知的障害者の障害年金の申請-病歴・就労状況等申立書の書き方
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知的障害者の障害年金の申請-病歴・就労状況等申立書の書き方

知的障害

知的障害の方の障害年金申請においては医師が作成する診断書が最も重要な書類となるのですが、診断書だけでは年金受給の可否を決定する日本年金機構の職員にすべてを伝えることはできません。
そこで診断書では表しきれない部分を保護者などが客観的に見たり経験したことを文章にすることで、診断書の補助書類の役割を果たすもの、それが病歴・就労状況等申立書になります。
ここでは多くの方が書き方に詰まってしまう病歴・就労状況等申立書の書き方を、具体例を挙げながらいっしょに見ていくことにしましょう。

 

 

書類を手に入れます

病歴・就労状況等申立書は市区町村役場の年金課などで入手します。
多くの方が診断書(精神の障害用)といっしょに受け取っていることでしょう。
年金事務所や年金相談センターでも入手できますし、日本年金機構のHPでダウンロードすることもできます。

 

病歴・就労状況等申立書や記入欄が足りない場合に使用する続紙はA3サイズです。
一般的にご家庭のプリンターはA4サイズまでのものが主流ですよね。A4サイズでも受け付けはしてもらえるようですが日本年金機構のHPにはそのことは記載されていません。
ダウンロードした病歴・就労状況等申立書や続紙のPDFファイルやエクセルファイルをSDカードに入れて、コンビニのコピー機でA3サイズの両面コピーで印刷するのが手軽ですよ。

 

病歴・就労状況等申立書の作成もパソコンで行う方は、エクセルファイルをダウンロードしてパソコンで記入。
出来上がってからPDFファイルで保存し、コンビニのコピー機でA3サイズ両面コピーをすればOKです。

 

 

どういうことがあったのかを書き出しましょう

病歴・就労状況等申立書の作成するにあたって、出生時のころから現在に至るまでにどういうことがあったのかをどんどん書き出していきます。
母子手帳や日記に書かれていることや、遊んでいる様子を撮影したビデオなどを参考にしながらメモ書きしていきます。

 

例えば

・仰向けで後頭部を擦るような姿勢でハイハイしていた。
・1歳6か月検診のときはまだ歩くことができない。言葉も出ず擬音が少し。
・2歳7か月のとき療育手帳の交付。
・自閉傾向と多動症があると言われたのも同じころ。
・コマーシャルの好きなフレーズばかりを何度もしゃべる。
・爪をむしる。

こんな感じでとにかくいっぱい書き出してみてください。

そしてそれがいつ頃だったのかを整理して、病歴・就労状況等申立書に記載していく準備をしていきます。

 

 

表面から記入していきましょう

傷病名”の欄には、診断書に書かれた病名をそのまま転記します。
診断書に「知的障害」と書かれていれば「知的障害」、「精神発達障害」と書かれていたら「精神発達障害」と転記します。

必ず診断書と一致させてください。

発病日”は出生日を記入してください。知的障害は生まれながら持っているものとされるためです。
出生後の病気やケガが原因の場合には、その原因となる事象が発生した日を記入します。

 

初診日”の欄も出生日を記入します。こちらも発病日と同様の理由から、生まれつき持っているものと解釈されることから出生日を記入します。

ただ私は初診日は出生日ではなく自閉傾向であると指摘された日付を記入しました。
日付と言っても正確な日にちが分からなかったため、平成〇年〇月ごろと記入しました。

 

 

病歴状況は整理したメモを見ながら客観的に

「どういうことがあったのかを書き出しましょう」で書き出して整理したメモを見ながら記入していきます。

ここでのポイントは

感想は必要なく客観的事実のみを書く

ことです。

 

「1歳6か月検診のとき、よその子はみな歩いているのにうちの子は歩けず恥ずかしく悔しかったし、先々どうなるのか心配になった。」

親としては書きたくなるのですが、病歴・就労状況等申立書には感想を書くべきものではありません。あくまで診断書を補完する書類です。

「1歳6か月検診のときよその子は全員歩いていたが、うちの子はまだつかまり立ちだけだった。」

と、客観的な事実のみを記入します。

周囲の子や母子手帳などのグラフと比較した場合に、これだけ遅いのだという客観的な事実やデータを書くのは分かりやすくて良いですが、あくまで感想は一切排除して記入するようにします。

 

1~5欄で足りない場合は続紙に記入

「生来性の知的障害(精神遅滞)の場合は、小学校入学前(幼稚園、保育園)、小学校低学年、小学校高学年、中学生、高校生に区切って日常生活や学校での状況などを記入してください。」
となっていますが生まれてから小学校入学までには様々なことがあり、とてもではないが1つの欄に書ききれないといった方も多いでしょう。
この場合には2つ以上の欄を用いても当然OKです。

私は1と2の欄を使って生後2年半、3の欄はそののち小学校入学まで、4の欄に小学校(特別支援学級)1~3年生の頃のこと、5の欄に4~6年生の頃のこと、続紙を用いて6の欄を作って養護学校中等部の頃のこと、同じく7の欄を作って養護学校高等部の頃のことを記入しました。

実はこれだけは足りないのです。

私の場合ならば8の欄を作って、養護学校高等部卒業後から現在に至るまでの状況を書く必要があります。
これは市区町村役場の年金課の方に指摘されたのですが、学校卒業から現在に至る状況を書いていないと今現在はどういう状態なのかが全く分からず、日本年金機構側で判断のしようがないと言って却下または書類が返されてくるそうです。

病歴・就労状況等申立書の記載要領にはそういったことは書かれていませんが、そういった運用がなされているそうです。

 

医療機関への受診とその期間

各欄には“受診した・受診していない”と医療機関名を書くようになっていますが、知的障害って病気ではありませんから受診したことがなくても当然です。
実際には療育手帳発行時など数回は病院へも行っていますが、“受診していない”に〇を付けて提出しました。

ただし、一番最後の欄(私の場合は8の欄の高等部卒業から現在まで)だけは“受診した”に〇を入れて、受診した医療機関名を書く必要があるそうです。
一番最後の欄に医療機関名が書かれていない場合、年金の申請が却下または書類が返される確率が相当高いそうです。

市区町村役場の方から
診断書を作成してもらった医療機関名を書いておいてください
とアドバイスされたのでそれに従って記入しました。

 

具体的な記入例

少しですが、実際に提出した病歴・就労状況等申立書に記入したものを挙げておきます。

・普通のハイハイはせず、仰向けで後頭部を擦るような姿勢でハイハイしていた。
・6~7か月健診で体重増加不良を指摘され、その後も平均値よりかなり体重が軽い状態が続く。
・2歳7か月の平成〇年〇月から通所施設へ通い始め、同時期に療育手帳の申請を行い中度(B1)の判定を受けた。
・同時期に自閉傾向と多動症を指摘された。
・CMの最後に流れる社名(日本食研など)をずっと口ずさんでいた。
・手や足の爪を血が出るほどまでむしる自傷行為を行っていた。

書き出した事柄を時期ごとに編集し、さらに客観的に上記のように記入していきました。

 

 

病歴・就労状況等申立書の裏面


まず“障害認定日”を記入します。
知的障害の方が20歳になった際に申請することが多い障害年金(20歳前障害基礎年金)ですが、障害認定日には20歳の誕生日の前日の日付を記入します。
「年齢計算ニ関スル法律」というものがあり、年齢は誕生日の前日の午後12時(24時)に加算されるとなっているので、20歳を迎えるのは法律上誕生日の前日になるためです。

 

勤労状況”は仕事をしていれば職種等を記入します。
就労継続支援事業所に勤めているのならば、就労継続支援A型事業所で軽作業と言った具合に記入します。

仕事中や仕事が終わった時の身体の調子について記入してください”には、「周囲とうまくコミュニケーションが取れない」とか「帰宅時に情緒不安定なことがある」など、実際の状態をありのまま書いてください。

 

また仕事をしていなければ該当するア~オに〇印をつけます。
オを選んだ場合には仕事をしていない理由を記入します。
「一般企業には就職させてもらえないので、自分に合った就労継続支援事業所を探している」などと具体的に。

 

日常生活状況”は診断書に記載された内容と食い違わないように、1~4にチェックを入れていきます。
診断書では適切な食事の欄が“自発的にできるが時には~”にチェックが入っているのに、食事を4にチェックを入れたとします。
診断書と病歴・就労状況等申立書で違いがある場合、当然ですが診断書のほうを信用するとともに、病歴・就労状況等申立書に書かれた他の内容もウソ・作り話ではないかと思われてしまいます。
こうなると診断書では障害年金の受給が認められるのに、病歴・就労状況等申立書のせいで却下されることになりかねません。

絶対に診断書の内容と食い違いを見せないように注意してチェックを入れていきましょう。

 

その他日常生活で不便に感じたこと~”の欄は、病歴・就労状況等申立書の表面または続紙の最後の欄に記入したこととかぶります。
特に困ることを箇条書きにして記入するなどしてください。

知的障害による障害基礎年金を申請する場合、一般的には「現在(請求日頃)の状況を記入してください。」には記入しませんが、21歳以降に障害年金を請求する場合等にはこちらの欄にも記入が必要です。

療育手帳や障害者手帳をお持ちの場合は、障害者手帳の欄に記入してください。

最後の請求者は障害者年金を受給する方の住所・氏名・電話番号を、保護者の方が病歴・就労状況等申立書を作成した場合は、作成した保護者の氏名と続柄を代筆者の欄に記載してください。

続紙を使用しなかった場合には、表面の右上にNo1-1枚中
続紙を1枚使用した場合には、病歴・就労状況等申立書の表面にはNo1-2枚中、続紙にはNo2-2枚中と記載して完成となります。

 

 

診断書以外は自分で作成できます

病歴・就労状況等申立書の記載のコツをお伝えしてきましたが、多くの方は社会保険労務士に作成を依頼しているようです。

しかし記入方法のコツさえつかめば、自分で作成することは決して難しいものではありません。

お子さんの障害年金受給のために病歴・就労状況等申立書を作成する親御さんは、小さかったころから今に至るまでのいろいろな出来事を思い浮かべながら作成していくはずです。
そのいろいろと思い浮かんでくるすべてを、この病歴・就労状況等申立書に記入して仕上げてください。

 

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