通勤定期券は特に制限もなく大人でも小人でも、仕事でも習い事であっても誰でも任意の区間を購入することができます。
それに対して通学定期券は新規・継続ともに14日前から発売と通勤定期券と同じになっていますが、それ以外にはさまざまな制限がありますし、新規で購入する場合でも継続で購入する場合でも条件や気をつけておくべき点が多数あります。
このページではそんな通学定期券を購入するにあたって、疑問に思うことなどをどんどん解決していきます。
通学定期券は任意の区間を購入できない
通学定期券の大原則は
自宅の最寄り駅から学校の最寄り駅までしか通学定期券は購入できない
通学定期券はあくまで学校へ通うことを考慮して、通勤定期券よりさらに割引率を大きくしています。割引率が大きい分制約も大きくなっているわけです。
塾までの通学定期券は発行できる?
ごく一部の事業者を除き塾や習い事の最寄り駅までの通学定期券は発行できません。
また学校によってはクラブ活動を学校以外の場所で行うことがありますが、このようなケースでも通学定期券は原則発行できません。
通学定期券の発行は各鉄道事業者が指定した学校等に限られるため、指定されていなければたとえ学校であっても通学定期券は発行されません。一般的にその鉄道事業者を使うであろう小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校(高専)ならば認められていますし、その他特に鉄道事業者が認めた学校(専門学校、専修学校など)へ通う場合には通学定期券が発行されます。
塾や予備校などそのほとんどは鉄道事業者が認めていませんので、通学定期券を利用することはできません。
証明書が必要
通学定期券を購入するには、各鉄道事業者が認めた学校等が発行する証明書が必要です。
証明書には以下のように大まかに分けて2種類あります。
画像引用 青い森鉄道
左側の通学証明書は学校(一般的には学校の事務室など)で発行されるもので、学校代表者の職印(角印)が必要です。
駅窓口に備え付けの定期券購入申込書に必要事項を記入して、通学証明書とともに鉄道事業者へ提出して通学定期券を購入します。
通学証明書があれば学生証などがなくても通学定期券が購入できます。
(提示を求められることもありますが、規則上は必要ないことになっています)
右側は通学定期券購入兼用証明書と呼ばれるもので、画像のような学生証や生徒手帳と一体になっているもののほか、カード型の学生証の裏面に印刷またはシールで貼られているもの、学生証とは別になっているものなど学校によって形態が若干違います。
駅窓口に備え付けの定期券購入申込書に必要事項を記入して提出し、通学定期券購入兼用証明書に購入年月日や何か月の定期券をどこの駅で発行したのかを駅係員が記入します。
これらの証明書があれば
・はじめて通学定期券を購入する場合
・同区間・同経由の通学定期券を持っているけど有効期限が切れて2か月以上経過している
このような場合でも通学定期券を購入することができます。
証明書があっても通学定期券が購入できないことがある
証明書があるのに通学定期券を購入できないってどういうこと?
と思われるかもしれませんが、とにかく通学定期券の発行についてはいろいろな条件があり、その条件を満たしていなければ発行してもらえないのです。
証明書の有効期限が切れている
まず通学証明書ですが、発行から1か月で有効期限が切れてしまいます。
学校でせっかく発行してもらったのに、なかなか買いに行くことができず気が付いたら通学証明書も定期券も有効期限切れ・・・では悲しすぎますね。
通学定期券購入兼用証明書にも有効期限があり、同一年度の3月31日までとなっています。
次年度の4月1日以降は無効となって通学定期券を購入できなくなります。
ただし
学校によっては新学年の通学定期券購入兼用証明書が発行されるまで、旧の通学定期券購入兼用証明書の有効期限を赤の2本線で消して代表者職印(下の画像では角印になっていますが実際は丸印が多い)を押し、有効期限を1か月程度伸ばす措置が取られることもあります。
この措置により4月1日以降も学校に在籍している、つまり進級したことを学校が認めていることになるため、通学定期券を購入することができるのです。
購入できるのは次年度の4月30日までに期限がくる定期券
通学定期券は自宅最寄駅から学校最寄り駅までに限って発行されるもので、当然ですがその学校に通学する生徒・学生に限定しています。
制限をしないと卒業を迎える生徒が通学定期券購入兼用証明書を使用して、4月から6か月の通学定期券を購入できたりしてしまいます。
たとえば2024年3月31日まで有効(2023年度)の通学定期券購入兼用証明書で通学定期券を購入できるのは2024年3月31日までですし、購入できる通学定期券の期限は2024年4月30日までに限定されています。
2024年5月以降も有効な通学定期券を購入する場合には、同一年度末となる2025年3月31日まで有効(2024年度)の通学定期券購入兼用証明書または、4月以降も在籍していることを学校が認める通学証明書が必要になります。
なぜ4月30日まで?
同一学年だけ有効とするならば、3月31日までに期限がくる通学定期券に限定しても良さそうなものですが、新入学で通学定期券を購入する場合4月6日とか7日から有効の通学定期券を購入するケースが多いですよね。
4月7日から有効の6か月通学定期券を購入すると10月6日まで、10月7日から有効の6か月通学定期券は4月6日まで有効となるので、3月31日を期限とされると6か月定期券が購入できなくなり不便です。
そこで各社とも
学年の終期以後1か月間に限定するという規定を設けており、4月30日まで有効の通学定期券の購入を認めています。
ただし
この4月30日まで有効の通学定期券ですが、卒業など4月1日以降その学校に在籍していない生徒・学生は使用できません。
中高一貫校の場合などで中学から高校へ、高校から大学へと進学する場合もダメなんです。
(同じ校名で同じ場所にあっても別の学校として扱います)
あくまで4月以降も同じ学校に通学する生徒に、便宜上発売するものなのです。
通学定期券購入に必要な証明書ではない
入学証明書・合格通知書・在学証明書などは通学定期券を購入する際に必要な証明書とは認められておらず、残念ながら通学定期券を購入することはできません。
通学証明書や通学定期券購入兼用証明書などが無ければ通学定期券は購入できません。
通学定期券を継続で購入する
継続購入とは、現在使用中の定期券の有効期限に引き続いて同じ区間・同じ経由で定期券を購入することです。
10月6日に有効期限を迎える場合は10月7日から有効の定期券を購入することを言い、10月8日から有効の定期券を購入するなど期間が1日でも空くと継続購入とはなりません。
継続での発売は新規と同じで14日前からですので、この例では9月23日から購入が可能となります。
この場合10月6日までの磁気定期券(紙の定期券)は回収し、新しい定期券は10月7日から有効と記されていますが、継続や継といった文字も同時に記すことで10月7日以前から使用できるようになっています。
SuicaやICOCAなどのICカードの場合は券面に同様の文字がプリントし直されます。
継続定期券の購入の場合には、必ず有効期限がまだ切れていない定期券の提出が必要なのです。
継続で購入する場合には証明書を省略できる
通学定期券の購入には証明書の提示や提出が必要だということはこれまでにも説明してきました。
ただし同一年度内で継続定期券を購入する場合には、証明書などの提出を省略できるとする鉄道事業者が多くなっています。
4月7日から有効の6か月定期券は10月6日に期限が切れますが、10月7日から有効の継続定期券を購入する場合は同一年度となるので、証明書などの提出を省略することができるとする鉄道事業者が多くなっています。
夏休みや冬休み中は登校しないので定期券が必要ないのだが
夏休みや冬休みなど長い休暇期間中は登校しないことも考えられます。
そういった方は1か月や3か月定期券を組み合わせるなどして、1学期(または2学期)を通学します。
(鉄道事業者によっては学期定期を特定の学校を対象に発売することがあります)
そして2学期(または3学期)に使用する通学定期券を購入しようとすると、継続ではないため本来は証明書等が必要になります。
こういった生徒・学生のために、有効期限が切れて2か月以内の通学定期券を提出または提示することで、継続定期券の購入と同様に定期券を購入することができます。
年度(学年)をまたぐ通学定期券
1年生から2年生などへ進級する場合の通学定期券ですが、4月からの新学年で有効な通学証明書または通学定期券購入兼用証明書があれば購入できます。これまでにも説明してきた通り、4月7日の始業式を有効開始日とする通学定期券は3月24日から購入できます。
またこの例で4月6日までの通学定期券があれば、4月7日からの継続の通学定期券としても購入できます。
一部の鉄道事業者では、4月1日以降有効開始となる通学定期券を購入する場合、使用中または期限が切れて2か月以内で区間や経由が同じ通学定期券を提出する場合、通学証明書や通学定期券購入兼用証明書がなくても、新学年で有効な学生証を提示すれば購入可能とする措置をとっている鉄道事業者もあります。
またJR東日本では2024年4月から、通学定期券をすでに持っている方が学年が変わっても同じ区間の通学定期券を購入する場合には、証明書等は必要なく継続して購入できるようになると発表しています。
他のJR各社や一部の私鉄でも準備ができ次第順次この制度を導入する予定で、通学証明書は新入学時の一度だけ提出すればあとは証明書の提出や学生証の提示無しで、学年が変わっても継続して通学定期券が購入できるようになります。
画像引用 青い森鉄道
上記のような通学証明書や通学定期券購入兼用証明書がなくても、新年度に有効な下記のような学生証と使用中または期限が切れて2か月以内の通学定期券があれば購入できる鉄道事業者もあります。
通学定期乗車券発行控の欄がない学生証
購入時点で有効な証明書で購入できる鉄道会社も
一部の私鉄(京王・小田急・西武・京成・名鉄・阪神・阪急・京阪・南海など)では
中学3年生とか高校3年生といった最終学年以外の生徒の場合は(高校1年から2年へ進級など)
新学年で有効な通学証明書や通学定期券購入兼用証明書ではなく、購入時点で有効な通学証明書や通学定期券購入兼用証明書、または購入時点で有効な学生証と有効期限が切れて2か月以内の定期券を提出することで、有効期間が4月30日を超える通学定期券を購入できます。
たとえば3月31日から有効の3・6ヶ月通学定期券を購入する場合や、4月7日から有効の通学定期券を3月中に購入する場合、JRなどでは新年度(4月1日から)に有効な通学証明書や通学定期券購入兼用証明書などが必要なのですが、一部の私鉄では旧年度(3月31日まで)の証明書で購入できるのです。
次回定期券を購入時には新年度で有効な証明書を確認
先の例のように、学年をまたがって有効期限が4月30日を超える通学定期券を購入時に、一部の私鉄では旧年度の証明書で通学定期券の購入ができるのですが、購入時点では新年度での通学定期券購入兼用証明書などの確認ができていません。
そこで同一年度内に購入した通学定期券が無い場合には、通学証明書や通学定期券購入兼用証明書の確認が必要となるのです。
たとえば2024年3月中に4月30日を超える有効期限となる通学定期券を購入する場合、一部の私鉄では2023年度(2024年3月31日まで)の通学定期券購入兼用証明書などで購入ができます。
この3月中に購入した4月30日を超える有効期限の通学定期券の期限が切れる前に継続で通学定期券を購入したり、期限が切れて2か月以内の場合は通常は証明書なしで再び通学定期券が購入できるのですが、新年度(2024年度 2025年3月31日まで)の通学定期券購入兼用証明書の確認ができていないとして提示が必要としています。
前年度(3月31日まで)に購入した通学定期券は、前年度の通学定期券購入兼用証明書などで購入したものとみなし、次回通学定期券を購入する時には新年度の通学定期券購入兼用証明書などの提示が必要となります。
同じ学校内で進学する場合
中・高一貫校だったり、小学校から高校まで同じ敷地内で学ぶ学校もあります。
このような学校に通っていると
“中学のクラスから高校のクラスに進級する”
といったイメージがありますよね。
残念ながら通学定期券ではこのようなケースでも、卒業→進学(新入学)と別の学校に通う場合と同じ扱いになってしまいます。
特にJRのように通学定期券の区分を中学・高校・大学で料金を区分していたり、小学生の通学定期券は各社とも半額(JRは中学生用の半額)ですから、新規購入となってしまいます。
たとえば中・高一貫校で中学校から高校へ進学する場合には、高校が発行する通学証明書や通学定期券購入兼用証明書を使用して、新規で通学定期券を購入することになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
通学定期券は通勤定期券よりさらに割引率をあげているために、購入の際には様々な条件が付けられています。
たとえばJR東京~JR横浜間は普通運賃480円(IC 473円)なのに対して
通勤定期券1か月 14170円(15往復)
大学通学定期券1か月 8000円(8.5往復)
高校通学定期券1か月 7200円(7.5往復)
中学通学定期券1か月 5600円(6往復)
このように大幅に割り引いていますから、ある程度は仕方がないのかもしれません。
基本は通学証明書または通学定期券購入兼用証明書が必要だということ。
そして通学定期券を続けて購入する場合には、使用中または期限が切れて2か月以内の通学定期券の提出が基本になってきます。