夏の車内の温度上昇をどうやって抑えるのか、そして暑くなった車内はどうすれば早く温度を低下させられるのかを見ていきます。
ドアを開けた瞬間に熱風が襲い掛かってきて、熱くなったシートに我慢しながら座ったとしてもハンドルは熱くて触れない。
ダッシュボードはハンドル以上に熱くなっていて、やけどする危険性も。
エアコンをつけてもしばらくは熱風が出てくるだけで汗がしたたり落ち続ける。
誰もが夏に経験する地獄のような暑さの車内の克服方法のご紹介です。
サンシェードでは車内温度の上昇は抑えられない?
暑さを防ぐアイテムとして、フロントガラス部分にサンシェードを立てかけておくのは定番中の定番です。
実際に多くの方が使用していますが、ドアを開けた瞬間に熱風に襲われますよね?
一般的なサンシェードでは車内の温度の低下にはほとんど寄与しませんが、ダッシュボードやハンドルへの直射日光を遮ることになるので、真夏でもハンドルをすぐに触ることができる程度には温度上昇を抑えてくれます。
以下はJAFユーザーテストの真夏の車内温度 からの引用(編集)です。
もっとも暑くなったのは何も対策をしていない黒色のミニバンで、車内最高温度は57℃でダッシュボードは79℃に達しています。
ついで何も対策をしていない白色のミニバンで、車内最高温度は52℃でダッシュボードは74℃に。
やはり黒色の車はボディが熱を吸収するために車内も暑くなってしまうようです。
サンシェードを装着したミニバンは車内最高温度が50℃と、何も対策をしていないミニバンと大差がない結果になりましたが、ダッシュボードの温度は今回実験した5台のうち最も低い52℃でした。
車内温度があまり上がらなかったのは窓を3㎝だけ開けておいたミニバンで、車内最高温度は45℃とギリギリ耐えられるかもしれない程度には抑えることができたものの、ダッシュボードは75℃に達しています。
エアコンをつけたままのミニバンは車内最高温度を27℃に抑えることはできたものの、ダッシュボードは61℃とそこそこ熱くなっています。
車内最高温度 | ダッシュボードの温度 | |
対策なし(黒) | 57℃ | 79℃ |
対策なし(白) | 52℃ | 74℃ |
サンシェード装着(白) | 50℃ | 52℃ |
窓開け(3cm 白) | 45℃ | 75℃ |
エアコン作動 (白) | 27℃ | 61℃ |
やはりサンシェードでは車内の温度上昇は抑えられないという結果が出ています。
でもダッシュボードの温度上昇は比較的抑えられたので、おそらくはハンドルもそれほど高温にはなっていないでしょうからすぐに運転は可能かもしれません。
でも車内は危険な暑さのままですけども・・・
夏の車内温度は熱中症の危険性が高い
JAFの実験結果から見ると、外気温が35℃のときの車内の温度は窓を開けていても45℃もあり、サンシェードを使ったとしても車内の温度は50℃に達します。
厚生労働省の熱中症を防ごう!という「職場における熱中症予防対策」に関するPDFファイルがあるのですが、腕と足の作業(普通の状態での乗り物の運転、足のスイッチやペダルの操作)に関しては、熱に順化している人は30℃、熱に順化していない人は29℃というWBGT基準値(暑さ指数)が示されています。
熱中症のリスクを事前に判断するために開発されたのがWBGT基準値(暑さ指数)で、この基準値である温度を下回ることが熱中症を回避するためには有用なのです。
熱中症になるとさまざまな症状が出てくるわけですが、熱中症の初期症状である“めまい”や“顔のほてり”“一瞬意識が遠のく(一時的な失神)”といった症状が出れば事故に直結するおそれが。
こうした観点からも車内温度をいかに低下させるのかは、大変重要な課題なのです。
サンシェードは車外に取り付けると効果数段アップ!
まずは基本的なことから
サンシェードの銀色の面は外、他の色は車内側に向けていますか?
銀色の面を外側に向けることで熱を反射して、車内への温度伝達を下げる効果が望めます。
また黒色は熱を吸収するため、車内側に向けることで少しでも熱を吸収してくれます。
逆にすると黒色で外の高温を吸収し、銀色で車内の高温を反射するという最悪の結果をもたらせますので注意しましょう。
ここから本題です。
サンシェードを車内側ではなく車外側のフロントガラスに設置することで、温度上昇を抑える効果が数段アップすることをご存じですか?
外側に設置することでフロントガラス自体の温度上昇を抑えることができますよね。
すると熱くなったフロントガラスの熱が車内温度を上昇させることもなくなります。
サンシェードを車内側に設置した場合、サンシェードとフロントガラスの間の空気が暖められることで車内温度が上昇しますから、やはりサンシェードは車外からフロントガラスを覆うようにするのが正解なのです。
JAFではサンシェードの外付けによる温度変化の実験は行っていませんが、外付けタイプのサンシェードを販売しているメーカーによる実験では、車内設置タイプのサンシェードと比べておおむね10℃以上は温度が低くなるとしています。
100均などで薄いサンシェードを購入し、車に設置する時には運転席側と助手席側のドアで挟むように設置すれば飛んでいくこともありません。
厚みがないほうが挟みやすくていいですし、できるだけ大きめのサンシェードを選ぶことがポイントです。
バスタオル+窓開け
ふつうにサンシェードを車内側に取り付けてもハンドルやダッシュボードの高温対策にはなるけど、残念ながら車内温度の上昇はあまり抑えてくれません。
それならばハンドルとダッシュボードさえ熱くならなければいいや!とお考えの方に、大きめのバスタオルをダッシュボードやハンドルにかけておくことをおススメします。
バスタオルをかけておくことで直射日光を遮ってくれますので、ハンドルはすぐに触れる程度にしか温度は上がりません。
ただバスタオルは熱や光を反射する白色のものを選んでくださいね。
そして熱くなった空気を逃がすために窓を2~3㎝だけ開けておきます。
運転席側と助手席側のように2か所を開けておけば効果はさらに上がります。
ドアバイザー(サンバイザー)を装着していれば、窓が少し開いていることは外見からは分かりにくいのですが、防犯上のことを考えて自宅駐車場などで行ってください。
日かげと日なたでの車内温度のちがいは
外気温が約32℃のときに車内の温度を27℃にした2台の車を1台は日なたに、もう1台は日かげに置いて車内温度の変化を比べた実験がJAFのYouTubeチャンネルjafchannelで公開されています。
10分後には日なたの車は35℃、日かげの車は31℃。
20分後には日なたの車は40℃、日かげの車は34℃。
30分後には日なたの車は42℃、日かげの車は35℃。
そして1時間後には日なたの車は43℃、日かげの車でも36℃に達します。
日かげのほうが少しは温度上昇を抑えることができますが、外気温以上に車内温度は上がってしまうことがわかります。日かげであっても子供を車内に置いたままでは命の危険が迫ることに。
ただし日かげに置くとダッシュボードやハンドルの温度上昇はマシになるので、運転する方にとっては幾分楽になりますね。
暑くなった車内温度を下げる方法
ここからは暑くなった車内の温度をいかに早く下げるのかを見ていきます。
JAFユーザーテスト、夏の駐車時、車内温度を最も早く下げる方法は?から見ていきます。
運転席側のドアを5回開閉することで、車内に溜まった熱気を助手席側の窓から追い出すほうほうですが、5回の開閉で55℃あった車内温度が47.5℃にまで低下します。
意外と使える方法ですね。
冷却スプレーは3分後に50.1℃まで低下はしますが、思ったほどの効果はないようです。空間の温度低下よりは、触る部分の温度低下に用いるほうが良いのかもしれません。
窓を閉めてエアコンの温度設定を最も低いLOにした場合ですが、10分後には外気導入で29.5℃、内気循環で27.5℃に低下。
ただし5分後の車内温度はともに30℃を超えていました。
そして窓を全開でエアコンの温度設定を最低のLOにし外気導入で2分間走行した実験ではすでに30℃を下回っており、その後窓を全て閉め切りエアコンは温度設定を最低のまま内気循環にして3分間走行すると、車内温度は28℃。
暑い車内に入る前に、まずは助手席側の窓を開けて運転席のドアを開閉することで熱気を逃がし、車内に入って窓を全開にしてエアコンを外気導入で最も低い温度設定にして走行。
2分経過したら窓を全て閉めて内気循環にして走行すれば、もっとも効率よく車内の温度を下げられることがわかりました。
まとめ
車内の温度を上げないためには
- サンシェードをフロントガラスの外側に設置する
- 窓を運転席側と助手席側で3cmほど開けておく
- バスタオルをダッシュボードやハンドルにかけておく
ことが有用なようです。
また暑くなった車内の温度を下げるには
- 助手席側の窓を開けて運転席側のドアを5回ほど開閉
- 窓を全開にしてエアコンを外気導入で2分ほど走行し、その後窓を全て閉めて内気循環で走行
が最も効率よく温度を下げることができるようです。
また日かげに車を置いただけでは思ったほど温度上昇を抑える効果はなく、こちらで紹介した他の方法を組み合わせることが有用です。
またたとえ日かげであっても、車内に子供を残したままでは命に危険が迫ることを肝に銘じておく必要があります。