免許証の更新の際に優良運転者講習を受けて免許証の更新を行った人は、概ね毎年60%を下回る程度だそうです。
初回更新者講習または優良運転者講習以外の講習を受けて免許証の更新を行った人の割合は、毎年概ね30%を超えるそうです。
それだけ交通違反によって青切符や赤切符を切られている方がいるということですね。
青切符ならば銀行等で払い込めばそれで手続きは終了するのですが、払わないといったいどうなるのでしょうか。
また警察官から手渡される青切符へのサインを拒否した場合、いったいどうなるのでしょうか。
青切符と赤切符の違い
ご存じの方も多いと思いますが、青切符は比較的軽微な違反(反則行為)を犯した場合に交付されるもので、違反点数5点以下のものが対象となります。
赤切符は6点以上の違反(非反則行為)の場合に交付されるもので、青切符の対象となる違反に比べると重い違反だということができます。
青切符の正式名称は「交通反則告知書・免許証保管証」、赤切符は「告知票・免許証保管証」が正式な名称です。
青切符が切られるということは免許停止や取消は免れるかもしれないが(累積点数による)、赤切符が切られたら免許停止または取消の対象である6点以上が付加されるということです。
※青切符や赤切符の交付に関して
これらの“切符”は刑事処分(反則金や罰金など)に関する書類です。
これに対して違反点数は行政処分です。
“切符”と行政処分には直接の関係はなく、“切符”が交付されなくても違反点数が付加されたり、免許停止や免許取消の処分を受けることはあります。
青切符へのサイン
交通違反を犯した場合に警察官によって青切符や赤切符が交付されるわけですが、これらの切符へのサインを拒否したらいったいどうなるのでしょうか。
これらの切符にサインをするということは、交通違反を犯したことを認めているということ。
青切符の場合はさらに、正式な裁判を受けずに反則金の支払いで今回のことを終わりにしたいという意思の表示でもあります。
取り締まり方法に納得がいかない、違反したとは思っていない、正式な裁判で決着をつけたいと思っている場合にはサインをしなくても良いのです。
また指印(指にスタンプのインクを付けて押す)を要求されますが、ハンコを持っていればハンコでも良いですし、押したくなければ押さなくても大丈夫です。
以前はサインとともに半ば強制的に指印を求められましたが、押しても押さなくてもどちらでも良いのです。
納付書で反則金を支払う
青切符にサインしてもしなくても、いっしょに反則金仮納付書(納付書・領収証書)が手渡されます。
反則金仮納付書の交付を受けた翌日から起算して7日以内に銀行や郵便局で反則金を仮納付すれば終了します。
これを「交通反則通告制度」といい、本当はほんの数kmの速度超過でも法律を破ったことになり裁判で罰金刑が言い渡されるのが本筋ですが、あまりにも件数が多いことで警察や検察が対処しきれないことや違反者への負担も大きすぎることから「交通反則通告制度」というものを作り、軽微な違反の場合は反則金を納めれば刑事罰は受けずに済むという制度を作ったのです。
道路交通法では速度超過は6か月以下の懲役または10万円以下の罰金と定められており、先ほども記したとおりほんの数㎞でも超過すれば本筋では懲役または罰金刑となります。
しかし「交通反則通告制度」によって15㎞未満の速度超過は9000円の反則金となっています。
ちなみに罰金は刑罰ですから前科が付きますが、反則金は刑罰ではないため前科は付きません。
反則金仮納付書で反則金を支払わなかったら
青切符にサインして反則金仮納付書を受取ったものの期限内に払い込むのを忘れていたり、やっぱり取り締まりに納得がいかないから払わない!という方もおられることでしょう。
反則金の支払いは任意であり、青切符の裏面にもそのことが書いてあります。
反則金を支払うことで交通反則通告制度が適用されて、刑事上の責任(罰金や懲役)は受けずに済みます。
支払わなければ交通反則通告制度が適用されず、本筋である道路交通法の違反容疑として裁判への流れとなっていきます。
ただし反則金仮納付書で期限内に反則金を支払わなかったとしても、ただちに起訴されて裁判とはなりません。
青切符を交付されて40日ほど経った頃に、交通反則通告センターから通告書と納付書が送付されてきます。
この納付書を受け取った翌日から起算して10日以内に納付すれば交通反則通告制度が適用されて、刑事上の責任(罰金や懲役)は受けずに済みます。
ただし反則金に郵送代などが上乗せされています。
またこちらから交通反則通告センターへ出頭して新たな納付書を受け取ることもできます。この場合には郵送代の上乗せはありません。
郵送されてきた通告書と納付書でも納付を行わなかった場合、その後も何回かは督促状とともに納付書が送られてきます。
また交通反則通告センターから出頭要請が郵送で送られてきます。
青切符にサインしなかった場合
青切符にサインしないということは、交通違反について認めていないので交通反則通告制度による反則金の支払いを拒否したということになります。
サインを拒否した場合、通常はその場で警察官が「供述調書」を作成します。
どこで、どういった運転した際に、どのような反則行為を行ったのかを細かく書いて作成され、最後にサインを求められます。
サインをすればこの供述調書に書かれたことに間違いはありませんと認めたことになります。
この供述調書へのサインも拒否することができます。
サインをしなくても反則金仮納付書が渡され、期限までに銀行等で支払えばそれで終了です。
サインもせず受け取った納付書で支払わなかったとしても、即起訴!即裁判!といった流れにはならず、このケースでも約40日後に交通反則通告センターから通告書と納付書が送付されてきます。
この流れはサインをしなかったとしても、サインしながら反則金を支払わない方と同じですね。
郵送されてきた通告書と納付書でも納付を行わなかった場合、その後も何回かは督促状とともに納付書が送られてきたり出頭要請が送られてくるのは上記のケースと同じです。
それでも支払わなかったり出頭しなかったら
交通反則通告センターから督促状、納付書、出頭要請が送られてきても無視していると
「反則金未納通知書最終通知」
が送られてきます。
交通反則通告センターまたは最寄りの警察署へ出頭し、銀行などで反則金を支払うように書かれたハガキですが、この反則金未納通知書最終通知は名前の通り、交通反則通告制度を適用して反則金を納めるだけで終わらせる最後のタイミングとなります。
これも無視すると交通違反は事件(道路交通法違反)へと発展し、反則行為を犯した反則者から被疑者(容疑者)へと扱いが変わります。
これまでは主に交通反則通告センターからの出頭要請でしたが、事情を聞くため警察から出頭要請されます。
この出頭要請は任意なので行かなくても良いですし、出頭するにしても仕事などの都合で日時を変更することも可能です。
この出頭要請は応じなければ何回かは同じように要請されます。
その後は送検されて以降は検察庁(区検察庁)からの出頭要請へと変わっていきます。
検察官からの事情聴取を受けて、検察が起訴するか不起訴とするかを決めるわけです。
略式裁判と通常裁判
・警察の取調べ
・検察庁の取調べ
・裁判
・罰金の納付
を1日(数時間)で全て済ませてしまう三者即日処理とよばれる処理の方法があり、取り調べと言っても書類への記名などだけで、その書類をもとに裁判(略式裁判)が行われるものがあります。
こちらの主張を述べる機会もまったくありませんし、ただ罰金の略式命令が下されるのが略式裁判です。
検察庁からの出頭要請に応じて取り調べを受けたときには、通常の裁判では時間もかかるしと略式裁判を強く推してきます。
なぜかと言うと
略式裁判ではほぼ100%罰金の略式命令が下されるからです。
取り締まり方法に納得がいかない、違反したとは思っていない、正式な裁判で決着をつけたいと思っているのならば応じずに、通常裁判を希望します。
ちなみにあなた自身が認めなければ略式裁判は行えませんので、通常の裁判で決着をつけたい人は略式裁判は拒否します。
裁判所から特別送達という手紙が送られてくる
特別送達とは裁判所から送られてくる書留郵便で中身は訴状です。
つまりは正式な裁判の日時が決まったということが伝えられるわけです。
裁判は欠席してもかまいませんが、欠席裁判と言って検察側の主張がすべて認められることになり、罰金刑が言い渡されることになります。
金額は反則金と同等なのですが(時には国選弁護士費用などが上乗せされるケースも)罰金刑ですから前科が付きます。つまりは前科者ということですね。
略式裁判を拒否したのに通常の裁判を欠席していたのでは意味がありません。
必ず起訴されるわけではないが
ここまで青切符へのサインを拒否したり、反則金を納めなかったり、出頭要請を無視し続けた場合の最悪のシナリオを見てきたわけですが、実際にはここまでひどい状態になることはあまりありません。
検察庁(区検察庁)からの出頭要請がない場合もありますし、出頭してご自身の意見を述べはしたけどその後何の連絡もなく終わってしまうケースも少なくはありません。
つまりは起訴されなかった(不起訴または起訴猶予)ということですね。
こうなると反則金も罰金も払わずにおしまいということになります。
実際に通常の裁判にまで至るケースはかなり少ないと言われてはいますが、0%ではありません。
これらは出頭要請に応じている場合だと言えます。
しかし警察や検察からの出頭要請を無視し続けた結果、逮捕されるケースは少なくはありません。
出頭要請に応じない人の自宅へ警察が来て、その場で逮捕されるということもあります。
また出頭要請を無視し続けることで警察や検察の心証を悪くすることになり、起訴される可能性が高くなるともいえます。
「危険だと分かっているのならばその危険を回避させるべきなのに、隠れて捕まえるといった取り締まり方法に納得がいかない」
「違反などしていない」
といった方は裁判も辞さない覚悟で臨むのは良いと思います。
その場合ならば出頭してご自身の思うことをすべて吐き出すことでしょう。
しかし、ただ反則金を支払いたくないといった理由で警察や検察からの要請をすべて無視するのは、ちょっと違うような気がしますし、起訴されても仕方がないのかなと思います。
ちなみに反則金や罰金の支払いを免れることができても、違反点数はこれとは関係なく付加されることが多いです。
起訴されずに刑事上の処分である反則金や罰金は無くなったとしても、行政上の処分である違反点数は起訴不起訴に関係なく付加されるのです。
通常このケースの場合は公安委員会において「聴聞」の場が設けられて、意見を言うことができます。
それでも警察・公安委員会の決定が覆らず、不起訴になったのに違反点数だけはしっかり加算されるケースがかなり多いようです。
元々違反自体が存在しないから不起訴になったのに、なぜ点違反数が付加されるんだ!と言って裁判を起こすケースもあるようですが、そこまでになると個人では闘えませんから弁護士さんに相談してください。