日本は四方を海に囲まれいているので、古くから航路が発達してきました。
しかし新幹線・飛行機・高速道路・橋などが整備されるにつれて、航路はどんどん衰退していきました。
フェリーは飛行機よりはるかに鈍足です。
フェリーは鉄道ほど頻繁に運行されていません。
フェリーの乗り場は基本的に街から離れています。
フェリーと違ってバスならば街の中心地で乗り降りできます。
でもフェリーには他の乗り物にはない快適性があります。
移動は新幹線・飛行機・バス・自家用車と決めつけないで、フェリーを使ってみませんか?
フェリーの所要時間・料金など
ここでは東京と徳島・北九州(新門司)を結ぶオーシャン東九フェリーを例に見ていきます。
所要時間
羽田から徳島まで飛行機だと約1時間10分
羽田から北九州までは飛行機だと約1時間30分
東京から徳島まで新幹線と特急で約6時間
東京から小倉まで新幹線だと約4時間40分
新宿から徳島まで夜行バスだと最速で約8時間10分
新宿から小倉まで夜行バスだと最速で約13時間
ところがフェリーでは
東京から徳島まで約17時間30分
東京から新門司までは約34時間
まったくの鈍足なのです、フェリーって。。。
料金
そして料金ですが普通運賃で比べてみると
飛行機
徳島まで約37000円
北九州まで約45000円
新幹線
徳島まで約19000円
小倉まで約22300円
夜行バス
徳島まで約10000円
小倉まで約15000円
飛行機や夜行バスは会社によって料金が違いますし、普通料金ではなくもっと安い料金も設定していますよね。
フェリー
徳島まで約12000円
北九州まで約17000円
フェリーの料金は最も安い2等洋室で、8名または16名の相部屋ながらベッドで横になれます。
夜行バスよりは高いですが、飛行機や新幹線よりはかなり安いですよ。
フェリー乗り場
鉄道の駅や夜行バスの乗降場所と比較すると、フェリー乗り場は街はずれのことが多いです。
東京(有明)…りんかい線 国際展示場駅から送迎ワゴンタクシーで6分
徳島(沖洲)…徳島駅前から徳島市営バスで約20分
北九州(新門司)…門司駅前から乗り合いタクシーで約20分
しかし
徳島空港…徳島駅からリムジンバスで約30分
北九州空港…小倉駅からノンストップのエアポートバスで約30分
羽田空港も東京駅などからは離れていますし、フェリー乗り場とは大差ないかもしれません。
運航本数や航路
長距離航路は1日1~2往復の運航が大半で中にはもっと少ない航路もあり、他の交通機関に比べて本数がかなり少ないです。
また設定されている航路も夜行バスに比べると相当少なく、長距離フェリーに分類される航路は14しかありません。
大洗~苫小牧(商船三井フェリー)
名古屋~仙台~苫小牧(太平洋フェリー)
敦賀~新潟~秋田~苫小牧東(新日本海フェリー)
新潟~小樽(新日本海フェリー)
敦賀~苫小牧東(新日本海フェリー)
舞鶴~小樽(新日本海フェリー)
東京~徳島~北九州(オーシャン東九フェリー)
泉大津~新門司(阪九フェリー)
大阪~新門司(名門大洋フェリー)
大阪~志布志(フェリーさんふらわあ)
大阪~別府(フェリーさんふらわあ)
神戸~新門司(阪九フェリー)
神戸~大分(フェリーさんふらわあ)
神戸~宮崎(宮崎カーフェリー)
これら長距離航路のほかに中近距離のフェリーもあります。
船酔いが心配?
船に乗ることで最も心配なこと。
それは船酔いかもしれません。
残念ながらまったく揺れない船・フェリーはこの世に存在しません。
しかし日本国内の長距離フェリーの大半は10000トンを超える大型船で運航されており、小さな船と比べると揺れは小さいため船酔いしにくいとも言えます。
もし船酔いが心配でフェリークルーズを楽しんだことがないのならば、関西と九州を結ぶ瀬戸内海航路からチャレンジしてはどうでしょうか。
瀬戸内海は内海のために太平洋や日本海とは違いたいへん穏やかです。
小島が点在して風光明媚ですし、明石海峡大橋や瀬戸大橋、しまなみ海道の来島海峡大橋をくぐる体験はフェリーならではと言えますよ。
穏やかな瀬戸内海を10000トン級の大型フェリーは本当に静かに進んでいきます。
船酔いを防ぐ方法は?
・できるだけ船の中央付近の船室を選ぶ
船は中央付近が重心になるように設計されていて、この重心付近が最も揺れが少ない場所になっています。逆に船首や船尾に近付くほど上下の揺れは大きくなりがちです。
・酔い止めの薬を服用する
オーソドックスな方法ですが、遅くても乗船の30分前までに服用するようにします。
・下を向かない
本を読んだりスマホを操作するなど意外と下を向く動作って多いものですが、この下を向く動作というのは船酔いを誘発するものでもあります。
本やスマホを見る目は対象を追いかけて一点を集中している状態なので揺れていませんが、耳(内耳)では実際の船の揺れを感じています。この差によって脳が処理できなくなり自律神経を乱してしまって吐き気など船酔いの症状が出てしまいます。
・睡眠
フェリー乗船の前日はよく眠ることです。
睡眠不足が原因で船酔いを誘発することもありますよ。
・胃に負担がかからない食事をとる
吐くのがイヤだからと言って空腹で乗船するのは逆効果。
アルコールや脂っこいもの、そして酸っぱいものは避けて“おにぎり”や“うどん”といった消化にいいものを乗船の1時間前までにとるようにします。
また満腹での乗船も船酔いを誘発しますよ。
もし酔ってしまった場合は、デッキに出て潮風に当たりながら風景を楽しんだり、いっそうのこと寝てしまうのも良い手ですよ。
あとは氷を口に含むとすっきりして船酔いの悪化を防いでくれます。
フェリーをおすすめするこれだけの理由
ここまではややネガティブな内容になってしまいましたが、ここからはフェリーの良い点を挙げていきます。
足を伸ばしたり横になったりできる
夜行バスとは違い、足を伸ばしたり横になって眠ることができます。
いくら最近の夜行バスが深々とリクライニングできるとしても、やはり普段の体勢で眠ることができるフェリーにはかないません。
翌日の疲労感が全く違います。
入浴できる
長距離フェリーには大浴場があり、なかには露天風呂を設置したフェリーもあります。
また中距離のフェリーでも大浴場が設置されている船が多くなっています。
お風呂で汗を流して横になって眠ることができる、フェリーのおすすめポイントです。
レストランで食事
昔のフェリーのレストランと言えば値段が高いわりに大した料理が出てこない、そんなイメージでした。
ところが最近は他の船に負けないようにと、さまざまな名物料理や地域のお料理が提供されることが多くなっています。そして大半のフェリーはブッフェ(バイキング)方式で定額となっており、夕食も朝食も船内でとることができます。
バスに乗る前にあわただしく夕食をとって、降りてからは荷物を持って朝食の店探し・・・
フェリーならばそんな苦労も不必要ですよ。
自動車と一緒に移動できる
フェリーの良さを語るうえで、マイカーと一緒に移動できる点は外せません。
港に着いたらすぐ自動車で目的地に向かう。
もちろんオートバイや自転車だって運べますから、港に着けばすぐツーリングもできちゃいます。
乗船中だってうろうろできる
夜行バスは走行中は座席に座ってシートベルトの着用が義務付けられています。
でもフェリーならば船内を自由に散策できます。
パブリックスペースも広くとられているため、なかなか寝付けないときはプロムナードやロビーのソファに座って海を見ながらくつろぐ。。。
これも夜行バスにはないフェリーの良さですね。
ペットと一緒に旅行
最近のフェリーにはペットホテルような設備(ペットルーム)やドッグランが設置されていたり、中にはペットを連れて入ってもOKな船室が用意されていることも。
授乳室やコインランドリーも
赤ちゃんのおむつ交換や授乳ができるようにベビールームが用意されていたり、コインランドリーが設置されているフェリーもあります。
また喫煙室やお子さんが退屈しないようにキッズルームまで備えているフェリーもあります。
個室が多い
いわゆる2等の大広間に雑魚寝というイメージが強いフェリーですが、最近のフェリーは個室が主体となっています。2人用の個室の中にはホテル以上の広さと設備をもつものや、ファミリーやグループでくつろげる4人用の個室。
プライベート空間を大事にする人向けの1人用個室など、さまざまなタイプの個室が用意されています。
まとめ
フェリーは数年前まで年々利用者が減少していましたが、ここ数年は回復基調にあります。
船内の設備の充実、レストランのレベルアップなどにくわえて、豪華な船室を予約しても飛行機より安く、また最もリーズナブルな等級でも足を伸ばしてゆっくり移動できるのに夜行バスとそん色のない価格設定など、その魅力が見直されているのかもしれません。
ぜひ一度フェリークルーズを体験してください。
きっと新しい発見がありますよ。