通勤や通学で決まった路線を頻繁に利用するのならば、SuicaやICOCAを使った普通運賃で利用するのはやはりもったいない。
そこで利用するのが定期券です。
定期券は一定期間内ならば使い放題となるため、利用すればするほど価値がでてきますよね。
このページでは定期券の割引率や何回くらい乗車すれば元を取れるかについて見ていきます。
※当ページに記載の運賃・料金は2024年11月末調べのものです。
定期券の割引率
定期運賃の決め方は会社によってかなりバラツキがあります。
大半の鉄道会社では1kmずつの運賃を決めていますが、会社によっては普通運賃と同じように例えば1~3㎞、4~7㎞といったような区分を設けて定期運賃を設定している会社もあります。
JRでは山手線・大阪環状線・電車特定区間・幹線・地方交通線で定期運賃が違いますし、指定した駅間では定期運賃を抑えた特定区間が設定されるなど、かなり細分化されています。
私鉄(阪神電車)の1か月定期券の実質割引率
阪神電車の普通運賃と定期運賃(通勤・1か月)を比較してみます。
普通運賃 | 定期運賃 | |
1km | 160円 | 4110円 |
2km | 160円 | 4960円 |
3km | 160円 | 5710円 |
4km | 160円 | 6350円 |
5km | 200円 | 7000円 |
6km | 200円 | 7420円 |
このように阪神電車では定期運賃は普通運賃と違い1kmごとに定めていることが分かります。
例えば大阪梅田から姫島は4.4㎞ですから切り上げて5kmとなります。
7000円÷(200円×2)=17.5回
利用するときは毎回往復利用するとして、18日目には元が取れる計算になります。
週休2日の会社の場合には1か月に20日~23日ほど利用することになるので、なんとか元は取れるという感じですね。
大阪梅田から姫島の場合、20日間往復利用した場合の割引率は
200円×2×20=8000円
7000円÷8000円=約87.5%
100-87.5=12.5
12.5%の割引となります。
大阪梅田から神戸三宮までは31.2kmあり、普通運賃は320円で定期運賃は13080円です。
13460円÷(330円×2)=約20.4回
なんと20日間往復しただけでは元が取れません。
大阪梅田から神戸三宮を23日間がんばって往復利用した場合
330円×2×23=15180円
13460円÷15180円=約88.6%
100-88.6=11.4
がんばって23日間往復すれば約11.4%の割引となります。
関西の私鉄の定期運賃はあまり安くはありません。
小田急など関東の私鉄のほうが割引率が大きくなっています。
私鉄(小田急)の1か月定期券の実質割引率
例えば新宿から下北沢は4.9㎞ですから切り上げて5kmとなります。
5980円÷(167円×2)=約17.9回
利用するときは毎回往復利用するとして、18日目には元が取れる計算になります。
週休2日の会社の場合には1か月に20日~23日ほど利用することになるので、なんとか元は取れるという感じですね。
新宿から下北沢の場合、20日間往復利用した場合の割引率は
167円×2×20=6680円
5980円÷6680円=約89.5%
100-89.5=10.5
約10.5%の割引となります。
新宿から新百合ヶ丘までは21.5kmあり、普通運賃は324円で定期運賃は11630円です。
11630円÷(324円×2)=約17.9回
こちらも18日目には元が取れる計算になっていますね。
新宿から新百合ヶ丘で20日間往復利用した場合
324円×2×20=12960円
11630円÷12960円=約89.7%
100-89.7=10.3
約10.3%の割引となります。
JRの1か月定期券の実質割引率
JRの運賃体系は山手線・大阪環状線・電車特定区間・幹線・地方交通線で別になっていますし、東京・名古屋・大阪圏では指定した駅間の料金を安く設定する特定区間が設けられています。
また35㎞程度までは1~3、4~6㎞のように区分分けされた定期運賃を採用していますが、おおむね35㎞を超えると1㎞刻みで定期運賃を設定しています。
1か月通勤定期 | 14640円 |
普通運賃(IC) | 483円 |
利用するときは必ず往復利用するとして
14640円÷(483円×2)=約15.2回
16日目には元が取れることになります。
東京から横浜を20日間往復利用した場合の割引率は
483円×2×20日間=19320円
14640円÷19320円=約76%
100-76=24
約24%の割引率になります。
1か月通勤定期 | 17810円 |
普通運賃 | 590円 |
利用するときは必ず往復利用するとして
17810円÷(590円×2)=約15,1回
16日目には元が取れることになります。
静岡から富士を20日間往復利用した場合の割引率は
590円×2×20日間=23600円
17810円÷23600円=約75%
100-75=25
約25%の割引率になります。
1か月通勤定期 | 14470円 |
普通運賃 | 480円 |
利用するときは必ず往復利用するとして
14470円÷(480円×2)=約15回
16日目には元が取れることになります。
熊本から肥後大津を20日間往復利用した場合の割引率は
480円×2×20日間=19200円
14470円÷19200円=約75%
100-75=25
約25%の割引率になります。
私鉄(阪神電車)の3・6か月定期券の割引率
定期券には1・3・6か月定期がありますが、大阪梅田から姫島と神戸三宮までの1・3・6か月の通勤定期運賃を見てみると
姫島 | 神戸三宮 | |
1か月 | 7000円 | 13460円 |
3か月 | 19950円 | 38370円 |
6か月 | 37800円 | 72690円 |
3か月定期券は1か月定期券の3倍より少し安く、6か月定期券は3か月定期券の2倍より少し安いことが分かりますが
大阪梅田から姫島の場合
19950円÷(7000円×3)=95%
37800円÷(7000円×6)=90%
大阪梅田から神戸三宮の場合
38370円÷(13460円×3)=約95%
72690円÷(13460円×6)=約90%
このように
3か月定期券は1か月定期運賃の3倍から5%割引
6か月定期券は1か月定期運賃の6倍から10%割引
していることが分かります。
この3・6か月定期券の割引率は大半の私鉄で採用されていて、関東の私鉄各社も準じた内容になっています。
JRの3・6か月定期券の割引率
私鉄の3・6か月の定期運賃は大半の会社でそれぞれ5%・10%の割引となっています。ではJRではどの程度の割引になっているのでしょうか。
東京と横浜との間の通勤定期運賃は
1か月 14640円
3か月 41720円
6か月 70350円
41720円÷(14640円×3)=約95%
70350円÷(14640円×6)=約80%
静岡と富士との間の通勤定期運賃は
1か月 17810円
3か月 50750円
6か月 85540円
50750円÷(17810円×3)=約95%
85540円÷(17810円×6)=約80%
熊本と肥後大津との間の通勤定期運賃は
1か月 14470円
3か月 41240円
6か月 70640円
41240円÷(14470円×3)=約95%
70640円÷(14470円×6)=約81%
電車特定区間の東京・横浜間、幹線の静岡・富士間、地方交通線の熊本・肥後大津間の通勤定期運賃で見てみましたが、3か月定期券は私鉄と同じく5%の割引ですが、6か月定期券は何と20%の大幅な割引となっています。
JRの定期運賃は幹線や地方交通線を含め
3か月定期券は1か月定期券の3倍から5%割引
6か月定期券は1か月定期券の6倍から20%割引
となっています。
ただしJR西日本は京阪神都市圏での運賃・料金見直しにより、6か月定期券の割引率を1か月定期券の6倍から15%の割引程度に圧縮しています。
SuicaやICOCAのポイントを含めて計算すると
回数券の発売が終了し、現在は各社局ごとにSuicaなどの交通系ICカードで乗車した際にポイントが付与されます。
このポイントはどの程度お得になり、どの程度の回数までならば定期券よりお得になるのでしょうか。
Suicaの場合
先ほども例に出した東京~横浜間で見てみましょう
IC運賃 483円
10回(5往復)で運賃相当分のポイント(この例では483ポイント)が付与されます。
11回目以降は運賃の10%相当のポイント(この例では48ポイント)が付与されます。
33回利用で14352円
34回利用で14787円
1か月定期券は14640円ですから、同一月間に17往復以上往復する場合は定期券のほうが安くなります。
ちなみに今はなき回数券が今もあった場合、11回で4900円です。
1回あたり約446円ですから、33回の乗車を超えると1か月定期券のほうが安くなります。
ICOCAの場合
京都~大阪間で見てみます。
11回目の利用からは運賃の10%のポイントが付与されます。
運賃は580円
31回利用で16762円
32回利用で17284円
1か月定期券は17140円ですから、31回の乗車を超えると1か月定期券のほうが安くなります。
※大阪~京都間など私鉄との競合区間は運賃をかなり下げているのでこういう結果に。
岡山~倉敷間で計算すると、33回の乗車を越えると1か月定期券のほうが安くなり、Suicaと同等の結果になります。
SuicaのリピートポイントサービスもICOCAの利用回数ポイントもほぼ同じ結果に。
同一月に16~17往復以上する場合は概ね定期券のほうが安くなります。
まとめ
私鉄は普通運賃と定期運賃を比較した場合は定期券の割引率が低く、JRは割引率が高いことが分かりました。
また私鉄の3か月定期券は1か月定期券の3倍から5%引き、6か月定期券は1か月定期券の6倍から10%引きなのに対し、JRの3か月定期は私鉄と同じ割引率ですが、6か月定期券は1か月定期券の6倍から15~20%引きと大幅な割引を行っています。