 代理人のハンコ(認印)
- 委任状(登録するハンコを使用)
- 代理人の身分証明書
をもって市区町村役場へ行って手続きを行い、数日後に印鑑登録する人の住所地(住民登録している住所)へ送られてくる照会書の回答書に、代理人ではなく印鑑登録を行う本人が必要事項を記入します。
- 照会書(回答書)
- 印鑑登録を行うハンコ
- 申請者と代理人の本人確認書類
- 代理人のハンコ(認印)
これらのものを持って市区町村役場へ行き、印鑑登録を完了させることになります。
印鑑登録証明書(印鑑証明)を取得するには
前もって印鑑登録をしておこうなんて考える人はごく少数で、ふつうは印鑑登録証明書(印鑑証明)が必要になってから慌ててハンコを登録する、という方が大半だと思います。
印鑑登録を申請するのが本人で、本人確認書類を持って市区町村役場へ行けば、印鑑登録と同時に印鑑登録証明書(印鑑証明)も発行されます。
その後に印鑑登録証明書(印鑑証明)が必要になれば、印鑑登録をしたときに発行された印鑑登録証(カード型や手帳タイプなど)を市区町村役場へ持参し申請用紙に必要事項を記入して提出すれば取得できます。
本人確認書類の提示は求められると思いますが。。。
印鑑登録証明書(印鑑証明)を取得する時には登録した印鑑(実印)は必要ありません。
印鑑登録証明書(印鑑証明)はマイナンバーカードを持っていればコンビニでの取得も可能です。
いちいち役所へ行く手間を考えれば、マイナンバーカードを持ってコンビニでサッと取得、のほうが便利ですね。
印鑑登録証明書(印鑑証明)は郵送で取得はできません
住民票などは郵送での請求も可能なのですが、印鑑登録証明書(印鑑証明)は郵送での取得はできません。
ただし自治体によっては
マイナンバーカードを使って自宅のパソコンから証明書の請求ができる電子申請
を採用していることがあります。
パソコンにパソリをつないでマイナンバーカード(公的個人認証による署名用電子証明書が搭載されているもの)で申請し、印鑑登録証明書(印鑑証明)の発行手数料と郵送代はクレジットカードで支払うものです。
コンビニで発行する際の手数料は安く抑えられているのに比べ、自宅のパソコンで請求する場合の発行手数料は市区町村役場で発行する時と同額で、さらに郵送代も加わるのが痛いところ。
しかし自宅から一歩も出ずに印鑑登録証明書(印鑑証明)が取得できる点は便利かもしれませんね。
印鑑登録証明書(印鑑証明)の電子申請を行っているのかを自治体のHPなどで確認してからご利用ください。