車両保険は必要な保険だけど、使った場合の次年度以降の保険料上昇は
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車両保険は必要な保険だけど、使った場合の次年度以降の保険料上昇は

車検・点検・整備

自動車を購入時や車検の時には自賠責保険に強制的に加入させられますが、それだけでは補償は不十分です。
なので自動車を運転する人は任意の自動車保険に入ることは当たり前のことで、対人や対物の補償は無制限とすることがふつうでしょう。

しかし任意の自動車保険に加入する際に悩むのが車両保険ですね。
相手側に責任があれば相手の対物補償で修理するのですが、自損事故などの修理は自分で加入している車両保険で修理するか、自腹を切って修理するしかありません。

その車両保険ですが保険料が高い!
さらに一度使用すると次年度以降は保険料が跳ね上がる!

今回は愛車のお守り的な車両保険についてみていきます。

 

 

任意自動車保険の保険料

説明しなくてもご存じの方が多いと思いますが、まずは復習をかねて。

自動車保険を新規で契約すると6等級から開始されます。

保険契約期間中に自動車保険による補償を何も使わなければ次年度は事故なしの7等級、さらに1年間保険を使わなければ翌年度は事故なしの8等級と、自動車保険を使わなければ年々等級が上がっていきます。

 

逆に保険契約期間中に保険を使えば、例えば9等級の人が3等級ダウン事故が1件あれば次年度は事故ありの6等級でその翌年度は事故ありの7等級、1等級ダウン事故が1件ならば次年度は事故ありの8等級になります。

 

また3等級ダウン事故の場合3年間は事故ありの等級になり、1等級ダウン事故の場合は次年度の1年間だけ事故ありの等級になります。

 

下の表は各等級で基準の保険料からどの程度割引されるのかを示したものです。
同じ等級でも「事故あり」と「事故なし」では割引率にかなりの差がつけられていることがわかります。

 

等級 事故あり 事故なし
1等級 108%割増
2等級 63%割増
3等級 38%割増
4等級 7%割増
5等級 2%割引
6(F)等級 13%割引
7(F)等級 14%割引 27%割引
8等級 15%割引 38%割引
9等級 18%割引 44%割引
10等級 19%割引 46%割引
11等級 20%割引 48%割引
12等級 22%割引 50%割引
13等級 24%割引 51%割引
14等級 25%割引 52%割引
15等級 28%割引 53%割引
16等級 32%割引 54%割引
17等級 44%割引 55%割引
18等級 46%割引 56%割引
19等級 50%割引 57%割引
20等級 51%割引 63%割引

この表のほか年齢や免許証の色などによる割引もあります。
6等級と7等級の(F)は前年に自動車保険の契約があったことを示す記号です。

 

 

何度も自動車保険を使っていると・・・

9等級の人が3等級ダウン事故で一度自動車保険を使った場合、次年度は事故ありの6等級でその翌年度は事故ありの7等級、その次の年は事故ありの8等級でその次の年にようやく事故なしの9等級に戻ります。

9×6×7×89

 

では同一保険契約期間内に2度の3等級ダウン事故を起こすと

9等級の人の場合は次年度は3等級、そこから4→5→6→事故あり7→事故あり8、この次の年にようやく事故なしの9等級に戻ることができるのです。

9×3×4×5×6×7×89

 

同一保険契約期間内に3度の3等級ダウン事故を起こすと

次年度の自動車保険の契約(更新)は拒否される可能性が極めて高く、契約できたとしても対人だけに制限される可能性が高くなります。

 

また9等級の人が3等級ダウン事故で一度自動車保険を使った場合、次年度は事故ありの6等級になりますが、この次年度内に事故あり6等級でふたたび3等級ダウン事故を一度起こすと翌年度は事故あり3等級になります。

そして事故ありの等級は合計で6年間続きます。

9×6×3×4×5×6×78

 

 

3等級ダウン事故と1等級ダウン事故

自動車保険には3等級ダウン事故と1等級ダウン事故、さらにはノーカウント事故といって次年度の等級は自動車保険を使わなかった場合と同様に扱うものがあります。

・3等級ダウン事故
一般的に自動車保険を使えば3等級ダウンします。

 

・1等級ダウン事故
火災・爆発・盗難・落書き
飛び石による窓ガラス破損・いたずら
飛来中または落下中の他物との衝突
台風・竜巻・洪水・高潮など

運転者に非のない原因で自動車保険を使用した場合に適用されます。

 

・ノーカウント事故
人身傷害保険
搭乗者傷害特約
ファミリーバイク特約
弁護士特約
個人賠償特約など

 

 

1等級ダウン事故と次年度以降の保険料

最もよく使われる1等級ダウン事故といえば、飛び石による窓ガラスの破損ではないでしょうか。

小さな石が飛んできても避けられるはずもなく

「あ!割れた!」

と叫ぶのが精いっぱいかもしれません。

昔は飛び石による窓ガラスの破損はノーカウント事故だったのですが、件数も多く損保会社にすると痛い出費だったから1等級ダウンに“格上げ”したのかもしれません。

下の表は17等級からの1等級ダウン事故で自動車保険(車両保険)を使用した場合の次年度からの保険料の変遷です。
筆者が以前加入していた自動車保険で、1等級ダウン事故後の保険料の遷移を実際に問い合わせたものを表にしました。

※現在より等級ごとの割引率が大きかったので、現在とは数値が異なります。

保険金を請求した場合と請求しなかった場合の差額保険料(6年分)
事故で保険金を請求した場合 事故で保険金を請求しなかった場合 差額概算
412,440円 350,400円 62,040円
事故で保険金を請求した場合 事故で保険金を請求しなかった場合
等級 概算保険料 等級 概算保険料
次年度 16等級(1年) 100,080円 18等級(0年) 69,840円
2年後 17等級(0年) 71,640円 19等級(0年) 66,360円
3年後 18等級(0年) 68,760円 20等級(0年) 54,000円
4年後 19等級(0年) 65,400円 20等級(0年) 53,640円
5年後 20等級(0年) 53,280円 20等級(0年) 53,280円
6年後 20等級(0年) 53,280円 20等級(0年) 53,280円
合計額 412,440円 350,400円

()内の年数は事故有係数適用期間です。

フロントガラスの修理(交換)の場合には10万円程度かかるのが相場です。

飛び石でフロントガラスにヒビが入ったので交換すると自動車保険会社へ連絡すると

「保険を使用されますと次年度は保険料が3万円ほど上がります」

と案内されて

「3万円くらいならいいか」

と思ってしまいがちですが、本当は6年間で6万円以上保険料の負担が重くなるんです。

 

さらに

契約内容によって車両保険には免責金額が設定されている場合があります。

免責5万円の場合には、修理費10万円のうち5万円は自己負担で残りは車両保険が適用されるという意味です。

自動車保険から5万円の給付があるとしても、今後6年間で6万円の保険料負担があるとなれば

車両保険を使うと損してしまうのです!

 

 

3等級ダウン事故と保険料

たとえば自宅の車庫でバンパーを擦った、バックする時にぶつけてえくぼ(小さなへこみ)ができたなど、ちょっと気になるので車両保険を使って修理したいと思うこともあるでしょう。

自動車保険を使えば次年度から3年間は3等級ダウン、しかも事故ありなので同じ等級で割引率が非常に小さくなります。

下の表も筆者が以前加入していた自動車保険で、17等級の際に3等級ダウン事故後の保険料の遷移を実際に問い合わせた結果を表にしました。

保険金を請求した場合と請求しなかった場合の差額保険料(6年分)
事故で保険金を請求した場合 事故で保険金を請求しなかった場合 差額概算
513,840円 350,400円 163,440円
事故で保険金を請求した場合 事故で保険金を請求しなかった場合
等級 概算保険料 等級 概算保険料
次年度 14等級(3年) 108,600円 18等級(0年) 69,840円
2年後 15等級(2年) 103,920円 19等級(0年) 66,360円
3年後 16等級(1年) 98,160円 20等級(0年) 54,000円
4年後 17等級(0年) 70,560円 20等級(0年) 53,640円
5年後 18等級(0年) 67,800円 20等級(0年) 53,280円
6年後 19等級(0年) 64,800円 20等級(0年) 53,280円
合計額 513,840円 350,400円

()内の年数は事故有係数適用期間です。

この表を見ると、3等級ダウン事故で一度だけ車両保険を使った場合、6年間での保険料の負担額の差は16万円を超えています。

このケースでも自動車保険会社へ連絡すれば

「保険を使用されますと次年度は保険料が4万円ほど上がります」

って言われるのでしょうね。

また免責10万円というケースも少なくありません。

この先16万円以上も余計に保険料を負担+免責10万円となると、修理費が26万円を超えなければ車両保険を使うと損ということになります。

 

ちょっとこすった程度だったり、少しへこんだけど板金で十分直る程度の修理の場合、車両保険の使用は慎重になるほうが良いですよ。

軽い修理の場合には車両保険を使うほうが損をするケースがかなり多いと思われますから。

 

 

まとめ

ここまで見たきたように、自動車保険って使うと次年度以降の保険料がかなり上がります。
もちろん対人や対物といった自分以外への補償は手厚く受けられるようにする必要がありますし、使用したことで保険料が上がったとしても納得できますよね。

ところが車両保険を使う場面って、基本的には自分の車を自分で傷つけた場合が大半です。
修理費の負担が大変だからと車両保険も契約しているのに、結果的に保険料が上がってあまり保険の意味がないかなというケースも生じてしまうのです。

車両保険を使うか使わないかの前に、車両保険の契約そのものを再考してみるのもいいかもしれないですよ。

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