ここ数年メダカが大変なブームになっていて、そろそろブームも沈静化するのかな・・・といった兆しも今のところ見当たりません。
昔は田んぼや小川を見れば当たり前のようにメダカ(ニホンメダカ)が泳いでいて、それをすくって家で飼うというのは江戸時代には行われていたようですし、童謡にもよく登場するなど大変親しみのある小さな淡水魚です。
まずはメダカの飼い方や育て方の入門編―最初に何を揃えればよいのかに的を絞って解説しています。
さまざまなメダカ
ペットショップやネット通販でもカラフルな様々な種類のメダカを購入することができます。
これらのメダカはニホンメダカの突然変異によって生まれたヒメダカが源流で、そこから交配を続けていくことで今のようなさまざまな種類のメダカが誕生したわけですね。
ちなみにですが、クロメダカという種類のメダカが販売されていますが、これは交配を続けていくことで先祖返り的に元のニホンメダカに似た種類が出現したもので、野生のニホンメダカとは遺伝子レベルで言うと別物になってしまいます。
ニホンメダカは大別すると兵庫県以北の日本海側や青森県に生息するキタノメダカと、本州の太平洋側と中四国・九州地方に生息するミナミメダカに分けられ、ミナミメダカはさらに地域や水域ごとに別のDNAが検出されていると言います。
ですのでクロメダカと言えども自然界に放流することは絶対にダメですし、別水系のニホンメダカをむやみに放流するのも慎むべきです。
もちろん品種改良されたメダカを放流するといったことは絶対にやめてください。
メダカを飼うために必要なもの
メダカを飼うために最低限必要なものを見てみましょう。
容器
部屋の中で飼う(屋内飼育)方の多くは水槽を選ぶと思いますが、別に水槽でなくても飼うことができます。
大きめのビンや100均で入手できるプラスチック製の金魚鉢など、水が漏れなければなんでも飼うことができます。
筆者は海苔の入っていたビンで飼っていたこともあります。
屋外飼育の場合はトロ舟(左官工事の際にセメントを混ぜるために用いる丈夫な入れ物、安く手に入ります)、発砲スチロール(水温が変化しにくい)、睡蓮鉢(陶器のものは重いがたいへん丈夫)などが代表的です。
100均で売られているバケツでももちろんOKで、筆者はメダカの稚魚はバケツで飼育しています。
コンテナボックスやベランダストッカーなど比較的大きくて丈夫な入れ物を流用してもいいですね。
ただ一つだけ言うと、メダカ1匹につき1Lの水が飼う上では必要だということ。
もちろんメダカ1匹あたり1L以下でも飼えなくはありませんが、水が早く汚れてしまうといった難点があります。
1匹あたり1L以下の水という場合には念のためにポンプ(ブクブクなど)を用意するか、水替えの頻度を上げるほうが良いでしょう。
水
メダカを飼うにはもちろん水が必要です。
多くの方がご存じだと思いますが、水道水をそのまま使用することは避けてください。
水道水には塩素が含まれていて、この塩素がメダカにとっては有害物質で下手すれば死に至ることも多いのです。
バケツなどに水道水を入れて太陽光に6時間ほど当てれば塩素は抜けてしまいますが、時間がないという場合にはカルキ抜きを使用します。
エサ
エサは市販されているメダカ用のものであればOKです。
さまざまな種類のものが販売されていますが、特にこだわりがないのであれば安価なもので十分です。
ただし孵化して稚魚が誕生した場合ですが、稚魚は口が大変小さく成魚用のエサを食べることができませんので、成魚用のエサを細かくすりつぶして与えるか、稚魚用のエサを与えるかします。
ミジンコやゾウリムシ、稚魚は植物性プランクトン(よくグリーンウォーターと呼ばれるもの)などを好んで食べますが、これらを絶対に与えないといけないということではありません。
市販されているエサで十分に育ってくれますよ。
メダカを飼うためにあればよいもの
ここからは必須のものではありませんが、メダカを飼育する上であれば良いものを見ていきます。
砂や砂利、土など
メダカを飼育する容器の底に砂や砂利などを敷き詰めます。
水草を植えるのでなければ1~2㎝の厚みで十分です。
砂や砂利を敷くことで、飼育している水の汚れを分解してくれるバクテリアが住処としてくれます。
メダカは水中でフンをしますよね、このフンをバクテリアが分解してくれるわけです。
ただし最近は室内飼育においてベアタンクと言って、水とメダカのみまたはプラスして水草だけといった飼い方をしている方もいます。
見た目もスッキリしますしお掃除も楽ではあるのですが、バクテリアが住んでくれない分まめにお掃除や水替えをしないとすぐに水が汚れていきメダカに悪影響も出てしまいます。
大磯砂
安価で手に入りやすく、汚れてもごしごしと洗えばいつまでも使えるもっともポピュラーな砂利です。
メダカや金魚の底床の定番ですが、水草を植えにくいし特に養分もないことから水草を主体とした水槽には向かないかもしれません。
屋内でも屋外でも使えますし、大磯砂を選択していれば間違いはないですよ。
珪砂(けいしゃ)
珪砂とは陶磁器やガラスの原料になる石英の砂です。
水を弱アルカリ性に保つ性質を持っていると言われていますが珪砂自体にはそのような性質はなく、細かい貝殻などが混ざっているためにアルカリ性に傾くようです。
しかしメダカや金魚って中性から弱アルカリ性の水を好む生き物のため、かえって好都合なのです。
大磯砂よりも細かい砂状ですから、こちらも扱いやすくて良い選択になります。
赤玉土
園芸用の土ですがメダカの屋外飼育でもよく用いられ、入手しやすくて安価な点も◎
多孔質なのでバクテリアが棲みつきやすい点も評価されています。
飼育水が弱酸性に傾くのですが、メダカ飼育に限って言えばあまり影響はありません。
大磯砂や珪砂とは違いやや崩れやすく、長年の使用となると厳しいかもしれません。
荒木田土
田んぼの底にある土と言えばわかりやすいと思います。
メダカを飼育する上では大変理想的な土ですし、田んぼの底の土ということで水草の育成にも抜群ですが、室内飼育にはまったく向きません。
また栄養が豊富な土ですので藻やコケが発生しやすく、日頃のメンテも大変で上級者の屋外飼育向けといえます。
ソイル
最近はさまざまなメダカ用のソイルが販売されています。
ソイルとは土を粒状にかためたもので、荒木田土とは違い屋内飼育向けです。
多孔質でバクテリアが定着しやすく、栄養の点からいってもメダカにも水草にも良い選択といえます。
ただし価格が高くなること、崩れやすいので長年の使用には耐えられないこと、メダカ飼育には問題がない範囲で飼育水が弱酸性に傾く点などがデメリットです。
メダカ用のカラー砂
大磯砂や珪砂よりは価格が高くなりますが、水槽などの底に敷くとカラフルな点から宅内のインテリアとして良いかもしれません。
比較的細かな砂で、飼育水を中性から弱アルカリ性に傾ける点などメダカ飼育に適しています。
洗えば長期間にわたって使用することができる点も良いですね。
ただしコケや汚れの付着が進んでいくと洗っても黒っぽいままになることが。
水草
できれば入れたいのが水草ですね。
屋内飼育ならば良いアクセントになりますし、屋外飼育だと自然の池などの雰囲気が出てきますよ。
またメダカの産卵床としても活躍します。
アナカリス
初心者が屋内飼育で扱いやすい水草と言えばアナカリスをおいて他にはないでしょう。
安価で入手しやすいうえにたいへん丈夫な水草です。
底床に植えなくても浮かばせておくだけで育ちますし、少なめの光量でも枯れてしまうことは少ないです。
マツモ
マツモもアナカリスと同様に初心者が扱いやすい水草として知られていて、こちらも浮かばせておくだけで育っていきます。
ホテイ草
メダカの屋外飼育といえばホテイ草が有名です。
紫色の花を咲かせ、長い根っこはメダカが卵を産み付けやすいために産卵床としても用いられます。
比較的光量が必要な浮草ですので、屋内飼育にはむいてません。
アマゾンフロッグビット・ドワーフフロッグビット
アマゾンフロッグビットやドワーフフロッグビットは浮草で、適当な光量があればランナーと呼ばれる地下茎のようなものを伸ばして新しい株をどんどん増加していきます。
特に屋外飼育で太陽光が良く当たる場所の場合には、増殖のスピードが大変速くてすぐに水面一面を葉で覆いつくしてしまうほどです。
アマゾンフロッグビットのほうが葉も大きく(500円硬貨くらい)根っこも長く伸び、ドワーフフロッグビットのほうが葉が小さい(2~3㎝)です。
これらの根っこはメダカの産卵床にも向いており、屋内飼育でも育てやすい水草です。
ウイローモス
ウイローモスは水草ではなくコケの1種ですが、ストラクチャーや流木などに定着させて繁殖させればたいへんキレイな水槽のアクセントになりますね。
ろ過器
メダカはあまり急な流れを好みませんが、ろ過器を使用することで水槽内の水の汚れを少しは遅らせてくれます。
投げ込み式(いわゆるブクブク)・底面フィルター・外掛け式・上部式などさまざまなものがありますが、最初はブクブク+小さなポンプでも十分だと思います。
ストラクチャー
流木の形をしたものや土管だったりブロック状のもの、水草に似せたようなものなどさまざまなストラクチャー類が販売されていますが、これらを水槽の中に設置するだけでぐっと雰囲気が良くなります。
でもそれ以上に、メダカたちの隠れ家としての役割も果たしてくれます。
メダカは臆病な性格で、びっくりすると水槽内を右往左往といった表現がぴったりなくらいに逃げ泳ぎまくります。
メダカによっては底床に潜ろうとするものやストラクチャー類の陰に隠れようとするものもいます。
ですのでできればメダカたちが安心して生活できるスペースとして、ストラクチャー類を入れてあげてください。
まずは飼ってみましょう
メダカは小さいですが比較的丈夫な淡水魚ですし、昔から多くの日本人が飼っていた魚です。
何を準備すればよいのか?
どうやって飼えばよいのか?
もちろん突き詰めれば大変難しく感じてしまいますが、難しいことは飼い始めてから考えたって遅くはありません。
最初は最低限必要なメダカ・容器・水・エサさえあればよいのです。
まずはメダカを飼ってみませんか?