長い期間価格の変動が少なく物価の優等生と呼ばれていた卵。ニワトリに食べさせる飼料の大半を輸入に頼っているのですが、ロシアのウクライナ侵攻による影響で世界的な飼料不足に陥っていることや、鳥インフルエンザの影響で価格が高騰しています。
そんな卵ですが、生のままで食べることができる期間ってご存じですか?
賞味期限を超えるとたとえ火を通しても口にしないほうがいい?
そもそも卵の保存方法は?
知っているようで知らない、卵の疑問に答えていきます。
卵の賞味期限について詳しく知ろう
まず賞味期限と消費期限の違いから…。
賞味期限:未開封のものを定められた方法で保存した場合には品質が変わらず、美味しくいただける期限
消費期限:未開封のものを定められた方法で保存した場合に、安全に食べられる期限
消費期限は生ものなど傷みやすいものを中心に、この日付までは安全性が保たれていることを表しますが、何となくイメージとしては卵も消費期限のほうが良いのではないかと思ってしまいます。
実は品質の劣化スピードによって使い分けられていて、品質の劣化が早いものは「消費期限」に、品質の劣化が緩やかなものは「賞味期限」に分類されています。
卵って品質の劣化が緩やかなの??
卵の賞味期限は生食の期限?
卵かけご飯って美味しいですよね。ただ鶏卵を生で食する習慣は日本以外ではあまりないようです。
卵の賞味期限はこの生食を好む日本人向けに設定されていて、期限内であれば美味しく生で食べることができます。
販売されている卵の大半は、季節を問わず14日間と設定されていることが多いのですが、これは生産者側も販売者側も季節によって変更する手間を省く意味合いが強いようで、保存方法を守っておれば最低でも14日間は安心して美味しく生で食べられるそうです。
この賞味期限の設定はサルモネラ菌対策によるもので、日本では衛生管理の徹底などから卵10万個に対して3個程度の汚染しかなく、また増殖させなければ問題はないとのこと。
冷蔵庫で10度以下で保存されている場合、7~9月は産卵後16日以内、4~6月と10~11月は産卵後25日以内、12~3月は産卵後57日以内は生食しても大丈夫だと言われていて、サルモネラ菌は10度以下だと増殖しないためにこういう長い日数になるそうです。
でもサルモネラ菌に関係なく、卵って傷まないの?
食べ物が傷む原因は細菌によるものですが、殻は細菌をかなり通しにくく、仮に通ってもゆで卵にした時に薄皮になる卵殻膜が細菌の侵入を阻止しますし、卵殻膜が突破されても白身に含まれるリゾチウムという酵素によって細菌をやっつけます。
つまり、卵は傷む原因となる細菌を寄せ付けないために、長期間の保存が可能なのです。
そこまで長い期間保存した卵を卵かけご飯で食べるのは勇気が必要ですよね……、でも14日以内ならば夏場でも生で大丈夫!です。
賞味期限を超えた卵
賞味期限を超えた卵ですが、生食でなければ大丈夫!
実際には少々賞味期限を超えた卵を生食しても大丈夫だと思われますが、そこは念には念を入れて…。
卵焼きやゆで卵など火を入れて美味しくいただきましょう!
ただし、
卵を割った時に黄身に張りがないというか、だらっと流れる感じというか、弾性がなくなっているものは火を通しても食べてはいけません。サルモネラ菌の心配もありますし、その他の細菌によって傷んでいる可能性もあります。
卵の保存方法
卵は10度以下で保存すればサルモネラ菌の増殖を抑えられるので、冷蔵庫での保存は必須となります。
卵を冷凍した場合ですが、中身が膨張して殻が割れてしまいます。
卵を割ってから何かの容器に入れて冷凍した場合、白身は解凍すれば元の状態に戻りますが(やや水っぽくはなる)黄身は固まったままで元には戻りません。それ以上に、殻から出した卵は細菌に感染しやすい状態になるのでかなり傷みやすくなります。
卵の冷凍保存はおススメできません。
卵は尖った方を下にして保存
パックに入った卵を見ていただければわかりますが、卵は必ず尖った方を下にしています。卵の殻の尖った部分はかなりの強度で少々ぶつけても割れません。
また卵の丸い部分には気室と呼ばれる空気を含んだ箇所があり、殻の丸い方を下にすると黄身と気室が近付き、気室内の空気に含まれる細菌と黄身が接触する可能性が…。
ですので卵は尖った方を下にして保存しましょう。
ドアポケットの卵置きは✖
冷蔵庫のドアポケットの部分に卵を置きやすくしたスペースがありますが、冷蔵庫のドアを開けるたびに常温に触れる場所ですし、冷蔵庫の機種によってはこのスペースの設定温度はやや高いことも。
また頻繁に開け閉めすることで殻が割れないにしても、振動によって傷みやすくなるとも言われています。
卵はドアポケットで保存しないほうが良いですよ。
卵の殻の汚れを拭いたり水で流す✖
卵は出荷時に殺菌洗浄されていて、細菌類が入りにくい状態が保たれています。
ところが殻に付着した汚れを布で拭いたりすると、殻の表面の層(クチクラ層)を拭き取ってしまうことで内部への細菌感染をしやすい状態になってしまいます。
また殻を水洗いすると、殻にある無数のごく小さな穴から水とともに細菌が入り込む危険性が。
汚れが気になる場合、その汚れた部分だけを優しく拭き取るなどして細菌に感染しやすい状態にしないようにしましょう。
殻にひびが入ったり割れた卵
卵の殻って尖った部分はかなりの強度がありますが、サイドはかなり弱い。スーパーで購入して家に持ち帰る間にどこかにぶつけて殻が割れてしまうとか、うっかり落として割ってしまうとか、誰もがやってしまうことですよね。
卵は殻で守られているから生食できる賞味期限も長いのですが、殻が割れたりひびが入ると途端に細菌感染のリスクがつきまといます。
殻にひびが入ったり割れた卵の生食はNGです。
卵焼きなどしっかりと火を通して食べることが推奨されますし、もしもゆで卵として食べる場合には当日中に食べてしまいます。
またご自身で割ったことが確かなものは良いのですが、いつ割ったのかが分からない卵は食べないように!ひびが入ったり割れてから日数が経っていると傷んでいる可能性が高く、食中毒の危険性が高いです。
卵の知っているとちょっと得する情報
卵に関する知っているとちょっと得する情報を集めてみました。意外と知らないことも多いかもしれませんので、本当にちょっとした知識として知っていると便利だと思います。
ゆで卵にするにはちょっと古い卵がいい?
新しい卵でゆで卵を作ると殻が向きにくく、殻といっしょに白身までむいてしまってボロボロになる……。
よく言われることですが、これ本当に産卵から5日程度経過した卵のほうが殻がむきやすいです。新鮮な卵の白身には炭酸ガスが含まれていますが徐々に抜けていき、ゆで卵にした時には殻と白身の間に空間ができてむきやすくなります。
それだけではなく食感も良くなりますので、ゆで卵には少し古い卵が適しています。
料理別の卵の食べ時・使い時
まずは調理した卵がどのくらいの期間美味しく食べられるかですが、
殻のままのゆで卵 | 冷蔵庫保存で3~4日以内 |
殻はむいていないがひびが入ったゆで卵 | 当日中 |
半熟の料理(親子丼など) | 調理後できるだけ早く |
茶碗蒸し | 冷蔵庫保存で2日程度 |
卵サラダ | 冷蔵庫保存で2日程度 |
常温で保存する卵料理 | 当日中(2時間を目安に) |
殻にひびが入っていない生卵は長期間の保存が可能ですが、一旦調理した卵は日持ちしません。特にお弁当に半熟のゆで卵を入れるなどは注意が必要です。
次にどの料理には産卵後何日経過した卵が適しているのかです。
卵かけご飯(白身が残った感じ) | 1日~4日 |
卵かけご飯(白身が黄身と混じる) | 5日以降賞味期限内 |
卵焼き | 5日~10日 |
ゆで卵 | 5日以降 |
茶碗蒸し | 5日以降 |
プリン | 1日~5日 |
各種お菓子作り | 10日以降 |
卵も安定的な価格での購入が難しくなってきた今、安い時に多めに買って冷蔵庫保存すれば家計にも優しいですし、料理によっては少し時間が経過して食べごろにもなってきますよね。
ぜひ参考にしてください!