年々暑い季節が前後に長くなり、夏休みの期間なんて35℃を超える猛暑日が当たり前のようになってきました。
夏の気温が上昇していくのと比例するように、降り注ぐ紫外線の量も増加しているといいます。
紫外線の量が増加すればもちろん日焼けもしやすくなります。
紫外線量の量が増加しているためか、服の下のお肌まで昔より日焼けしやくなっている気もします。
そこで色や素材による紫外線のカット率の違いをまとめてみました。
そこには意外な真実が隠されている??
年々増加している紫外線
冒頭に降り注ぐ紫外線量が増加していることを書きました。
では下記の表をご覧ください。
つくばの日最大UVインデックスが8以上の年積算日数の経年変化
気象庁 紫外線の経年変化よりお借りしました。
この表は年間のUVインデックスが8以上の日数を足したもの。
人体に影響を及ぼすUVインデックス8以上の年間積算数はおおむね増加の一途をたどっています。
つまり紫外線の量は年々増加しているということができ、日焼けに対する対処というより防御の必要性も年々高まっている、そう言えるのではないでしょうか。
日焼け対策には黒がいい?白だと日焼けする?
白いTシャツって夏には映えるのですが、Tシャツごしに日焼けするってよく言われていますよね。
そして日焼け対策の衣類(日傘やアームカバーなど)は黒などダークな色じゃないとダメともよく言われています。
いくつかのサイトを見て回ったのですが、紫外線のカット率はサイトによって様々ですが概ね
黒>青>緑>黄>オレンジ>赤>ピンク>白
の順に紫外線カット率の高い色から低い色へと並べられており、日焼け防止に有効な色は黒や青や緑が良くて、白は紫外線が通りやすくて日焼け防止には適さないとなります。
実際のところ、同じ糸で同じ厚さに加工した生地の場合、黒よりも白のほうが紫外線を通しやすいのは事実です。
ところが意外と白のTシャツでも紫外線を通さないことをご存じでしょうか。
白物衣料の大半に使われている蛍光増白剤
蛍光増白剤(蛍光剤)をご存じでしょうか。
見た目の白さを増すために使われるもので、目には見えない紫外線を吸収して目に見える青白い光に変える働きがあります。
輝くような白さを強調するために使われる蛍光剤によって紫外線が吸収されて、お肌に届く紫外線を大幅にカットしてくれるのです。
逆にオフホワイトなど白さをあまり強調しない色味の場合はほとんど蛍光剤は使われておらず、紫外線をかなり通しやすい。
これはグンゼの綿100%の肌着による実験結果ですが、ホワイトは紫外線カット率が98.1%にも上るのですが、オフホワイトでは78.9%とかなり紫外線を通すそうです。着ごこち+プラス|グンゼより
白いプリントTシャツやワイシャツの白って日光に当てると反射してまぶしいほどですが、実はこの白さって蛍光剤によるもの。
白さが輝く分、蛍光剤によって紫外線が吸収されているわけですね。
真っ白の服だから紫外線を通すので日焼けする、とは一概には言えないのです。
白以外の淡い色の服は紫外線を通しちゃう?
先の項でも書いたように、白いTシャツや白いワイシャツなど白さを強調するために蛍光剤を使用することで、紫外線の通過量が大幅に減少する一方で、オフホワイトなどの色味の場合は蛍光剤を使用していないことから紫外線を通しやすいです。
ではその他の色はどうなのでしょうか。
「布による紫外線防御効果に関する研究」などの研究を行った東海大学の竹下秀 准教授によると
“色がついておれば薄くても濃くても関係なく、お肌に影響を与えない程度まで紫外線をカットできる”
そしてそれは
“繊維を染める染料が紫外線を吸収するので、何色の服であっても紫外線をカットできる”
“黄色のTシャツのSPF値は15以上あり日焼け止めと同等”
つまり衣類のほとんどに使われている染料や、より白く輝かせるための蛍光剤によって紫外線はカット・吸収されるということです。
染められている衣類ならば何色の服を着ても、紫外線はあまり通さず日焼けすることも考えにくい。
ただし、染料や蛍光剤が使われていない「オフホワイト」だったり、生地の風合いや色味をそのままに仕立てた「生成り」などは紫外線をほとんどカットしないということですので、日焼け対策を考える必要がありますね。
夏の暑い時期に黒などダーク系の色味の服で身を包むのは、いくら日焼け対策と言ってもできれば避けたいと思うもの。
実はあまりにもダーク系にこだわる必要はなく、染められている衣類ならば薄い色でも効果は十分なんですね。
色と表面の温度について
そういえば日傘って黒っぽいものが多いですけど、傘の生地に手をやるとかなり熱くなっていますよね。
色と温度には密接な関係があり、黒は表面の温度が最も高くなります。
紫外線や熱を吸収してしまうからでしょうね。
逆に黄色は黒に比べるとかなり表面温度が低くなります。
熱くなるのは赤外線によるものなのですが、黄色って赤外線を反射する力が大変強い。
直射日光を避けてさらに少しでも涼しくするのならば、黒い日傘より黄色の日傘のほうが効果的ということになります。
これを応用して、Tシャツなども黄色のほうが紫外線を通しにくくて暑くもなりにくいことから、夏にぴったりの色かもしれません。
黄色以下「グレー」「青」「オレンジ」「黒」の順に表面温度が高くなっていくそうです。
日焼け防止効果高いTシャツは何色?黒、黄色、青、オレンジ、グレー、白で比較実験より
素材による違い
服の素材にもいろいろなものがありますが、紫外線をカットする率が高いものは「ウール」「ポリエステル」「ビニロン」などが挙げられます。
さすがに暑い時期にウールは避けたいところですが、ポリエステルは広く様々な衣料に使われていますよね。
ただポリエステルは吸水性はあまり高くないことから、汗をあまり吸い取ってはくれません。
でもサラッとした触感や通気性に優れていることから、夏に適した素材といえるかもしれません。
それに対して汗をよく吸い取ってくれる「綿」や、通気性に優れている「麻」といった素材は残念ながら紫外線のカット率が低く、日焼け対策としてはあまり向いていない素材といえるかもしれません。
しかし天然素材で肌に優しいために好んでチョイスされる方も多いでしょう。
肌に触れる部分には綿や麻の素材の衣類を、そしてその上にポリエステルでできたカーディガンなどを羽織るなどして日焼け対策しましょう。
そのほかには「シルク」「ナイロン」「レーヨン」などが紫外線のカット率が低い素材です。
ポリエステルと綿を混ぜ合わせた生地
ポリエステルの紫外線のカット率が高いことを書きましたが、多くの生地は数種類の素材を混ぜて(混紡)作られることが多いですね。
紫外線カット率が高いポリエステルと紫外線カット率が低い綿の混紡でも、紫外線カット率は比較的高いといわれています。
衣類を購入する際にはぜひどのような素材でできているのかもチェックしてください。
デニムなど生地の目の詰まった素材は◎
紫外線をブロックするということを考えた場合、デニム生地は最高の素材だといえるでしょう。
生地の目がしっかり詰まっており、さらにやや厚みのある素材のために紫外線をしっかりとブロックしてくれるのです。
夏用の薄手のジーンズならば日焼け対策もバッチリですね。