メダカを飼育する際のお供として手軽に飼われているミナミヌマエビ。
タニシと同様にコケ取りを期待して導入されるケースが多いですね。
このミナミヌマエビをメダカと一緒に飼う場合の注意点などを見ていきましょう。
ウイローモスは必須ではありません
ミナミヌマエビを導入するにあたって、たいていのサイトに書かれているのがウイローモスが必要だとの記事。
まるでミナミヌマエビはウイローモスがなければ飼育できないとか、稚エビは育たないという書き方も見られますが、筆者のこれまでの経験からするとウイローモスなんて必要ではありません。
いま筆者宅のベランダには、メダカやタニシとともにミナミヌマエビがうじゃうじゃいます。
有名なペット用品専門店でミナミヌマエビを通販で購入したのですが、七割方死んで到着し、残った6匹だけをメダカやタニシのいる入れ物に入れたのが2023年の春先。
そして1年後の2024年の春には、ミナミヌマエビだらけになっています。
ウイローモスなんて入れていません、水草類はアナカリスとアマゾンフロッグピットだけ。
それでも爆発的にミナミヌマエビは増えますので、ウイローモスなんて導入しなくても良いですよ。
ウイローモスはさまざまなストラクチャーに糸で巻いておけば定着して、面白い形の〝アート作品〟になりますが、そういったことに興味がなければ必須の物ではありません。
稚エビの隠れ家とメダカの混泳
ミナミヌマエビの稚エビは孵化当初は2mmほどの大きさらしく、大きめのメダカだと食べてしまうかもしれないですね。
このために隠れ家が必要だとは思いますが、我が家ではアナカリスを1ヵ所に折り重なるように入れているだけ。
入れているというより、1mを超える大きさに成長して折り重ならないとどうしようもなくなっているのですが。
そこまで大きく成長させなくても、アナカリスを一束買ってきて沈ませておけば稚エビの隠れ家になります。
小さいうちは底のほうにいますから、アナカリスを底に沈ませておくのがベスト。
屋内の水槽で飼っていた時もメダカとミナミヌマエビは混泳していましたが、稚エビが食べられて絶滅するどころか増えすぎて困ったくらい。
ウイローモスでなくても、水草を底に着くようにしておけば問題ないですよ。
鉛が生体に悪影響を及ぼしそうだとの懸念からあまり好まない方もおられるでしょうが、鉛巻きのアナカリスをそのまま入れておけばOKです。
鉛を外して石など括りつけて沈めても良いですよ。
共用している隠れ家
筆者は金魚やメダカを飼う時には必ずスドーのブロック(スドー ブロック(小) E-11)を入れています。
愛用しだして数十年。
金魚もよく隠れるために入っていますし、メダカは年中この中に入っている個体が多いように思います。
このブロックが好きなのは魚たちだけではなく、大きなタニシも生まれたばかりのタニシも、そしてミナミヌマエビも好んでこの中に入っています。
稚エビが入っているのかは見たことがないので分かりませんが、隠れ家としてはかなり優秀なアイテムだと思います。
Amazonではなぜか高いことが多く、他の通販サイトかホームセンターで見れば500円前後で購入できます。
筆者はいくつか積み上げて団地状態にして使っており、各階いつも満室ですよ。
ミナミヌマエビのエサ
ミナミヌマエビ用のエサも市販されているようで筆者は本当に驚いていますが、筆者はエビのためにエサを用意はしていません。
メダカやタニシと同居していますから、藻やコケ類が自然と発生しますのでそれを食べていますし、メダカのエサの食べ残しも処理してくれます。
メダカのエサの美味しさを覚ええるとミナミヌマエビが水草に掴まって、手足を盛んに動かして浮いているメダカのエサを食べたり、背泳ぎ?して浮いているメダカのエサをキャッチして、底に潜ってからゆっくり食べたりしています。
メダカにエサを与えると隠れていたエビたちが一斉に姿を現しますし、中にはメダカを追うように泳いでエサを強奪するエビも。
タニシと同じで、メダカと混泳する場合は特にエビ用のエサを用意する必要はありません。
ミナミヌマエビの産卵回数と抱卵数
ミナミヌマエビは卵をお腹に抱えて(抱卵)いて、おおむね3~4週間程度で孵化するようです。
一度に産む卵の数は20個から多い時には50個近くになるといいます。
孵化してお腹の卵が無くなると再び抱卵することが多く、春先から秋にかけて1ヶ月間隔で卵を産んでいるようです。
孵化した稚エビは当初は2mm程度で植物性のプランクトンなどを食べていますが、2週間ほどで5mm程度の大きさになり藻やコケを食べるようになり、1カ月で1cmほどに成長します。
この頃になると、おそらく底にたまったメダカのエサなども食べているでしょうね。
そして孵化してから3カ月程度で生殖可能となりますので、春先に生まれた♀エビは夏には卵を抱えることができます。
水替えと水草
メダカやタニシと一緒に飼っても楽しいミナミヌマエビですが、この三者の中ではミナミヌマエビがもっとも多くの糞をします。
気付いたら勝手に繁殖しているし、おまけに糞も大量に出すので、水替えというより底に沈んだ糞の吸出しはマメに行わなければいけません。
本当にびっくりするほど大量に糞をしますから、その分水質の悪化も当然進みやすくなりその点には注意が必要です
メダカとタニシとミナミヌマエビを一緒に入れていた場合、最も水質悪化に敏感なのがタニシです。
メダカやエビは普段通りに過ごしている中、タニシだけは殻の一部が白くなったり、蓋を閉ざしたまま動かなくなるなどして死んでしまうことが多いです。
次に弱いのはメダカです。
タニシがどんどん弱っていく中、メダカは泳いではいるものの産卵しなくなったり、一部は弱って死んでしまうなど水質悪化の影響を受けてしまいます。
そんな状況でもミナミヌマエビは数を減らすようなこともなく、メダカのエサを横取りするなど元気な様子を見せていますし、稚エビもどんどん増えていきます。
ただし水草を新たに導入する際、農薬の成分が残っているとエビは壊滅的な危機を迎えてしまいます。
市販されている水草の多くは農薬を処理してから発売していますが、エビは少し残った農薬の影響も受けてしまいますから、購入した水草をすぐに飼育容器に入れたりはせずバケツに水を入れて水草を浸けて、日に数回水替えを行って残留農薬を出し切ってから飼育容器に入れましょう。
メダカやタニシは市販されている水草の残留農薬程度ならば割と平気なのですが、エビは本当に全滅する可能性もあります。
平気と言ってもメダカやタニシにだって残留農薬が良いわけではないですし、購入した水草の残留農薬を出し切るために、バケツ等に水を入れた中に入れて1日に数回水替え(筆者は最低5回は水替え)を行って、丸1日経過してから飼育容器や水槽に入れています。
ちょっとした手間ですが、ミナミヌマエビを飼うとなったらこのくらいの手間はかけましょうね。
ミナミヌマエビその他の注意点
ミナミヌマエビを飼うに当たって、特に慎重にしなければいけないのは新規で導入する水草と水替え回数を少し増やすこと。
あとはメダカやタニシが普通に生活している状況であれば、ミナミヌマエビも普通に生活してくれますし、稚エビもどんどん増えていきます。
産卵時期もメダカと同じように春先から秋口までです。
ミナミヌマエビは自然界でもメダカと同じような場所に生息していますから、特に神経を使う必要もありません。
あまりに暑くなりそうならば、飼育容器に影を作るように蓋をしたりスダレをかけるなどして、水温の急な上昇に留意すること。
また冬もメダカと同じように越冬しますし、同じようにほとんどエサも食べませんから、メダカと同様の越冬対策で十分だと言えるでしょう。
ミナミヌマエビの寿命は自然界では1年程度、飼育下では少し伸びて2年程度と言われています。
エビは死んでしまうとかなりの異臭を発生しますから、出来れば見つけ次第飼育容器内から取り出してください。
ただタニシやミナミヌマエビが先に食べてしまう可能性が高いですが…