毎年秋になるとハチによる被害が報道されます。ハチに襲われたことが原因で亡くなる方は毎年2ケタを下回ることは無く、これは熊やヘビに襲われて亡くなる人数を大きく上回っているのです。
またスズメバチの巣の駆除を内容とする番組の視聴率は毎回高いそうで、みなさんの関心の高さがうかがわれます。
今回はハチに襲われないために気を付けること、ハチが襲い掛かってきそうなときにはどう対処するのか、そして刺されてしまった場合の対処法を見ていきたいと思います。
ハチが人を襲い毒針で刺してくる理由
ハチが人を刺す理由ですが実は単純明快です。
それは自分たちの巣が襲われる危険性を感じたからなのです。
ただ人間がわざわざ巣を襲うだなんて、巣の撤去を目的としている場合のほかには考えられませんよね。
例えばハチの巣がある木を揺らせてしまった、足音が巣にまで響いて攻撃されると感じた、知らずに巣の周りで大声を発した、こういった理由でハチは巣を守るために人間を襲ってくるのです。
大きなスズメバチが1匹だけで飛んでいるときって、人を襲いに来ることってあまりないですよね。
ハチは巣を守るためには集団で行動し、集団で人に襲い掛かるものです。
なのでスズメバチが1匹だけで素通りするように飛んでいくときは、ほとんど危険性はありません。
最も肝心なことは巣に近づかないことだが
先に説明したように、ハチは外敵から自分たちの巣を守るために攻撃を仕掛けてきます。逆に言えば人間のほうからハチの巣へ近づかないようにすれば、刺される危険性はぐっと下がります。
ただどこに巣があるのかが分かれば良いのですが、ハイキングなどで森や山へ出かければハチの巣がどこにあるのかなんて分かりません。
ハチからの攻撃を受けにくくするにはどのようなことに注意するべきなのでしょうか。
ニオイに気を付ける
ハチは巣が襲われると認識した時(あくまでハチの認識)に仲間のハチに警報フェロモンというニオイによって知らせるとともに、その警報フェロモンを感知した仲間のハチたちは興奮状態に陥ると言われています。そして興奮したハチたちは一斉にターゲットに向かって攻撃を仕掛けてきます。
この警報フェロモンの成分は様々な物質の合成でできているそうですが、その中の3種類の物質が特にハチを攻撃的にしてしまうと言われています。
その3種類の物質ですが人間が用いる香水やコロン、芳香剤や制汗剤などの香料にも含まれていることがあるそうです。
香水の匂いをキャッチしたスズメバチが警報フェロモンだと勘違いして人を襲ってくる。
このような事態を避けるためにも、せめてハイキングなどで山林などへ入る際には何もつけないようにしましょう。
またお風呂に入らずニオイがきつい人にもハチ(特にミツバチ)は寄ってくることがあります。お風呂に入って清潔にして、香水などはつけずに強いニオイを発しないことがハチを近づけさせない第一歩だと言えるのです。
色に気を付ける
ハチは黒色のものを攻撃対象だと認識すると言われています。諸説あるのですが、黒い体毛で覆われたクマに襲われることがあるからだと言われています。
ハチに襲われた人は手足も刺されていますが、頭もよく狙われます。髪の毛が黒いためにクマだと認識されるからかもしれません。
ハチに襲われないようにするためには全身を白っぽい服装で統一するとともに、髪の毛を隠すためにも白っぽい帽子を被るようにします。
日焼けした黒い肌は特に注意して隠すようにしましょう。
ハチに虫よけはききません
虫よけのスプレーやシートなどが販売されており、夏の外出のさいには重宝しますよね。
ただし虫よけスプレーは蚊に効果はあるものの、ハチには全く効果がありません。
ハチをよける目的ならば虫よけではなく、黒っぽい衣服を身に着けて香水などニオイがするものをつけないようにすることを心がけましょう。
ハチがあなたの周囲を執拗に飛んだり攻撃してきたら
やたらとハチがあなたの周囲を飛び回り、羽や口で激しく音をたてながらハチが当たってくるような動作をしてくることがあります。
これはハチが攻撃するぞと警告している行動なのですが、こういう時にはどのような行動をするのがよいのでしょうか。
あなたの周りをハチが飛んでいるとき
顔のあたりにハチが来たら手を横に振って追い払おうとしますよね。
しかしこれはハチに対して攻撃をしていることになり、次にはハチが反撃してくる危険性が高ります。
ですので基本的には何もしないことがもっとも良い対処法となります。ハチがどこかへ飛んでいくまでじっとしていましょう。
ミツバチが好奇心が強くベランダで洗濯物を干している時などにも近づいてきますが、それはただ観察しているだけで何もしなければ攻撃してくることはありません。
とにかく手で払ったりせず、そのまま洗濯物を干していれば良いのです。
ハチからの警告には注意
しかしただ飛んでいる様子ではなく、あなたの横でハチがホバリングしているときや羽の音がすごく大きく聞こえるとき、スズメバチだとアゴをカチカチと鳴らしているときは巣のそばからすぐに離れろ、離れなければ襲うぞというハチからの最終警告です。
この状況になると手で払おうとしたり、怖くなって大声を出して走って逃げたくなるのですが、これらの行動はすべてNG。
静かに、ハチを手で払ったりせずに、後ずさりするように離れていくようにします。
ただしハチが警報フェロモンを出している時や、警報フェロモンに近いニオイをハチがキャッチした時は警告なしで襲ってくることが多々あります。
こういったハチが興奮状態のときは急いで巣から離れます。ハチは下方向への視界が狭いため、できるだけ身をかがめて背を低くして逃げます。地面を這うように逃げれば刺される確率は下がると言われています。またハチは数十メートルは追いかけてきて攻撃すると言われていますので、それ以上の距離を逃げる必要があります。
ハチに刺されたとき
ハチに刺されたときに気を付けていただきたいこと、それは局所的な症状なのか全身症状なのかということです。
局所的な症状とは、刺された部分が非常に痛くて赤く腫れあがり、やがてかゆみを伴うしこりが残るのですが、このように刺された部分の周囲にだけ発症するものを局所的な症状といい、自宅で応急処置を行えば大丈夫です。
これに対して吐き気や全身に蕁麻疹が現れたり、発汗、めまい、呼吸困難など刺された部分だけではなく全身に症状が現れた場合は、すみやかに救急車の手配を行って病院(アレルギー内科)を受診してください。
以下では局所的な症状の場合の応急処置を説明しています。
ミツバチに刺された時は針を抜く
スズメバチやアシナガバチの針は返しがないため刺された部分に針が残ることはありません。
針が残る可能性があるのはミツバチに刺されたときです。
針をピンセットでつまんで抜くか、針の部分をSuicaやICOCAなどのカード類で払い落すようにして抜き去ります。
くれぐれも指でつまんで抜いてはいけません!
針の上部には毒袋がついており、指でつまむことで針で刺された体内へ毒が注入されてしまいます。
毒を絞り出して流水で流す
ハチの毒は水溶性ですので水に溶けやすくなっているので、刺された部分を絞り出すようにしながら水道水で洗い流します。
毒を口で吸い出してはいけません!
水溶性ですから口に入ったとたんに唾液に溶け込んでしまい、口中から取り込んでしびれなどを発症する危険性があります。
虫刺されの薬を塗ります
刺された部分に虫刺されの薬を塗ります。
市販されている一般的な虫刺されの薬で良いですよ。
ただしかゆみがひどかったり赤く腫れあがっている場合には抗ヒスタミンの軟膏が有効的です。
ムヒアルファEXや新レスタミンコーワ軟膏などが代表的です。
患部を冷やす
赤く腫れることで熱を持っているでしょうし、冷やすことで血管を収縮させて毒のまわりを遅らせる働きもあることから、保冷剤などを使って患部を冷やします。
病院へ行く
ここまで応急処置を行えば数日で痛み・腫れ・かゆみは収まります。しかし数日経っても一向に収まる気配がない場合には皮膚科を受診します。
ハチは必要以上に攻撃はしません
ハチが人を襲うとき、それは巣を守ろうとするためです。
服装やにおいに注意することで、ある程度はハチからの被害を防ぐこともできます。
しかし生活圏にハチが巣を作った場合は、普通に生活していてもハチに襲われる危険性があります。
ハチの巣の除去は自治体によっては無料で行ってくれるところや、指定した業者に依頼するなど条件を付けて一定額の補助を出すところもあります。ですのでまずはお住いの自治体に相談してみましょう。
早急にハチの巣を撤去したい場合は、専門の業者に依頼しましょう。